【岩手県】釜石市にてJICA海外協力隊グローカルプログラムに参加した協力隊候補生による最終報告会

2022年6月27日

 2022年4月4日(月)より、岩手県釜石市において12週間のJICA海外協力隊グローカルプログラム(※1)に参加した3名のJICA海外協力隊候補生が、6月17日(金)に最終報告会を行いました。

(株)パソナ東北創生で活動中の新崎 茂吉さん  

活動報告を行う新崎さん

 2022年度2次隊としてボツワナに派遣予定の新崎 茂吉さん(バレーボール)は、(株)パソナ東北創生にて、JICA海外協力隊グローカルプログラム(GP)に参加しました。主な活動として、『すてっぷあっぷサロン』の企画・運営と釜石市内の事業者向け戦略策定研修の運営補助を行いました。2つのイベントでは、チラシや資料の作成、打ち合わせ等、企画から運営まで行い、参加者にも満足度の高いイベントとなりました。「現状分析力、行動力、コミュニケーション力、課題把握力の重要性を、身をもって経験し、自分の得意なことで相手に喜んでもらえることに価値を感じた。」と話しました。
 他にも、地域の人々とのつながりがきっかけとなり、バレーボールやフットサルの活動への参加、放課後子供教室、ラグビーチームへのボランティア等様々な活動に積極的に参加し、地域の方々との交流を深めました。鉄の歴史から導かれた、釜石の人々のオープンな気質や地域性が感じられる釜石市ならではのGPでの活動を通して、「場や機会を作ることを実施する中で、経験や学びが多くあり、多くの人から支えてもらった。」と語り、感謝を伝えました。派遣先のボツワナではバレーボールを通して、GPの経験を活かし現地の方々を巻き込みながら現地の方のための環境づくりをしていきたい。」と報告をまとめました。

(一社)根浜MINDで活動中の鍋田 肇さん 

活動報告を行う鍋田さん

 2022年度2次隊としてブータンに派遣予定の鍋田 肇さん(農林統計)は、(一社)根浜MINDにてGPに参加しました。活動の前半に主に地域を知る活動をした鍋田さんは、後半には地域で行われているハマナス再生プロジェクトの取組みや国外の防災に関わる取組みへのサポートを行いました。ハマナス再生プロジェクトでは住民の方々と種を植えるイベントの運営に携わり、イベント後はハマナス畑の管理を行いました。また、国外の防災に関わる取組みでは、釜石市の復興からのまちづくりに関連する資料の英訳をはじめ、特につながりの強いインドネシアのアチェ地方について知見を広げる勉強会を開催しました。また、釜石市の人々と共に活動する中で、震災時に世界各国より支援をいただいた経験から、日本と世界とのつながりを大切にされている方も多く、震災復興・防災の取組みを通して、紛争のない平和な社会作りの重要性にも触れられる機会が多かったのが印象的とのことでした。残りの活動期間では、インドネシアとオンラインで接続して行う2度目の勉強会開催や釜石市の開発の歴史をまとめたワークトリップの案作りにも取り組んでいきたいと発表しました。

(株)かまいしDMCで活動中の宮崎 真緒さん 

活動報告を行う宮崎さん

 2022年度2次隊としてベトナムに派遣予定の宮崎 真緒さん(建築)は、(株)かまいしDMCでGPに参加し、根浜地区の高台移転プロセスのワーク化と市内のワーケーション施設の基本計画についての取組みを行いました。根浜地区のワークは、対象に大手企業の若手職員と修学旅行生(中高生)の2つを想定し、高台移転のプロセスを題材にしたグループワークや実際のまち歩きを取り入れた2時間の研修プログラムを作成しました。ワーク化にあたっては、地域住民の声を内容に盛り込み、工夫を凝らしたワークが完成しました。また、ワーケーション事業では、さらなる受入れ拡大に向けて施設の新たな建築を目指し活動を行いました。ミーティングへ参加し、関係者へのヒアリングを通して、施設の設計図案を提案しました。
 「建築計画の初期段階において、新たな知識を獲得できたと共に、これまでの経験や知識を生かして、プロジェクトの進行に貢献でき、任地での活動へ向けての自信となった。」と報告しました。
 GPでは、今まで培ってきた仕事の仕方・考え方などを見直す期間ともなり、地方では多種多様な人材が地方創生に取り組んでおり、面白い人が沢山いるという発見もありました。地方創生が一握りの人のものではないことを実感したと言います。想像した以上に実のある期間となったGPでの活動を糧にベトナムへの2年間の活動へ抱負を語りました。

地域のみなさんと共に過ごした3人の候補生 

活動報告会に集まって下さったみなさん

 GPを行うにあたり、初めて釜石市に長期滞在する3人を自治体・活動関係者のみなさんをはじめ、地域のみなさんは温かく迎え入れてくださいました。活動を通して、また余暇時間に市内各所を訪れ、釜石市、そして地域の方々の魅力を存分に感じたようでした。候補生自らが、お寿司をふるまうイベントを企画し、お世話になっている関係者の方々と楽しいひと時を過ごしたり、地元のラグビーチームである釜石シーウェイブスの試合を観戦したりするなど、地域での生活も充実した様子でした。派遣中、派遣後も協力隊活動を通して、あるいは「つながり人口※2」として関わる絆が生まれたように感じられました。今後も釜石市と候補生が末永い繋がりとなるようJICA東北もサポートを行っていきます。GPに関わって下さった釜石市のみなさん、ありがとうございました。

報告者:JICA東北 小林/菊池

※1「JICA海外協力隊グローカルプログラム」
帰国後も日本国内の地域が抱える課題解決に取り組む意思を有するJICA海外協力隊が、地域の方々とともに、自治体等が実施する地方活性化や地方創生の取り組みを学び、海外での活動に活かしてもらうことを目的としています。訓練所での派遣前訓練開始前の期間(3か月間程度)に研修を行い、日本国内の地域活性化の取組みを知る事で、開発途上国での協力活動においても有益な実務経験や知見を得ることも期待されます。

※2「つながり人口」
釜石市では、釜石市とかかわりを持ち続けてくださる関係人口を「つながり人口」と呼んでいます。