ポストコロナの時代にこそ、国際協力・共生を考える力を

新型コロナ感染症対策により、全国的な休校措置が続いた5月、JICA東京教師海外研修のOB・OG教員の皆さんは、研修で生まれたつながりを活かし、各地で国際協力の重要性を考えるオンライン授業を展開しました。

2020年6月9日

4月、これまで経験したことのない教室に児童生徒のいない新学期を迎え、JICA東京教師海外研修OB会は「今できること」「今だからできること」を模索してオンライン会議を重ねました。
「JICAの在外事務所や専門家、協力隊員とオンラインでつながって授業が展開できないか」その思いに、教師海外研修受け入れやオンライン授業に協力した経験のある、ザンビア事務所、パレスチナ事務所が応えてくれることになりました。

<OB会で共有できる教材づくり>

パレスチナ事務所とのオンライン授業 ラスラン所員と長男のモハメド君

まずは両国の概要紹介。ザンビア事務所は松村次長が日本語で、パレスチナ事務所はラスラン所員が英語でプレゼンして坂元次長が解説してくださいました。プレゼンには各国のコロナ対策の状況も盛り込まれました。

OB会は、これを授業で使いやすいように10分程度の動画教材にまとめ、日本語字幕もつけて共有しました。この情報をベースに、児童・生徒がそれぞれのテーマで探究活動を行う授業が、各校で展開されます。

<オンライン授業で現地の声を聴く>

授業はビリン村にあるラスラン所員の自宅から配信。右端が坂元次長

中島真紀子先生(2018年参加者・筑波大学附属中学校)は、中学2年生のHRH(道徳・学活活動)で、両事務所と3週連続のインタビュー授業を行いました。パレスチナでは、ラスラン所員の中学生の息子さん(日本と同様、休校措置により在宅学習中)も参加、休校中に家でしていることや、将来の夢について意見交換ができました。自分たちと同い年のモハメド君の夢が「町から占領軍がいなくなって、自由に生きられること」だったことに、中学生は深く思いを巡らせていました。

ザンビア事務所 松村次長とマラマ所員

ザンビア事務所へのインタビューでは、「ザンビアには73も部族があるというのに、独立以来一度も内戦が起きていないのは何故ですか?これはインターネットで調べても出てこなくて」との質問に、ムワバ所員が答えてくれました。

ザンビア事務所 「どうしてザンビアは独立以来、内戦がないのですか?」という質問に答えるムワバ所員

「部族の言葉や習慣には、似ているところも違うところもあるけれど、それぞれを尊重し、なかよく暮らそうとしています。平和な国であることを誇りに思っています」

<帰国中の専門家・海外協力隊の声を聴く>

長野高校では、2019年参加の竹村ゆかり先生が中心となって、海外研修で訪問したプロジェクトの専門家、海外協力隊員との縁を繋ぎ、その声をオンラインで届ける授業を展開しました。北海道大学の中田北斗専門家を招いた回は、研修で縁のつながった埼玉県立浦和高校ほか、3校を繋いだリレー授業を展開し、オンラインならではの学びができました。

<今できること、今だからできること>

新型コロナ感染症との戦いは日本だけのものではありません。色々な国、色々な人の思いを知り分かち合うことは、「今できること」「今だからできること」。教師海外研修の輪は確実に広がり、国際協力の意義や共に生きること、平和について考える学びが、各地で展開されています。

報告者
JICA東京 市民参加協力第一課 古賀