NGOによるNGOのための「活動を可能にするための安全管理」研修を開催

NGO安全管理イニシアティブは、主に国際協力NGOを対象とした組織の安全管理者向け研修(2月18,19日)、現地活動スタッフ向け研修(2月24~26日)を開催しました。

2021年3月18日

“Security is an enabler” 安全管理対策は、組織の活動を可能にするためのもの

今回は西日本に事務所を置くNGO団体が参加して開催。講師、参加者の中には海外からの参加もありました。

安全管理対策は、組織の活動を可能にするためのもの】
日本のNGO全体の安全管理能力の向上を目的に立ち上がったネットワーク型の組織である「NGO安全管理イニシアティブ」(以下、JaNISS)は、“Security is an enabler”「安全管理対策は、組織の活動を可能にするためのもの」という考えのもと、2018年度から仙台、東京、横浜で組織の安全管理者向け研修及び、現地活動スタッフ向け研修を開催してきました。同団体は今年2月下旬に、オンラインでの研修を開催し、西日本を拠点とする主にNGOのスタッフ24名が各研修に参加しました。
安全管理者向け研修は、主に組織内の安全管理担当者、代表者が参加し、民法第644条でも定められている「善管注意義務(NGOは被雇用者に対し、安全な職場環境を確保し、あらゆる予見可能なリスクから彼らを守るために合理的で実際的な対策を講じる義務を負う)について講義を受けました。その後、他の組織の取り組みを共有しながら、善管注意義務を果たすために検討すべき具体的な項目(組織の安全管理に対する経営管理者の責任、団体として方針と計画、経営資源、人事管理、責任の所在の明確化等)を基に、自組織の安全管理対策の改善、または策定に向けたアクションプランを作成しました。

起こり得る脅威は発生する頻度と周囲に与えるインパクトでリスク評価

対象地域で起こり得る脅威を評価するとは?

現地活動スタッフ向け研修は、現地に赴くスタッフが主に参加し、対象地域で起こり得る脅威(盗難・交通事故・災害・暴動・テロ・感染症など)について、発生の頻度と、その脅威が与えるインパクトの大きさでリスクを評価し、取り得る予防と軽減策について、例題を通して学びました。講師から、コロナ禍に関わらず現地活動において脅威が一番発生する場面は、移動中の路上で起きていると紹介がありました。参加者は、交通事故や、車両を止められて盗難にあうといった事態を避けるために取る予防措置や、遭遇した際のリスク軽減措置について、参加者の知見と経験をもとに議論し、理解を深めました。
また、コロナ禍で現地渡航に伴うリスク管理と費用を考えると渡航に踏み切れないことや、現地スタッフが感染した場合の対応をどうするかといった懸念に対し、それぞれの事業地おいて感染した場合の対応方法・手順について記載したもの(SOP:standard operating procedure)を策定して対応している事例が紹介されるなど、相互の学び合いが見られました。

コロナ禍で見直すストレスマネジメント

講師を務めた豊富な経験と知識を持つNGO職員の皆さん。

現地活動スタッフ向け研修の最後に、ストレスマネジメントについて考えました。NGOスタッフが途上国に業務従事のために渡航し、外国人として滞在する際には個人差はあるもののストレスがかかります。また、コロナ禍での現地渡航や、事業地での活動、遠隔での事業といった新たな環境で業務に従事することから、個人レベルでのストレスマネジメントの方法を知っておくとともに、組織としてスタッフのストレスマネジメントをどのように行うか、検討することも重要であると話し合われました。
本研修は、講師、参加者ともにNGO等のスタッフであり、終始、各NGO、各個人のもつ知見と実際の事例をもとに意見交換が行われ、安全管理対策について相互に学び合いました。
JaNISSの本研修は、JICAのNGO等提案型プログラムで実施されており、今後の予定は、2021年4月23日(金)に成果発表会を開催する予定です。