【岩手県】陸前高田市にて「JICA海外協力隊グローカルプログラム」に参加した協力隊候補生による最終報告会

2023年1月10日

 2022年10月3日(月)より、岩手県陸前高田市において12週間のJICA海外協力隊グローカルプログラム(GP※1)に参加した2名のJICA海外協力隊候補生が、12月22日(木)に最終報告会を行いました。

NPO法人SETで活動した飯田卓也さん 

飯田 卓也さん

 2023年4月にモンゴルに派遣される飯田卓也さん(理学療法士)は穏やかで優しい雰囲気の好青年。NPO法人SETにてコミュニティビジネスに関わる活動に励み、農作業やCafé、マルシェの運営など、幅広くチャレンジされました。さらには、ご自身の専門を活かした健康相談を住民向けに実施するなど、地域との繋がりを意識した活動を行いました。グローカルプログラムを通じ、「よそ者」による地域の活性化を直に感じ、コミュニケーションの重要性を再認識できたこと、自分の考えやその時々の感情、感じている事を言語化し、そこからどう行動していくか整理することなど、実習から多くを学ぶことができたと語りました。
 最後に、「地域の方々とお話させていただくと、皆さんから『SETが広田町に来てくれてよかった』など感謝の言葉をおっしゃる方が多く、とても印象に残っています。私も今後の海外派遣で、このような言葉を頂けるよう活動していきたいです。」と発表を締めくくりました。
 受け入れ先のNPO法人SET代表の岡田さんは「ご本人は『積極的にもっと活動できれば良かった』と述べられたが、私から見ると、十分に主体的に活動しており、飯田さんが積極性・主体性を課題として感じていることに驚きました。医療業界とは違う分野で、全く知らないことをする過程で困難なことも沢山あったと思います。でも、それは課題ではなく、十分やりきった3ヵ月だったのではないかと感じています。」と発表を振り返り、これから協力隊として海外で活動する飯田さんに激励の言葉を述べました。

陸前高田ほんまる㈱で活動した太田裕子さん

太田 裕子さん

 2023年4月にジョージアに派遣予定の太田裕子さん(料理)は、マスク越しでもわかる明るい笑顔と軽快なトークで、会場を明るい雰囲気で包みました。実習先の陸前高田ほんまる㈱では、スタッフの方々と協働し、「やわらかいパワー」でまちづくりイベントに携わりました。ご自身の経験をフル活用しながら「たかたの教科書プロジェクト」に掲載する産直食材を使ったレシピや郷土料理の紹介をはじめ、食育映画上映サポート等、持ち前のフットワークで活動を広げていきました。実習後半には、イベントをゼロから企画し実施するまでの過程を学ぶことができたと話しました。海外協力隊同士の繋がりを活かしたミツバチに関するワークショップや、派遣国のジョージア料理やワインを楽しむイベントを開催するなど、「食」を通じて世界と地域を繋げるまさにグローカルな活動を実現されました。
 受け入れ先のほんまる㈱の種坂さんは、「太田さんのように行動が早い人がひとりいると、周りがひっぱられて私もがんばらなきゃ!という気持ちになる。常に積極的で前向きで、どたばたがあっても絶対前を向いている姿は、我々の背中を押し続けてくれ、本当にいい刺激を与えてくれた。」と太田さんと過ごした3ヵ月を振り返り、別れを惜しんでいました。
 太田さんは最後に、「陸前高田で出会ったすべての方に助けられて、ご縁が繋がった取り組みを実践できた。ジョージアに派遣されても『陸前高田の関係人口』としてこの繋がりを切らさず、専門の料理で関わり続けたい。」と締めくくりました。

地域のみなさんと共に過ごした2人の協力隊候補生

活動報告会に集まって下さったみなさん

 GPへの参加により、初めて陸前高田市に長期滞在する2人を自治体・活動関係者のみなさんをはじめ、地域のみなさんは温かく迎え入れてくださいました。陸前高田市の生活や文化に触れ、みなさんとの交流を通して生まれたつながりから貴重な経験に出会い、日常ではなかなか体験できない経験から多くの学びを得たようでした。今後も陸前高田市と候補生が末永く繋がり「思民(しみん)※2」となるようJICA東北もサポートしていきます。GPに関わって下さった陸前高田市のみなさん、ありがとうございました。

(報告者:JICA東北 荒屋敷/菊池)

※1「JICA海外協力隊グローカルプログラム」
帰国後も日本国内の地域が抱える課題解決に取り組む意思を有するJICA海外協力隊が、地域の方々とともに、自治体等が実施する地方活性化や地方創生の取り組みを学び、海外での活動に活かしてもらうことを目的としています。訓練所での派遣前訓練開始前の期間(3か月間程度)に研修を行い、日本国内の地域活性化の取組みを知る事で、開発途上国での協力活動においても有益な実務経験や知見を得ることも期待されます。

※2「思民(しみん)」
陸前高田市では、陸前高田市とかかわりを持ち続けてくださる関係人口を「思民(しみん)」と呼んでいます。