地域で活躍する中小企業の魅力を知ろう!

日本の経済は地域の中小企業が支えています。そんな中小企業の魅力をJICAの留学生に紹介することを目的に「地域理解プログラム」を開催しました。

2021年9月10日

中小企業の歴史や概要を紹介 

国際大学の舟橋准教授をお招きし、明治以降の日本の近代化に伴う経済構造の変化や国内各地の中小企業が果たしてきた役割について説明があり、中小企業が日本経済を支えている点や、「三方よし」の精神に基づき地域の発展・社会課題解決に貢献している中小企業について紹介いただきました。参加した留学生からは、日本の中小企業政策、日本の近代化の歴史とそこから得られる学び、近年の中小企業減少の理由等について活発な質疑応答が見られました。

岡田製作所~群馬県館林市の有機性原料の堆肥化プラント製造メーカー~

岡田製作所の小澤様によるご講演

養鶏農家であった創業家による飼料攪拌機・給餌機の開発や、給餌機普及による地域の養鶏場の規模拡大に伴い家畜糞乾燥機の開発を進めるなど、県の畜産業の発展と共に歩んできた会社の歴史が紹介されました。地域に潜在化する顧客ニーズの汲み取りと自社技術の開発といった、県の畜産業の発展に向けた企業努力が感じられました。また、地元高校生のアイデアから生まれた小型メタン発酵装置による発電や環境にやさしい廃棄乳処理機、地域に根差した堆肥処理施設建設などの新しい動きについて紹介がありました。

田中衡機工業所~新潟県三条市の操業110年を超えるはかりメーカー~

田中衡機工業所の福田様によるご講演

販売後も顧客を思いやり長年精度を保ち続ける努力を惜しまない「はかり屋」魂や産業基盤構築への責任感といった、事業を継続・展開する上で重要となるマインドセットを中心に紹介をいただきました。特に、企業理念(「人と人とを信頼で紡ぎ、今よりも幸せな世界を育む」)に基づき掲げられた「失敗は宝!ピンチの時こそ踏み出す」といった行動指針に留学生は強く共感していました。また、ベトナムでの過積載車両取り締まりに向けて、同社による走行車両の重量計測システムを導入した事例も共有され、アフリカへの展開を期待する声が聞かれました。

元JICA留学生が感じる中小企業の魅力 

元JICA留学生の
Chanisara Kajornchaikulさんによるご講演

東京工業大学大学院修士課程を修了後、株式会社イノベーティブ・ソリューションズに就職した2 名の元JICA留学生より、職場での様子や日本企業に就職した理由等について紹介をいただきました。インターンを経て採用に繋がった自身の経験や多様な国籍の人材を雇用し英語でのコミュニケーションにも問題ない職場であることが共有され、参加した留学生にとって、実際に日本で働く元留学生の声を聴くことで日本での就業イメージを思い描くことのできる機会となりました。

継続的な交流を 

留学生は各講演に熱心に耳を傾け、地域に根差す取組を進めてきた日本の中小企業の特徴やビジョン、企業文化を理解する機会となりました。また、日本企業より、地域の特性をよく知る地元の中小企業だからこそビジネスチャンスを捉えていくことができるとの指摘があり、自国において中小企業振興を推進する役割を担う留学生にとってモチベーションの高まる機会となりました。
コロナ禍での留学生同士の横のつながりを確保すべく、JICA東京では今後も同様の機会を設けていきます。