【岩手県】「JICA海外協力隊グローカルプログラム(遠野市・釜石市)」に参加した協力隊候補生による最終報告会

2023年4月7日

2023年1月9日(月)より、岩手県遠野市と釜石市で12週間のJICA海外協力隊グローカルプログラム(GP※1)に参加した3名のJICA海外協力隊候補生が、最終報告会を行いました。

遠野市の農事組合法人宮守川上流生産組合で活動した穴井祐介さんと高橋翼さん

遠野市最終報告会の様子(穴井さん)

遠野市最終報告会の様子(高橋さん)

 穴井さん(派遣国:ガボン、職種:コミュニティ開発)は、元地域おこし協力隊の経験を活かし次々とアイディアを実行。商品の魅力を伝えるためのテンプレートやSNSでの情報発信、更には「TOEHOC(トーホック)」と命名した東北弁クイズチャレンジで産地直売店の集客アップに貢献しました。実施期間中は総勢240名もの参加者を呼び込み、遠野テレビや岩手日報など、地元メディアの注目も集めました。
 群馬県卓球チャンピオンの高橋さん(派遣国:グアテマラ、職種:卓球)は、同組合イチオシ商品「遠野どぶろく」の魅力を広めるため、「どぶろくチャート」制作プロジェクトを立ち上げました。結果、20種類ものどぶろくのチャートを完成させ、県内各地のどぶろく生産者のつながりも生み出しました。高橋さんは自身の活動を振り返り「任地のグアテマラでは『周りを巻き込む力』が一番必要になるので、諦めずに積極的に話しかけたい。」と発表を締めくくりました。
 穴井さんと高橋さんはソトから来た「風の人」として新しい種を運びつつ、遠野の風土から多くを学んだようです。そんなグローカル生のお二人に「協力隊として開発途上国で活動するにあたり、なかなか思うようにいかない経験をするのはとても大切なこと。次のグローカル生も応援しています」と同組合長が激励のメッセージを述べられました。多田遠野市長からは「二人とも感性が良く、海外でもすぐに受け入れてもらえるように感じました。その土地、季節にそれぞれの魅力があるのでオープンマインドで活躍してほしいです」と温かなコメントを頂きました。
「宮守のファンを作りたい!」と試行錯誤で取り組んだ3ヵ月間。二人が遠野を離れる際は20名以上のたくさんの宮守「ファン」に囲まれ、地元の方々との別れを惜しんだそうです。

釜石市の(株)かまいしDMCで活動した永井淳子さん

釜石市最終報告会の様子(写真左から野田市長、永井さん)

 観光分野で豊富なキャリアを持つ東京出身の永井さん(派遣国:ベトナム、職種:観光)は、GP開始当初から即戦力として、インバウンド向けの情報発信、サスティナブルな活動や情報収集、国内自治体向けの情報発信ツール作成といった、具体的な取り組みをされました。特に注力したのが「住民交流を通じ地域理解を深める活動」。永井さんは、GPから得た学びとして次の三つを挙げました。1)図々しさが活動の幅を広げ、2)一緒に遊ぶことでコミュニケーションを取りやすくし、3)人の話を聞くことで自分の気づきにつながることを知った。
 聡明でまっすぐな永井さんは「釜石に来て、(地元の人は感じない)ちょっとしたことに心から素晴しいと思えることは、ヨソモノの価値だと思った」と3ヵ月を振り返りました。
 最後に、野田釜石市長は、「JICAとは長い付き合いで、今まで多くの活動を展開したことから、永井さんのことは前からの知り合いのような気持ちです。それだけ人間性に溢れ、コミュニティづくりにはうってつけの方。任地ベトナムで強い絆を作り、必ず釜石に帰ってきてください。」とエールを贈りました。

地域のみなさんと共に過ごした3人の協力隊候補生

報告会に集まってくださったみなさん

 GPへの参加により、初めて岩手県に長期滞在した3人を自治体・活動関係者のみなさんをはじめ、地域のみなさんは温かく迎え入れてくださいました。地域の生活や文化に触れ、みなさんとの交流を通して生まれたつながりから貴重な経験に出会い、日常ではなかなか体験できない経験から多くの学びを得たようでした。今後も候補生が関係人口として、末永く地域と繋がるようJICA東北もサポートしていきます。GPに関わってくださった遠野市と釜石市のみなさん、ありがとうございました。

※1「JICA海外協力隊グローカルプログラム」
帰国後も日本国内の地域が抱える課題解決に取り組む意思を有するJICA海外協力隊が、地域の方々とともに、自治体等が実施する地方活性化や地方創生の取り組みを学び、海外での活動に活かしてもらうことを目的としています。訓練所での派遣前訓練開始前の期間(3か月間程度)に研修を行い、日本国内の地域活性化の取組みを知る事で、開発途上国での協力活動においても有益な実務経験や知見を得ることも期待されます。

(報告者:JICA東北 荒屋敷)