障害のある研修員に安心して過ごしてもらうためのマニュアル完成座談会を実施

障害者週間最終日となる12月9日(水曜日)、国内外のJICAスタッフを対象に障害のある研修員の受け入れマニュアルの紹介と障害理解を深めることを目的としたオンライン座談会を開催しました。

2020年12月23日

障害となる環境を取り除いていく

課題別研修 「障害者権利条約の実践のための障害者リーダー能力強化」の様子(2019年度)

JICA東京では年間約4000人の研修員を受け入れており、その中には障害のある方もいます。そこで、障害の有無に関係なく、すべての研修員が安心して研修に参加できる環境づくりを目指し、組織内向けの「研修コースにおける障害当事者の受入及びコース運営マニュアル」を作成しました。

JICA東京には7つの課があり、すべての課で障害者差別解消に取り組んでいます。課を超えて、お互いの経験や知見を共有しながら障害となる環境を洗い出し、それを取り除くために出来ることを模索・実行しています。

あらたに完成したマニュアルでは、障害のある研修員を受け入れる際に、事前にどのような準備および手続きが必要か、アンケート項目で確認すべき事項、来日後の注意点などについて、初めて研修を担当するスタッフでもわかるよう解説しています。

マニュアルの先にあるのは対話

自身の受入経験を共有する研修担当職員

12月9日(水曜日)の座談会では、同マニュアルの中身と活用事例を紹介。
さらに、障害のある研修員の受入れ経験のあるスタッフから「車椅子をレンタルする際はフィッティングが重要」「テキストの読み上げソフトを使用する際に、研修員の母語への対応に時間がかかり苦労した」など、過去の体験に基づく気づきや反省点などを共有しました。

盲導犬ユーザーの職員からマニュアルについて解説

最後に、このマニュアル作成にご協力いただきました久野研二国際協力専門員より「合理的配慮とは個別的な対応。例えば、視覚障害者が2人いたら必要とする配慮の内容はそれぞれ異なる。最も重要なことは“本人に聞く=対話”。今回のマニュアルは具体的な説明がなされており、現場での利用に非常に有用。それを例として、障害者本人との対話を重ねていってほしい」とのコメントをいただきました。

モヤモヤを話し合える場をつくる

今回の座談会には、国内外のJICAスタッフ約100名の参加がありました。
事例紹介や質疑応答を通じて疑問が晴れたところもある反面、「障害」を取り除くために自分たちは何ができるのか?など、さらに理解を深めるきっかけができたのではないかと思います。そういった正解のない問いについては、引き続き対話の場を設けながらJICA全体で考え続けていきます。

聴覚障害のある参加者向けにUDトークを使用

JICAの研修は、多様性のある参加者と作り上げていくことで、参加者はもちろん、携わったスタッフにとっても学びが広がります。今回完成したマニュアルが、JICAスタッフがそれぞれの場所で障害のある環境を取り除いていく中での拠り所となることを、マニュアル作りに関わったスタッフ一同願っています。