道内で地域貢献に取り組む一時帰国隊員にインタビューしました!〜第2弾〜 茶谷 堅志朗さん

2020年9月8日

バッティングピッチャーをする茶谷 堅志朗さん

今回は、JICA海外協力隊の2019年度1次隊としてブラジルに派遣され、野球隊員として活動されていた茶谷堅志朗さんにインタビューさせていただきました。茶谷さんは現在、新型コロナウイルス感染拡大の影響により日本に一時帰国されていますが、北海道美唄市で地域おこし協力隊として市街地活性化の活動を行いながら、北海道ベースボールリーグの運営にも携わっています。

ブラジルでは子供たちを対象に野球指導

【本日はお忙しい中、お時間をいただきありがとうございます。まず初めに、協力隊に行かれたきっかけを教えてください。】
協力隊には高校生の頃から興味を持っていました。アフリカで野球指導をされていたJICA職員の著書を読み、その頃から「もし自分が協力隊に参加するなら、野球隊員として海外の子供たちに野球を教えたい」と思うようになりました。その後、社会人になり、道内の高校で英語教師をしていた頃、野球部の顧問をしていたのですが、そこで色々と考える中で「やっぱり海外で野球を教えたい」と思うようになり、協力隊に応募することを決めました。

12歳以下の野球チームの練習風景

【ブラジルでは、どのような活動をなさっていましたか?】
サンパウロ州のグァララペスという町で、主に6歳くらいから16歳くらいまでの子供たちに野球を教えていました。私が指導していたのは、配属先の日伯文化協会という日系人の方々が運営する野球チームでしたが、グァララペスでは唯一の野球チームだったため、日系人だけではなく様々な人種の子供が所属しており、指導は全て現地語(ポルトガル語)で行っていました。
昨年7月下旬にブラジルのサンパウロに入り、2週間ほど訓練を受けた後、8月上旬から任地での活動を始めました。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、今年3月下旬に一時帰国することになったので、約8ヶ月活動をしていました。

指導していた13,14歳の野球チームとの集合写真

【日本に帰国することになったときは、どのような状況でしたか?】
突然のことだったので、帰る支度が間に合わず、まだ荷物の一部がグァララペスに残っています。教え子たちに挨拶することもできませんでした。そのときは2、3ヶ月で戻ってこれると思っており、ここまで長い間戻れなくなるとは思っていませんでした。
日本に帰ってきた頃、「北海道ベースボールリーグ」(HBL)という野球の独立リーグがちょうど開幕するタイミングで、リーグを創設した出合裕太さん(元ブルキナファソ隊員)には、私が協力隊に応募するときに相談に乗っていただいたこともあり、何らかの形で貢献できないかと考えていました。そんな中で、HBLのチーム「美唄ブラックダイヤモンズ」がある美唄市で地域おこし協力隊を募集していることを知り、地域おこし協力隊として地域活性化に取り組みながら、それ以外の時間でHBLの運営に携わることになりました。

現在は美唄市の地域おこし協力隊として中心市街地の活性化事業を担当

夏祭りで遊ぶ子供と美唄ブラックダイヤモンズの選手

【地域おこし協力隊では、どのような活動を行っていますか?】
地域おこし協力隊としては、中心市街地の活性化事業に携わっていて、イベントの企画や運営などを行っています。6月から活動を始めてまだ約3ヶ月しか経っていませんが、これまでに自分が携わった中で一番大きな仕事は、8月に行われた「ブラダイ夏祭りwith YEG」の企画、運営です。美唄ブラックダイヤモンズの選手たちと地域の方が交流し、チームの存在や選手を知ってもらういい機会だと思い、球団や商工会議所青年部の方々の力を借り、企画しました。当日は選手に球団グッズや飲み物を売ってもらったり、子供たちがストラックアウトを体験するコーナー等を作りました。その結果、二日間にわたり多くの市民の方にお集まりいただき、地域の活性化にも繋がったのではないかと思います。地域おこしとHBLの両方に関わっている現在の立場を生かすことができたと感じています。
現在は球団応援歌のプロモーションビデオの製作に関わっていますが、美唄市で撮影を行っていますので、プロモーションビデオを通じて美唄市のPRにも繋がるのではないかと思っています。

【最後に、今考えていることや、今後やりたいことなどがあれば教えてください。】
ブラジルでは、自分のやりたいことを実行するためには、周囲の人にやりたいことをしっかりと伝えて、協力を得ることが重要だと学びました。地域おこし協力隊でも、自分から様々な人に積極的に相談し、協力をいただいたおかげで夏祭りでの色々なアイデアが実現したのですが、この企画から実行までの過程で、ブラジルでの経験が生かせたように思いました。
コロナ禍が収まったら、どんなかたちであれ、もう一度ブラジルに行きたいと考えています。ブラジルを出るときに任地の人から「戻ってくるときはバットを持ってきてほしい」と頼まれたんです。ブラジルに戻って約束を果たしたいです。そして、もう一度子供たちに会いたいです。

【ありがとうございました!】

(文:JICA北海道インターン 北海道大学理学部3年 村瀬 海)