タイ授業検討チーム

メンバー

矢吹怜美(稚内市立増幌小学校)
小島陽子(神恵内村立神恵内中学校)
米家直子(北海道池田高等学校)
細田孝哉(札幌市立山の手養護学校)

視察概要

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SDG4「すべての人に質の高い教育を」に関わる教材を作成するため、タイの教育の格差(公立と私立、都市と地方)の現状を視察しました。

首都バンコクでは、公立のバンカピ高校と私立のペンスミス高校・インターナショナルスクールやスラムのNGO訪問をしました。北部チェンライではテクニカルカレッジ訪問や少数民族を訪ねました。ほぼ100%に近い就学率のタイで、学校に行っていない少数民族の少女や学校をさぼりがちなスラムの少女にも会いました。タイのなかでもバンコクは別格の近代都市で、都市機能の向上や排ガス規制も10年程前から進んでいました。そのなかで、公立高校での教育は教授‐暗記型でしたが、日本ほど競争が激しくはなく大らかで楽しい雰囲気でした。インターナショナルスクールは、実践的な総合学習を取り入れ、例えばレーシングカーの流体力学研究でミニカーを試作して実験をしたり、議論をしながら学習をしていました。ただ授業料が公立の何倍も高く、所得格差が教育格差になっている現状を目にしました。

教材内容

視察の結果を踏まえて、以下の通り教材を作成して学校で実践しています。

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  1. 中学生を対象に、学級活動で、架空の村の教育政策についてロールプレイで議論を行う時間、さまざまな教育政策の事例やSDG4のねらいや各国の状況を知って、達成できているとされている日本でも課題がないかを考える時間を設定した単元・授業ができました。
  2. 高校の公民科の「国連の役割と課題」の単元で、タイについての知識を確認したうえで、SDG4とグループごとに割り当てた人物カードの内容との相違点を話し合い、それと関わるターゲット達成のために必要なプロセスや政策、国際協力について話し合い、国連が目標や基準を提示することの意味についても考えていく単元・授業ができました。ターゲットの達成を考えるために、まず現実を知り、達成のためにはどのような政策が必要なのかをいうことを生徒が考えました。また、主権者としてどのような情報に触れておかなければ、政策の是非について検討することができないのか、個人としてSDG達成のために貢献できることはどのようなことなのかまで思考し表現することができました。
  3. 高校生対象に、総合的な学習の時間などを利用し、グループ対抗のゲームで所属階層によって教育格差が広がることを疑似体験した後、タイの教育現状をグループごとに調べ、発表を聞いたうえで、タイの教育格差や日本の教育課題についても議論する単元・授業を作りました。
    国際理解を特色とするコースの1年生1クラスが対象だったので、タイの実情への関心は高く、北大の留学生から生の声を聞けたこともいい経験となりました。単元最後の5時間目のディスカッションでは、個人レベルや政策レベルでの考えられる取り組みについて様々な意見が出されましたし、授業後に声をかけてくれた生徒と「選挙権、個人の意識や政治参加の大切さ」について意見を交わし、個人の姿勢の大切さを確認することができました。