コロナ禍でもよりよい学びの場としていくために!

研修員受入事業に関わる機関の方を対象に、コロナ禍で開始した遠隔研修について、事例紹介も交えた説明会を6月3日、8日に実施しました。

2021年6月16日

2020年度遠隔研修を振り返って

遠隔研修の振り返りを紹介 

 研修員受入事業に関わる機関の方向けの説明会を2年ぶりに実施し、遠隔研修の振り返りや実施方法の説明、実際の事例紹介をオンラインで行いました。2回にわたって開催した説明会には延べ約170名が参加しました。
 冒頭、所長の田中より「2020年度は手探りでの開始ながら、遠隔での課題別研修を年度内に51コース実施し、492名の研修員が参加。帰国研修員を対象としたフォローアップセミナーなど関連した活動21件も含めると当初予定の3/4のコースで学びの機会を提供することができた。関係機関のご協力に感謝。遠隔であっても信頼関係の構築、課題の共有、解決の道を一緒に考えていくことはできるのではと確かな手応えを感じた。」と挨拶しました。
 遠隔研修の振り返りでは、研修日数も限られ、接続環境や時差などの制約があるものの、来日研修では参加が難しい職位の高い方等も参加できたり、帰国研修員やJICAプロジェクトの関係者等リソースを柔軟に活用できたりといったメリットもあることに触れました。また、映像教材や学習管理システム等の有効活用、双方向性の確保・主体的な参加の促進・理解度の確認に気配りした事例も多くみられました。

遠隔研修の実際 様々な工夫 メリットも 

オンラインでの説明会

 遠隔で課題別研修を実施した3機関から実施事例も紹介しました。

●「観光振興とマーケティング」株式会社ワールド・ビジネス・アソシエイツ(理事・シニアコンサルタント 元山 純一郎氏)
来日研修で行っている見学や視察での学びのポイントを、遠隔研修でも伝えるべく、事前に動画を制作した例を紹介いただきました。動画制作にあたっては、「講師の方が何を伝えたいかを詳細に伺って、動画に反映させること」、「取材先の方々に動画制作の意図と目的を丁寧に伝えること」、などに留意することで、より伝わる動画教材になることを教えていただきました。
●「都市交通総合」アルメックVPI(渡邊 玉興氏)
様々なツールを利用して研修員とコミュニケーションを取り、オンライン上のホワイトボード、付箋機能なども活用してディスカッションを行った事例を紹介。研修員それぞれの所属都市の課題解決に向けた改善計画作成にあたって、きめ細かな指導も感じられました。
●「UHC時代の結核制圧と薬剤耐性—検査リーダーのための実施訓練を通じた知識と技術の向上—」公益財団法人結核予防会結核研究所(国際協力・結核国際情報センター 国際研修科長代理 松本 宏子氏)
オンライン研修では、役職の高いマネージャー等も参加できることで、ディスカッションが活性化し、内容の密度も濃く、お互いの学びも高度なものになりました。学習管理システムの利用で、課題(動画視聴等)提出などの進捗状況がオンラインで一挙に確認でき、把握が容易となりました。Zoomでの外国人講師や帰国研修員をリソースパーソンとして登用、といった利点をあげられました。未経験ながらオンライン研修にチャレンジし、試行錯誤したことは有用な経験となり、来日研修にも活かすことができると述べられました。

これまで築いてきた国際協力・人材育成を止めない 

 参加者からは導入予定の学習管理システムや事例紹介などに対し、質問も多く寄せられ、有用な情報共有の場になったとの声がありました。コロナ禍においては、国際的な課題を共に考えることがますます重要になってきており、引き続き遠隔での研修事業の必要性は増してきています。昨年度の工夫や反省を振り返り、今年度も関係機関の皆様と一緒に工夫し挑戦していきます。