レバノン共和国公衆衛生省の幹部として活躍中の元研修員、ランダ・ハマデさんにインタビューしました!

2022年10月20日

元研修員のランダ・ハマデさん


ランダさんは公衆衛生分野の専門家として2007年に来日し、JICA主催の「保健衛生政策向上セミナー」に参加しました。レバノンに帰国後は、貧困層を含む人々に、安価に安定的に医療サービスを提供するための社会基盤の構築に尽力し、公衆衛生省の公衆衛生・社会保健局長となった現在も、レバノン全土242か所のプライマリ・ヘルスケア・センター(PHCC)(注1)を束ねる責任者として活躍しています。


こちらは素敵なモスクの中にPHCCが入っています!

PHCC内部の様子



(注1)プライマリ・ヘルスケア・センター(PHCC)とは?
PHCCとは、一般的には住民が最初にアクセス可能な医療機関の事を言います。レバノンのPHCCでは、医療費を支払うことが困難な貧困層やシリアからレバノンに逃れてきた難民等を対象に、安価に医療サービスを提供しており、厳しい経済社会情勢にある同国において、その社会的役割は極めて大きなものとなっています。

PHCCスタッフ向け研修の様子。皆さん真剣そのものです。

PHCCスタッフ向け研修の修了式の様子。達成感あふれる晴れやかな表情が印象的です。



最近では、新型コロナウィルス感染症への対応を強化するために、PHCCスタッフ向けの研修や、地域住民によるPHCC利用促進に向けた広報活動の強化を企画し、JICAもその活動を支援しました。(注2)

(注2)ランダさんの最近の活動に関する詳細は、JICAシリア事務所のニューズレター「アハバール・カシオン」をご参照ください。


このように、JICA研修での経験を活かして母国で活躍中のランダさんにお時間をいただき、15年前の研修や現在の業務についてお聞きしました!

質問1:JICA研修を受講した際に印象に残ったことや、研修で得られたことをどのように業務に役立てているか、教えてください。

研修のカリキュラム設計やその細部まで行き届いた運営が素晴らしかったです。特に講義の中では、理論を実践に結び付けるための実用例を多く示していただいたことが印象的でした。これらの知識は、帰国後の業務において大変役立ち、レバノンの同僚達にも共有しました。

質問2:将来のゴール、またその過程でJICAと共創し実現したいことなどがあれば教えてください。

レバノンにおけるプライマリ・ヘルスケアのネットワークをさらに強化し、レバノンの国民保健医療サービスになくてはならないエントリーポイント(保健医療サービスへの入口)として確立させたいです。具体的には、PHCCで働く医療従事者の能力向上、医薬品の管理や調達に係る情報のデジタル化促進を含む情報システム強化、PHCC利用者のニーズに応え問題を改善するための仕組み(グリーバンスメカニズム)の構築などを実現していきたいと考えています。JICAとは、これらの取組において共創できればと思います。

質問3:最後に、日本の皆さんに向けたメッセージをお願いします!

レバノンのプライマリ・ヘルスケア分野に従事する仲間を代表し、この場を借りて、日本の皆さんに感謝を伝えたいと思います。皆さんからの支援により、レバノンでは、人々が宗教、所属、国籍、民族又はその他いかなる理由によっても差別されること無く、保健医療サービスを受けることができています。また、JICA研修等でこれまでお世話になった皆さんの献身、思いやり、専門性の高さに敬意を表します!

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過去にJICA研修を受けた研修員が、日本で学んだことを活かし、母国での活動をさらに展開し活躍する姿を見ることは、研修事業に携わる者としても励みになり、とても嬉しく思いました。レバノンに住む全ての人々の生命と健康を支えるべく奮闘する、ランダさんやPHCCへの支援を、JICAとしても継続していければと思います。