観光のカリスマ “加藤 文男氏” の国際協力

千葉県南房総市にある道の駅「とみうら枇杷倶楽部」を訪問し、株式会社ちば南房総副社長、加藤文男さんにお話しを伺いました!

2021年10月15日

道の駅 枇杷倶楽部

観光のカリスマ 加藤文男氏

「観光カリスマ百選」に選ばれた加藤さん、生まれも育ちも富浦町、高校卒業後は安房郡富浦町(現南房総市)役場に就職、地域振興に関わり続け、全国道の駅グランプリ最優秀賞受賞駅に選ばれた「枇杷倶楽部」を立ち上げました。加藤さんの長年にわたる活動の結果、南房総市は日本で1番の道の駅過密地帯になっています。
地元に根を張った生活の傍ら、現在は3回目のJICA草の根技術協力事業のプロジェクトマネージャーを務めています。

春の枇杷倶楽部


道の駅は、休憩・情報発信・地域連携・防災の4つの機能を備えています。また、過疎化した地域では住民の買い物をする場、地域振興にも重要な役割を果たす場所と考えられており、それぞれの地域の特色を生かした道の駅の運営が求められています。
こちらの道の駅では、特産品である「びわ」をキーにした運営を行っています。今まで廃棄していた規格外のびわ・葉・種を使った商品開発を行い、併設している自社工場と外部の工場を併せて利用し商品を製造しています。季節に合ったイベントを企画したり、枇杷倶楽部が南房総市へのツアーを一括して受注するシステムを考案したり、いちご狩りや販売するものの工夫をしたことで、海水浴の時期に多かった観光客が年間を通じて訪問するようになりました。また、施設の一部を市民の方へ貸し出しもしていて、地域連携の場としても広く活用されています。

直売所には近隣の農家さんが栽培した、南房総市の名産である新鮮なお花や野菜が、色とりどり美しく並べられていました。

道の駅と国際協力

加藤さんは、JICAの草の根技術協力事業の実施団体の代表として、これまでベトナムにおいて道の駅を通じた地域振興に取り組んできました。
ご自身の経験を生かした、運営方法・商品開発・道の駅と地域振興の関わり等を指導し、「外側だけではなく、中身の詰まった道の駅を」という想いから、2018年からはアグロツーリズム推進による農業振興と防災環境の向上を目的にインドネシアのトモホン市で道の駅のプロジェクトを実施中です。

活動する中で大変だったこと、葛藤や喜び得たものはありますか?とお尋ねすると、
「やはり、様々な場面で日本とのギャップがあり、それらを解消する力も不足し、現場で戸惑いや空回りすることが多かった。しかし、農家の所得を向上させたいという意欲が強かったこと、日本へのあこがれを持っていて、“一村一品”や“6次産業化”といった言葉を知っていたこと、現地の方々が聞く耳を持っていたこと、日本人先駆者の足跡の軌道に乗れたことで乗り切れた。」
「言葉や社会制度が異なっていても、お互いの情熱は伝わり、相乗効果で事業成果は高められることが分かった。それぞれの現場で、業務を越えて交際できる方々に出会えたこと、現地の伝統的技術や世界観が学べたことは大きな喜びであり収穫だった。」と加藤さん。

「道の駅によって、地域自らが加工や販売など実践的なスキルを取得すること。」「道の駅がプラットホームとなって、広域的に人・物・技術の交流が促進され、新たな事業展開試行や実践の場となること。」を目標に、これからも国内外の道の駅に関わっていきたいと熱い想いをお話しいただきました。

市民参加協力第一課・高橋瑞樹