国別研修「ASEAN感染症対策センターにおける公衆衛生危機管理」(第二回)を実施

2022年4月27日

ASEAN地域の感染症対策能力強化を目的に、2021年度第二回となる国別研修を開催。今回もASEAN各国から20名以上の研修員が参加し、世界保健機関(WHO)、アメリカ、カナダ、オーストラリア、欧州連合(EU)、アフリカ疾病管理予防センター(CDC)等海外の開発パートナーを含む国内外の多くの専門家とともに学びを深める場となりました!

ASEAN感染症対策センターの設立支援として国別研修(第二回)を実施

 2020年の日ASEAN首脳会議にて、ASEAN地域における感染症対応能力強化の中核拠点として「ASEAN感染症対策センター」が設立されることが発表され、日本政府はセンター設立への支援を表明しました。JICAはその一環として、センター設立・運営業務に将来携わることが期待されるASEAN加盟国保健省やASEAN事務局の若手行政官に対し、国別研修「ASEAN感染症対策センターにおける公衆衛生危機管理」(第二回)を、2022年2月16日から25日まで実施しました。

オリエンテーションでプログラム内容を説明

 この研修は、センターが担う機能である公衆衛生上の危機や新興感染症への「予防・準備」、「探知・リスク評価」、「対応」と、横断機能である「情報共有・分析、人材育成、研究開発」に関連する知識を身に付けることを目的としています。国内外の多岐にわたる機関(※)の専門家と協力し、20名以上の研修員に対して講義や意見交換、ワークショップを実施しました。


※(主催)JICA、外務省、厚生労働省
(国内の協力機関)国立感染症研究所、国立国際医療研究センター、新潟大学、東北大学、広島大学
(国外の協力機関)ASEAN事務局、世界保健機関、欧州疾病予防管理センター、カナダ国際関係省、アメリカ疾病予防管理センター、アフリカ疾病予防管理センター、オーストラリア保健省、国際獣疫事務局

第一回の研修で学んだ内容をより掘り下げる研修を実施

 第一回の研修では、公衆衛生危機管理に関する基本的な考え方を学びました。そこで、第二回の研修では、第一回で学んだ内容を掘り下げて、より専門的な知識を身に付けることを目的としてプログラムを用意しました。
 アメリカ疾病予防管理センターによる講義では、感染症発生時のシナリオを題材にし、危機対応策についてグループディスカッションを行いました。欧州、アメリカ、アフリカの疾病予防管理センターによる講義では、ASEAN感染症対策センターの設立・運営に役立つ実践的な知見・経験が共有され、研修員から活発に質問が寄せられました。また、第一回に参加した研修員からの要望も踏まえて、One Healthや感染症流行時の情報共有に着眼した新たな講義も組み入れ、知識の幅を広げました。
 研修の最後には、将来センター業務に携わることを想定して各研修員がアクションプランを作成しました。ASEAN地域における既存の保健医療に関するイニシアティブやマルチステークホルダーとの連携強化、ASEAN加盟国に求められる教育プログラムの作成、公衆衛生危機発生時の緊急対応に備えたASEAN地域の専門家の人材登録やコミュニケーションプラットフォーム作成等の具体的なアイデアが共有されました。

将来のASEAN地域の保健システム強化に繋がる研修員同士のネットワーク 

アクションプラン発表を終えた後、閉講式での一枚

 COVID-19流行の影響により全日程オンライン開催となりましたが、第一回と第二回を通して計17日間をオンライン上で共に過ごし熱い議論を交わしたことで、研修員同士の絆を深めることができました。
 センターの設立・運営には、加盟国同士の連携だけでなく、日本を含めた各国のステークホルダーとの連携も欠かせません。研修を通して築いた公衆衛生対策を担う各国の専門家とのネットワークが、将来のASEAN感染症対策センターの発展やASEAN地域の強靭で持続可能な保健システムの構築に貢献することを期待します。