所長あいさつ
ウクライナ事務所長の服部修(はっとり おさむ)です。
2022年2月、ロシアによるウクライナへの全面侵略が始まって以来、ウクライナの人々は、日々の暮らしの中で数えきれない困難と向き合いながらも、希望を失わず、前を向いて歩み続けています。
私がキーウを訪れたのは、侵略が始まって間もない2022年12月のことでした。空襲警報が鳴り響く中、それでも笑顔を絶やさず、家族や地域のために懸命に生きる市民の方々、そして国の未来を真剣に見据え、行動する若きリーダーたちの姿に、私は深く心を動かされました。あの時の出会いは、今も私の原動力となっています。
このような厳しい状況の中で、ウクライナの復旧・復興を支えることは、単なる人道的な支援にとどまらず、世界の平和と安定、そしてルールに基づく国際秩序を守るための、私たち一人ひとりの責任であると強く感じています。
JICAは、ウクライナ政府のリーダーシップを尊重し、「人間の安全保障」の理念のもと、ウクライナの人々の命と尊厳、そして未来への希望を守るために、これからも寄り添い続けてまいります。
JICAは2022年9月に「ウクライナ支援室」を設置し、2023年11月にはキーウでの日本人職員の業務を再開、2024年1月からはウクライナ事務所として新たな体制での活動を本格化させました。現在は、①ウクライナの国家基盤を支える協力、②地域の安定化に向けた周辺国およびウクライナ避難民への支援、③復旧・復興への支援という三本柱のもと、現地の声に耳を傾けながら、迅速かつ柔軟に取り組みを進めています。
ウクライナの復興には、民間セクターの力が不可欠です。日本は、戦後の焼け野原から立ち上がり、幾多の自然災害を乗り越えて「Build Back Better(より良い復興)」を実現してきました。JICAは、こうした経験と知見を活かし、ウクライナ政府や日本政府と連携しながら、日本企業をはじめとする民間の皆さまが安心して参画できる環境づくりを支援しています。ウクライナの未来を共に築くために、官民が一体となった取り組みが、これまで以上に求められています。
ウクライナの復興は、長く険しい道のりかもしれません。しかし、それは同時に、希望と再生の物語でもあります。JICAウクライナ事務所は、ウクライナの人々と心を通わせながら、国際社会の多様なパートナーと手を携え、持続可能で包摂的な復興の実現に向けて、全力を尽くしてまいります。
ウクライナの未来のために、そして世界の平和のために。皆さまの温かいご理解とご支援を、心よりお願い申し上げます。
2025年10月
独立行政法人 国際協力機構(JICA)
ウクライナ事務所長
服部 修(Hattori Osamu)
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