【岩手県】釜石市にてJICA海外協力隊グローカルプログラムに参加した協力隊候補生による最終報告会

2022年4月8日

 2022年1月10日(月)より、岩手県釜石市においてJICA海外協力隊グローカルプログラム(※1)に参加した1名のJICA海外協力隊候補生が、3月28日(月)に最終報告会を行いました。

釜石市で活動した川松 秀夫さん

活動報告を行う川松さん

 2022年度1次隊として南アフリカ共和国に派遣予定の川松 秀夫さん(理科教育隊員)が、釜石市にて12週間のJICA海外協力隊グローカルプログラム(以下、GP)に参加しました。GPでは、釜石市の取組みの特色から「高校生」「在住外国人」「ラグビー」をつなぎ、世界と地元の学びの機会や外国人との交流の場を作ることによる誰もが住みやすいまちづくり、地域の活性化を目指しました。釜石市を初めて訪れた川松さんは、受け入れ団体の(株)パソナ東北創生をはじめ釜石市の地域団体・企業、市役所などより情報収集を行い、地域の方々との関係作りから始められ活動の具体化を図りました。在住外国人と市民が交流するサロンや日本語教室への参加、釜石シーウェイブスの南アフリカ出身選手との交流、市内高校生へのオンライン講座などを実施されました。「高校生×在住外国人×ラグビー」のイベント開催も目指しましたが、新型コロナウイルス感染症の影響などがあり実現に至りませんでした。しかし、このような状況の中でも常に自分のできることを探し、防災教育や復興事業に携わる他の大学インターン生の取組みを取材し記録に残すなど活動を切替え取組まれました。報告の中では、「地域に入り地域の声を聞いたことから得るものが多かった。感染状況の変化に伴い活動環境が大きく変化する中で、求められる創造力、柔軟で迅速な対応が必要だと感じた。」と話され、任国での活動の糧にされる決意も述べられました。

地域を知ることから始まり、地域とつながる研修

釜石シーウェイブスRFCよりラグビーボールを贈呈いただいきました。

 GPでは受入れ自治体へ初めて訪れる研修生も多く、活動や余暇時間を活用して地域を知ることから活動が始まります。川松さんは、震災復興の現状を知り、学ぶと共に、元ラガーマンという縁もあり釜石市での研修を希望されました。研修期間も東日本大震災が発災した3月11日と重なり、市内の震災伝承施設を訪れ、震災関連の行事にも参加されるなど学びを深められました。また、釜石市は「鉄と魚とラグビーのまち」と呼ばれ、鉄鋼業や漁業が盛んな地域でもあります。そして、「北の鉄人」と呼ばれた新日鉄釜石ラグビー部の日本選手権7連覇の功績もあり、また、2019年のラグビーW杯が開催された地でもあることからラグビー愛が溢れています。現在は「釜石シーウェイブスRFC」がジャパンラグビー リーグワンで戦いを繰り広げています。川松さんは、南アフリカ出身の選手と交流をするなど活動にもつながりがあったことから、最終報告会ではシーウェイブスRFCよりラグビーボールが贈呈されました。川松さんは、こちらのボールを現地に持参し、現地の方々と釜石を知る・つなぐ交流に活用される予定です。南アフリカもラグビーが盛んな国ですので、釜石市とのご縁がつながればと期待されます。今後も、釜石市と研修生が末永い繋がりとなるようJICA東北もサポートを行っていきます。GPに関わって下さった釜石市のみなさん、ありがとうございました。

※1「JICA海外協力隊グローカルプログラム」
帰国後も日本国内の地域が抱える課題解決に取り組む意思を有するJICA海外協力隊が、地域の方々とともに、自治体等が実施する地方活性化や地方創生の取り組みを学び、海外での活動に活かしてもらうことを目的としています。訓練所での派遣前訓練開始前の期間(3か月間程度)に研修を行い、日本国内の地域活性化の取組みを知る事で、開発途上国での協力活動においても有益な実務経験や知見を得ることも期待されます。

(報告者:JICA岩手デスク 菊池、JICA東北 遠藤(暁))