【岩手県】陸前高田市にて「JICA海外協力隊グローカルプログラム」に参加した協力隊候補生による最終報告会

2022年10月3日

 2022年7月4日(月)より、岩手県陸前高田市において12週間のJICA海外協力隊グローカルプログラム(GP※1)に参加した2名のJICA海外協力隊候補生が、9月22日(木)に最終報告会を行いました。

陸前高田まちづくり協働センターで活動中の川野 矢恵さん 

川野矢恵さん

 2022年度3次隊として、2023年1月にエジプトに派遣予定の川野矢恵さん(小学校教育)は、陸前高田まちづくり協働センターにて、実習を行いました。
地域の魅力や取組みを知り発信する力を身に付けること、何事にも自主的に行動し地域の方々と安心感のあるコミュニケーションを図りながら地域の役に立つこと、の2つを目標として活動しました。
 「たかたの教科書プロジェクト」では、地元の方へインタビューし、陸前高田ならではの文化や伝統が詰まった教科書の作成、お手玉づくりや凧作り等の昔遊びのイベントを開催しました。ファミリーイベントでは事前準備にも工夫を凝らし、昔遊びをテーマにしたブースを出展して様々な世代の方々の繋がりの場をつくりあげました。 その他にもイベント「みんなの学校」でのパンフレット作成、SNSを活用した地域の魅力発信等の様々な活動に加え、七福神篠笛に初挑戦、3年ぶりに開催されたけんか七夕等の地元に根付いたお祭りにも参加することで地域の方々とのつながりを築きながら活動しました。
 新しい環境や取組みに挑戦する厳しさを実感すると同時に、丁寧なコミュニケーションの大切さに気付きました。エジプトでも人々を繋げ、繋がりを生み出す存在になれるよう頑張りたいと意気込みを述べました。「魅力のある人達が地域のために共に頑張っていることが素敵。GPを通して得た日本文化、人との関わり、イベント企画・運営力、発信力、環境適応力をこれからの派遣へ向けて活かしたい。関わってくださった陸前高田の皆さんありがとうございました。」と感謝を述べました。

(一社)トナリノで活動中の山田敬介さん  

山田敬介さん

 2022年度3次隊として2023年1月にウルグアイに派遣される予定の山田敬介さん(空手道(少林寺拳法))は、(一社)トナリノにて、実習を行いました。課題解決に向けて他の視点から提言をすること、提案したイベントの成功のためのノウハウを学ぶこと、心を整えるマインドフルネス体験会を実施すること、を目標として活動しました。
 住民の困りごとを一緒に解決していく1つ目の活動「スマホ講座」では、約200名を対象にスマートフォンの使用方法を講師として教えました。デジタル普及活動をすることで雇用が発生し、参加者がデジタルを知ることで福祉に繋がること、Q&Aの接遇の蓄積の必要性に気付くと共に、デジタル化を推進する使命を感じたそうです。また、香川県在住の山田さんは、自らうどんを打つ「うどん会」を開催し、手打ちうどん体験を通しての賑わいづくりをしました。回を重ねるごとに、参加者も主催者もより楽しむことができ、PDCAサイクルを実体験できた活動となりました。ウルグアイでも「うどん会」を実施するイメージができたそうです。「マインドフルネス体験会」では、体験したことの無い人へ体験を勧めることの難しさも痛感し、0から一歩を踏み出すことのできた学びの多い貴重な活動となりました。少林寺拳法でも、陸前高田のチームと合流し、共に活動することができました。
 また、GPの活動を通して幸せとは何なのかという価値基準についても考えた時間となったようです。「陸前高田市に来て本当に良かった。陸前高田市とGPに感謝です。」と最終報告を終えました。

地域のみなさんと共に過ごした2人の候補生 

活動報告会に集まって下さったみなさん

 GPへの参加により、初めて陸前高田市に長期滞在する2人を自治体・活動関係者のみなさんをはじめ、地域のみなさんは温かく迎え入れてくださいました。陸前高田市の伝統文化に触れ、みなさんとの交流を通して生まれたつながりから貴重な経験に出会い、日常ではなかなか体験できない経験から多くの学びを得たようでした。今後も陸前高田市と候補生が末永い繋がり「思民(しみん)※2」となるようJICA東北もサポートしていきます。GPに関わって下さった陸前高田市のみなさん、ありがとうございました。

(報告者:JICA東北 小林/菊池)

※1「JICA海外協力隊グローカルプログラム」
帰国後も日本国内の地域が抱える課題解決に取り組む意思を有するJICA海外協力隊が、地域の方々とともに、自治体等が実施する地方活性化や地方創生の取り組みを学び、海外での活動に活かしてもらうことを目的としています。訓練所での派遣前訓練開始前の期間(3か月間程度)に研修を行い、日本国内の地域活性化の取組みを知る事で、開発途上国での協力活動においても有益な実務経験や知見を得ることも期待されます。

※2「思民(しみん)」
陸前高田市では、陸前高田市とかかわりを持ち続けてくださる関係人口を「思民(しみん)」と呼んでいます。