【岩手県】陸前高田市にてJICA海外協力隊グローカルプログラムに参加した協力隊候補生による最終報告会

2022年4月11日

 2022年1月10日(月)より、岩手県陸前高田市においてJICA海外協力隊グローカルプログラム(※1)に参加した2名のJICA海外協力隊候補生が、3月29日(火)に最終報告会を行いました。

陸前高田ほんまる株式会社で活動した中里 大介さん 

活動の報告を行う中里さん

 2022年度1次隊としてマダガスカルに派遣予定の中里 大介さん(コミュニティ開発隊員)は、陸前高田ほんまる株式会社にてJICA海外協力隊グローカルプログラム(以下、GP)に参加しました。GPにおいては「産直のファンづくり」を活動目標とし、GP期間中に各産直のSNSのフォロワーを30人増やすことを目指していました。各産直のインスタグラムを立ち上げるところから始まり、QRコード付きのレシピカード作成やオンライン料理教室の開催など、産直のファンを増やすために様々な工夫を凝らしていました。
オンライン料理教室の参加者が思うように伸びず、結果として「各産直のSNSフォロワーを30人増やす」という目標は達成できなかったという報告でしたが、「なぜオンライン料理教室参加者が伸び悩んだのか?」「なぜSNSのフォロワーを30人増やすことができなかったのか?」を分析し、マダガスカルでの活動にも活かそうとしています。
最終報告の最後に「陸前高田での一つひとつの出会いのすべてが印象に残っている。マダガスカルで頑張って活動している姿を見せること、そして、将来的に陸前高田へ帰ってくることが、陸前高田でお世話になった方々への恩返しになると思っている。本当にありがとうございました」と感謝を述べ、最終報告を締めくくりました。

一般社団法人トナリノで活動した小林 恭子さん 

活動の報告を行う小林さん

 2022年度2次隊としてボリビアに派遣予定の小林 恭子さん(文化隊員)は、一般社団法人トナリノにてGPに参加しました。「ボリビアへ派遣された際に、オンラインで気仙地域とボリビアを繋ぎ文化交流をするための基盤づくり」を活動目標としていました。地域の高齢者の方たちにスマホの使い方を教える活動中、受講者からの質問に対する答えが分からなかったこともあり、「自分自身の今の能力や現場対応能力を見つめ直す、いい機会だった。疑問を疑問のままにしないことの大切さも学べた」と話しました。また、つまみ細工の体験をしたり、陸前高田の郷土料理実習に参加するなど、「ボリビアと気仙地域の文化交流」の際に役立つ知識や経験を積むとともに、Zoom接続の講座にも参加するなど、オンライン接続の基礎知識習得にも意欲的に取り組んでいました。
報告会の最後には「ボリビアに派遣された際、現地の人たちに陸前高田の郷土料理を作って日本の味を知ってもらったり、つまみ細工講習会を開いて日本の伝統に触れてもらいたい」と、現地に派遣されてからの抱負を語り、陸前高田で学んだ郷土料理や文化を、ボリビアで伝えていくという意志の強さが感じられました。

地域のみなさんに温かく迎えられ、送り出された2人の研修生  

「広田湾海中熟成体験(※3)」を行った2名。協力隊での活動を終えた後、引き揚げましょうね。

 GPを行うにあたり、初めて陸前高田市に長期滞在をする2人を自治体・活動関係者のみなさんをはじめ、地域のみなさんに温かく迎え入れていただきました。活動を通して、また余暇時間に市内各所を訪れたことにより、陸前高田市、そして地域の方々の魅力を存分に感じたようでした。報告会においても、関わって下さったみなさんからの感極まる激励のエールを頂き、お二人も任地での活動、帰国後に想いを強くしたようでした。派遣中、派遣後も協力隊活動を通して、あるいは「思民(※2)」として関わる絆が生まれたように感じられました。今後も陸前高田市と研修生が末永い繋がりとなるようJICA東北もサポートを行っていきます。GPに関わって下さった陸前高田市のみなさん、ありがとうございました。

※1「JICA海外協力隊グローカルプログラム」
本プログラムは、帰国後も日本国内の地域が抱える課題解決に取り組む意思を有するJICA海外協力隊が、地域の方々とともに、自治体等が実施する地方活性化や地方創生の取り組みを学び、海外での活動に活かしてもらうことを目的としています。訓練所での派遣前訓練開始前の期間(3か月間程度)に研修を行い、日本国内の地域活性化の取組みを知る事で、開発途上国での協力活動においても有益な実務経験や知見を得ることも期待されます。

※2「思民」
陸前高田市では、陸前高田市を「思う」方々、かかわりを持ち続けてくださる方々を「思民(しみん)」と呼んでいます。

※3「広田湾海中熟成体験」
三陸の豊かな海に、お酒やワイン等を入水し1~2年間熟成させることで、味がまろやかに変化します。GP受入れ団体の一つである「ぶらり気仙」では海中熟成を実際に体験することができます。

(報告者:JICA東北 遠藤(暁)、JICA岩手デスク 菊池)