【岩手県】釜石市にて「JICA海外協力隊グローカルプログラム」に参加した協力隊候補生による最終報告会

2022年10月3日

 2022年7月4日(月)より、岩手県釜石市において12週間のJICA海外協力隊グローカルプログラム(GP※1)に参加した2名のJICA海外協力隊候補生が、9月15日(木)に最終報告会を行いました。

株式会社 パソナ東北創生で活動中の阿部 璃音さん 

阿部 璃音さん
(写真提供:JOCA東北)

 2022年度3次隊として2023年1月にエジプトに派遣予定の阿部璃音さん(体育)は、(株)パソナ東北創生にて実習を行いました。
 自分自身が中心となってPDCAサイクルを意識したプロジェクトの企画運営を行うことと企業が実施しているインターンシップ受入れ事業における大学生の参加層の拡大を行うこと、この2つの大きな目標に取組みました。
阿部さんが中心となって企画運営を行った地元の高校生に対しての国際交流イベントでは、地域の教育関係者の方々とのつながりや自分の母校とのつながりを生かして活動を進めました。釜石の高校生が国際的な視野を広げ、興味・関心を高めて、行動力を発揮できる力を育む手助けを行いました。また、将来の進路の選択肢を広げるきっかけづくりとなるよう、留学経験のある大学生や日本に留学中の外国人大学生をオンラインでつなげて交流の機会を作りました(詳細は下記リンクの「縁とらんす」の記事参照)。
 大学生と地元企業の経営者が共に課題解決に取組むという実践型インターンシップ事業「TRY!!!Kamaishi Internship」では、参加する大学生の層を拡大するため、SNSを活用した情報発信の強化にも取り組みました。
 2つの取組みを行う上で、「他者の協力を得ながら活動を進める」という自分自身の目標についても、協働を円滑に進めるための関係者との細やかな情報共有、PDCAサイクルを常に意識し、関係者と目的を共有して取組むことによる連携強化、スケジューリングの重要性など、活動を通して様々な経験を蓄積できたようでした。
 「3か月間、多くの人の協力を頂き学びの連続でした。2年間のJICA海外協力隊での活動に活かし、日本に戻った時に一回りも二回りも大きくなった姿を見せられるよう頑張りたいです」と感謝と共に抱負を述べました。

(一社)ユナイテッド グリーンで活動中の加藤 穂高さん

加藤 穂高さん
(写真提供:JOCA東北)

 2022年度3次隊として2023年1月にナミビアに派遣予定の加藤穂高さん(電気・電子設備)は、(一社)ユナイテッドグリーンにて、実習を行いました。
 受入れ先が実施する菜の花を活用した地域活性化プロジェクトの広報活動、受入れ先の活動拠点である「ECOハウス」周辺の活動基盤整備、教育プログラムのモデル化、未来の暮らしのグローバルスタンダード提案に向けての活動について取り組むと共に、活動を「自分ごと」として理解し広報や活動を実施すること、ナミビアでも世界のどこでも適応できる能力を身に付けることを自身の活動目標として活動を行ってきました。
 3か月と限られた期間の中で多岐に渡る取組みに挑戦し、環境に配慮した取組み・生活の推進に力を入れている受入れ団体の施設の整備や改築などハード面での活動の他に、ECOハウスでのイベントの実施など教育プログラムのモデル化や広報活動にも力を入れました。また、受入れ先、地域の方々と関わる中で、派遣国での活動で必要となるコミュニケーション能力を磨くと共に、日々の活動においてはPDCAサイクルを回すことを念頭に置きながら、今までの仕事と異なる知識や経験を積みました。
また、自然と対峙する中で、臨機応変に対応できる力、生きていく力を求められることも多かったといいます。活動全般を通して、リスクを判断しながらも、頭でばかり考え、慎重になり過ぎて行動にブレーキをかけ過ぎてしまう弊害を学べたことは、果敢に挑戦していく力にもなったそうです。
「沢山の人にお世話になり貴重な経験を積むことができました。GP終了時まで取組みを継続し成果を出したい」と感謝を述べ最終報告を終えました。

地域のみなさんと共に過ごした2人の候補生 

活動報告会に集まって下さったみなさん

 GPへの参加により、初めて釜石市に長期滞在する2人を、自治体や受入れ先関係者のみなさんをはじめ、地域の方々は温かく迎え入れてくださいました。地域行事の多い時期と重なり、多くの方に出会い、対話や体験により学びを得たようでした。今後も釜石市と実習生が末永い繋がり「つながり人口※2」となるようJICA東北もサポートしていきます。GPに関わって下さった釜石市のみなさん、ありがとうございました。

(報告者:JICA東北 菊池)

※1「JICA海外協力隊グローカルプログラム」
帰国後も日本国内の地域が抱える課題解決に取り組む意思を有するJICA海外協力隊が、地域の方々とともに、自治体等が実施する地方活性化や地方創生の取り組みを学び、海外での活動に活かしてもらうことを目的としています。訓練所での派遣前訓練開始前の期間(3か月間程度)に実習を行い、日本国内の地域活性化の取組みを知る事で、開発途上国での協力活動においても有益な実務経験や知見を得ることも期待されます。

※2「つながり人口」
釜石市では、釜石市とかかわりを持ち続けてくださる関係人口を「つながり人口」と呼んでいます。