Dear friends in Gaza ~心に平和の砦を~

6月2日、東京都立小石川中等教育学校高校3年生24名が、JICAパレスチナ事務所・ガザ出張所を繋いだオンライン授業を実施しました。

2021年6月15日

ニュースの向こう側

 今年5月10日に始まったガザ地区へのイスラエル軍による空爆。激しさを増す衝突のニュースは、日本でも連日報道されていました。パレスチナの現状を知りたい、という高校生の声に応えて実現した今回のオンライン授業では、まずJICAパレスチナ事務所坂元次長から、空爆開始までのいきさつや停戦後の状況などが伝えられました。長く複雑な歴史の上にある対立。多くの民間人が犠牲になった衝突には、様々な立場からの見方と主張があることを学びました。

マクロからミクロへ 

【画像】 第2部では、ガザ出張所のサヘル所員と17歳になる双子のお子さん、エリアンさんとジャベルくんに繋ぎました。「前回(2014年)のガザ紛争の時は10歳だった。17歳の今は、今この瞬間にもロケット弾が自分の家に命中するかもしれない、家族を失うかもしれないという現実が理解でき、10歳のころよりずっと恐ろしかった。空爆が終わった今も、大きな声が聞こえたりすると怯えてしまう」エリアンさんは言います。生まれてから17年間、ガザ地区から外には一度も出たことがない、という二人の状況は、日本の高校生には想像もつかないものでした。 

【画像】 趣味は何かという質問にジャベルくんが「写真を撮ること。将来は映像制作者になりたいんだ」と答えたとき、「インスタグラムやってたら教えて?」という声が上がりました。ジャベルくんが応えて画面を見せてくれた時、空気が変わりました。「すごい!素敵な写真!!もっと見たい!」小石川の教室に歓声が沸き上がり、ジャベルくんとエリアンさんの顔に笑顔がひろがりました。話題ははずみ、「エリアンさんの趣味は何なの?」「好きなことは色々あるけど、今は受験勉強が大事。大学に行きたいの」「私たちも同じだよ、コロナで課外活動もできないし、高3だから毎日勉強。受験勉強は大変だけど頑張ろうね」「パレスチナには、映像制作を勉強できる学校がないんだ。日本の大学に行って映像制作の勉強が出来たら最高だな。日本に行けたら、君たちにきっと会いに行くよ」
 この授業の担当である末佐和子先生が期待した世界の課題に対する「マクロの視点からミクロの視点への転換」は、こんなふうに実現しました。

Dear my friends

【画像】この日、小石川中等教育学校の生徒達には、ガザ地区に大切な友達ができました。エリアンさんとジャベルくんのいるパレスチナのニュースは、今までと全く違う音でみんなの心に響くでしょう。
ふたりの夢が実現することを、みんなの心の中に築かれた平和の砦が、いつか世界を変えることを、心から願います。

報告:市民参加協力第一課 高橋瑞樹・古賀聡子

*戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない。
— ユネスコ憲章 前文 —