JICA東京初のプログラム型オンライン研修「高齢化対策」(2週間実施)を振り返って

JICA東京では11月に2週間のオンライン課題別研修「高齢化対策」を実施し、 高齢化が社会問題となっているアジアや中南米から約20名が参加しました。

2020年12月15日

「オンライン見学」で広がる学びの可能性

上田家のオンライン見学風景
(皆様90歳台)

昨年度までの課題別研修「高齢化対策」では、講義と高齢者介護事業所やコミュニティの現場等への実地見学の両面を重視してきました。今年はオンライン研修となったため、参加者には実際に足を運んで見てもらうことができません。そこで「オンラインによる見学」を実施することにしました。ご協力いただいたのは、都内の上田家(高齢者世帯)の皆様、横浜市の野毛坂グローカル様、藤沢市のぐるんとびー様、東近江市の永源寺診療所様です。現地とWeb会議システムで接続し、高齢者の住居の設備や高齢者との談話、地域の支え合い活動、介護事業所の中の様子や周辺の街並み、高齢者の診療の様子などを、臨場感をもって伝えることができました。高齢者の方と接する機会を含む実地見学は当面難しいかもしれませんが、「オンラインによる見学」に学びの手段としての新たな可能性を感じました。
ご協力いただきました見学先の皆様、本当にありがとうございました。

オンデマンド動画講義とオンラインQ&Aセッションの相乗効果

オンデマンド動画講義

本研修の開始時間は日本時間の朝10時半でしたが、スリランカの研修員にとっては朝の7時、メキシコの研修員にとっては夜の7時半といったように時差があるため、オンラインセッションを長時間行うことはできません。このため、講義については動画を撮影して参加者が任意の時間に視聴できるようにし、講師への質問を事前に提出してもらうようにしました。

オンラインQ&Aセッション

オンライン研修では、同じ講師が登壇し、提出された質問に対する回答を中心としたQ&Aセッションを行いました。この方法により、参加者は充分な時間を使って取りこぼしなく質問を出すことができ、講師は事前に質問を確認して的確な回答を準備することができました。

全ての研修員が2週間の研修を完走し結ばれた絆

修了式後も退出を惜しみチャットが続きました。

時差のため連日早朝や夜間の参加となった参加者もいましたが、全員が最後まで熱心に参加しました。修了式後もWeb会議システムから退出するのが名残惜しく、チャット欄は別れを悲しむコメントでいっぱいになりました。コースリーダーをつとめ、終始笑顔で研修をリードしたJICAの中村国際協力専門員(高齢化分野専門)は「オンデマンドの講義、受講者からのフィードバック、オンラインでの質疑と議論、という組み合わせは、コロナが終息しても研修の一つのスタンダードとなるのではないかと思います。この研修は個人的にもとても楽しく、2週間終わった後には、ちょっとした研修ロスになりました。一方で、研修員同士の学び合いが深まる対面研修、画面には映らない現場の規模感や空気感が感じられる実地見学の良さを改めて認識する機会にもなりました。」と語っています。遠隔地にいて実際には顔を合わせたことのない各国の参加者と日本の運営陣が、一体感をもって共にこのオンライン研修を完走し、学びの絆で結ばれたことを感じます。

<事業・研修の概要>
 ・実施期間:2020年11月9日から19日まで実施
 ・タイトル:「高齢化対策」‘Policies and Actions Responding to Aging Challenges’
 ・参加国:研修員はインドネシア、マレーシア、メキシコ、スリランカ、タイからの11名、オブザーバとして約10名が参加。