COVID-19 対応最前線で活躍する医師・看護師・行政官の熱い議論

日本のCOVID-19対応最前線で活躍する医師・看護師等を講師陣に迎え、各国の保健衛生政策策定に おいて中核的立場にある行政官8名が、3週間にわたるオンラインセッションを実施しました。

2021年3月18日

日本のCOVID-19対応最前線で活躍する医師、看護師とのディスカッション

ファシリテーターと運営担当はJICA東京から、講師の先生はそれぞれの職場から参加しました。

感染発生当初から現在に至る日本のCOVID-19対応について公衆衛生危機管理の観点から対策に携わっている国立機関の専門医、地域の病院で患者受入を経験した2つの病院の医療安全管理担当者、看護部長を講師に迎え、ディスカッションを行いました。
国の対策としては、3密回避やクラスター対策、検査体制、接触確認アプリなどについての紹介があり活発な質疑応答が行われました。患者受入病院の経験においては、面会制限による課題が取り上げられ、患者・家族の精神的な負担に加え情報共有の困難さがチーム医療を妨げている問題などが共感を呼び、オンライン面会の導入に期待が寄せられました。また受入決定から病棟稼働までに地域の病院が経験した具体的な過程の紹介に対しては、スタッフの感染リスクや患者への偏見などについての質問が出たほか、病院のチームワークを賞賛する声が相次ぎました。

COVID-19そしてエボラ出血熱、各国における闘い

2019年度に本研修を修了した研修員であり、本年度の受講者でもあるシエラレオネの公衆衛生省プライマリヘルスケア局長から、2014年に同国で発生したエボラ出血熱対応の経験についての発表が行われました。数日前に近隣国での感染が再発し予断を許さない状況にあるなか緊急会議の合間を縫っての登壇でしたが、当時の経験がCOVID-19対応にも活かされていることや、ワクチン、社会的動員の工夫などについて熱弁をふるいました。また、2020年8月首都ベイルートでの大規模爆発後COVID-19感染者が急増し医療体制のひっ迫が問題となっているレバノンから、2007年度の研修員であった公衆衛生省公衆衛生・社会保健局長が登壇し、本研修で得た知識をもとに、医療現場の前線にいる看護師やソーシャルワーカーの能力向上研修や、地域住民への感染対策に関する正確な知識の伝達、患者や医療従事者の心のケアなどに取り組むプランについて説明がありました。国は違っても共通する課題があり、各国の研修員は熱心に聴講し、意見を述べました。

保健政策に関する多くの課題を共有

研修員は自国のCOVID-19 対応で非常に多忙でしたが、全員が最後まで積極的に参加し、スピード感のある議論が繰り広げられました。日本、各国のCOVID-19対応の紹介に加え、 建物などの物理的な感染対策、ウィズ/ポストコロナにおける医師、看護師の人材育成、社会的弱者のセーフティネットなど、保健政策を考える上で重要な複数のテーマが取り上げられ、COVID-19の流行で様々な制約がある中でも、サービス提供体制を整えアクセスを確保するユニバーサル・ヘルス・カバレッジの推進がより一層重要である点を改めて認識しました。

<事業・研修の概要>
・開催期間:2月中下旬の5日間
・タイトル:「UHCに向けた保健政策の策定及び実践」‘Health Policy Development and Implementation toward UHC’
・参加国:アフガニスタン、コンゴ民主共和国、ガーナ、ケニア、シエラレオネ、南アフリカ共和国より計8名