現場の声を教育省へ― 教科書活用と算数教育の可能性 ―


2025.09.12
2025.09.12
2025年8月28日、ポポンデッタで活動する鈴木佑隊員(Popondetta Primary School)と小林虹矢隊員(Bethel Primary School)が、パプアニューギニア教育省の政府関係者に向けて活動報告を行いました。本発表は、JICA教育政策アドバイザー木田光二専門家のサポートにより実現しました。
教科書を活かした授業実践の紹介
鈴木隊員は、日本の支援で作成された算数・理科の国定教科書と教員用マニュアルを使うことで、現地でも日本の算数指導法を取り入れられることを紹介しました。特に「段階的な授業構成」「視覚的教材の活用」「振り返りの時間」を組み込むことで、児童の計算力が向上している事例を示しました。また、教員研修や公開授業を通じ、現地の教員が教科書を活用しやすい環境づくりを支援していることを報告しました。
小林隊員は、発達支援や英語教育の活動に加え、算数教育の課題について述べました。発表では、実際に視覚的教材を提示し、教育省職員にも体験してもらうことでその効果を共有しました。さらに、算数教科書の基礎的な内容を丁寧に解説し、導入段階にある教育現場で教員が使いやすい工夫について説明しました。
教育省との意見交換
教育省関係者からは、「現地の教員がどの程度教科書を利用しているのか」「黒板の使い方をどう改善できるか」といった質問がありました。板書計画や教材の活用例をもとに活発な議論が行われ、教員が継続的に教科書を使用できる仕組みづくりの必要性が共有されました。
専門家の視点
木田専門家は、協力隊員が具体的な事例やデータを提示しながら取り組みを報告した点を評価しました。政策担当者が学校現場の詳細な情報に触れる機会は限られており、今回の発表は「現場の声を政策につなげる一歩」となったと述べました。また、「今回の発表はすぐに教育政策に影響を与えるものではないが、教育現場の声を継続的に伝えていくことが教育の質の改善につながる」として、今後も現場からの情報提供を継続する必要性を指摘しました。
今後に向けて
今回の活動報告を通じ、教科書とマニュアルの活用が児童の学力向上に効果的であることが示されると同時に、教員研修の継続や教材の普及が欠かせないことも確認されました。
JICAは今後も教育省、専門家、協力隊員と連携し、パプアニューギニアの子どもたちが より良い学びの環境で成長できるよう取り組みを続けていきます。
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