日本での学びをミルンベイ州の道路維持管理へ JICA研修と海外協力隊の連携が生み出す新たな取り組み
2026.08.18
2026年1月、ミルンベイ州政府工事監督局(Work Supervision Unit)の土木技師であるヨクセンさんは、JICAが実施する道路アセットマネジメント研修に参加するため、日本を訪れました。
日本で学んだ道路・橋梁の維持管理手法やデータ管理の考え方を、帰国後すぐに実践へ移そうとするヨクセンさん。現在は同じ職場で活動するJICA海外協力隊員の中西康二さんと協力しながら、道路維持管理体制の強化に取り組んでいます。
今回の取り組みは、JICA研修事業と海外協力隊事業の連携により、学びを実際の行政サービス改善につなげている好事例となっています。
土木技師のヨクセンさん
橋梁を視察中のヨクセンさんと中西隊員
ヨクセンさんは、州内の道路や橋梁の維持管理を担当しています。より効果的な維持管理手法を学ぶため参加した日本での研修では、橋梁点検の方法やデータ管理の重要性について学びました。特に印象に残ったのは、日本のきめ細かな点検と記録管理です。
「日本では橋の小さな損傷も見逃しません。点検結果が記録として残され、次の維持管理につながっています。」
また、橋梁ごとの建設履歴や補修履歴などが体系的に管理されていることにも大きな驚きを感じたといいます。
日本での研修終了時の様子
「橋がいつ建設されたのか、どのような補修が行われたのかといった情報
がきちんと整理されていて、新しい担当者でもすぐに確認できる仕組みがありました。」
研修期間中には長崎県で橋梁点検の実習にも参加しました。
「長崎で見た大きな橋は本当に印象的でした。学びに来たことを忘れるほど圧倒されました。」
帰国後、ヨクセンさんが取り組んでいるのが、ミルンベイ州独自の道路・橋梁点検マニュアルの作成です。この活動を支えているのが、同じミルンベイ州政府工事監督局で活動するJICA海外協力隊員の中西康二さんです。
実は、ヨクセンさんが日本で作成したアクションプランと、中西隊員の活動計画には共通する目標がありました。それが、道路や橋梁の維持管理体制の改善です。
「日本で学んだことを理解している人が職場にいるので、とても心強く感じています。同じ目標に向かって取り組むことができています。」
現在、両者は橋梁や道路の点検手順、評価基準、記録方法などをまとめたマニュアル作成を進めており、すでに草案が完成しています。今後は州政府内で承認を経て、実際の業務で活用される予定です。
ヨクセンさんは、日本での研修を通じて、技術だけでなく仕事への向き合い方にも学びがあったと語ります。
「日本で学んだのは新しい技術だけではありません。基本的なことを着実に実践することの大切さでした。」
PNGにも道路維持管理に関する基準やマニュアルはありますが、それらを日々の業務の中で確実に実践していくことが重要だと感じたそうです。帰国後は、自ら率先して行動しながら、同僚たちと経験や学びを共有しています。
配属先にて同僚に研修報告を行う様子
現在作成中の点検マニュアルについて、ヨクセンさんは将来的に他州でも活用されることを期待しています。
「ミルンベイ州での取り組みが成功すれば、他の州にも広げていくことができるかもしれません。」
また、今回の研修を通じて得た経験は、ヨクセンさん自身にとっても大きな自信につながりました。
「海外での研修は初めてでしたが、多くの技術者と交流し、自分自身も成長することができました。この経験を今後の仕事に生かしていきたいと思います。」
日本での学びと、JICA海外協力隊との協働から生まれた新たな取り組み。その成果は、ミルンベイ州だけでなく、将来的にはPNG全体の道路・橋梁維持管理能力の向上につながることが期待されています。
JICA研修参加者のヨークソンさん(中央)と、取材を担当したJICA PNG事務所の研修担当スタッフ(左右)
JICA PNG事務所では、研修事業と海外協力隊事業の連携を通じ、現場の課題解決と人材育成を支援しています。ヨクセンさんと中西隊員による取り組みは、そうした連携が具体的な成果へと結びついている事例の一つとなっています。
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