【報告】「SDGs(持続可能な開発目標)学習の作り方」をいよいよ実践!~国際理解教育実践セミナー第2回(8月21日)

2021年9月7日

DEAR 八木さんのオンライン講義の様子

JICA筑波は、国際理解教育/開発教育の実践に関心のある方々を対象に、国際理解教育/開発教育の基本や考え方を知り、授業で実践する方法や手法等を学ぶセミナー「国際理解教育実践セミナー」を開催しています。今年度セミナーの全体テーマは「SDGs(持続可能な開発目標)学習の作り方」。認定NPO法人開発教育協会(DEAR)の八木亜紀子さんをファシリテーターに迎え、7月10日(土)、8月21日(土)の2回にわたり開催しました。今回は、8月21日に開催した第2回セミナーの様子をご紹介します。

第2回のテーマは「SDGs学習の作り方(実践編)」

パーム油の現状について写真から考えるワークの様子

サステイナブルについての講義の様子

新型コロナウイルスの感染が拡大している状況をふまえ、オンライン形式での開催となったセミナーには、SDGs学習や国際理解教育/開発教育に関心のある教員の皆さんを中心に26人が参加。参加した皆さんは、ワーク等にも積極的に参画し、活発な議論を交わしました。

今回のセミナーで扱った題材は、世界的に需要が増加傾向にある「パーム油」。最初のワークでは、「共通点をみつけよう」と題し、インスタント麺、マーガリン、石鹸等の写真を見ながら「共通すること」を見つけていきました。オンライン開催という点を活かし、各参加者には自宅で「植物油脂」と記載のある商品を探してもらいました。これにより、「パーム油」という題材、問題をより身近に感じる場面が見られました。また、グループワークを通して、「『サラダ油』や『ショートニング』って何だろう」「世界で一番使われている油って?」と、普段当たり前に使っているものの原料について改めて考えました。後半には、パーム油の生産にかかわるアブラヤシ・プランテーションをめぐる様々な立場の人の想いを想像しロールプレイを実施。また、その様子を見て、これから取るべきアクションをグループで考え発表しました。

これらのワークを通じ、参加者は、気候変動や人権問題は「海外」だけでなく、「わたしたち」(参加者)の「日常」にも原因があることを理解し、改めて自らの暮らしが「持続可能(サステイナブル)」なのかを考えました。また、これらのことを、授業で生徒たちにどのように伝えるのか、についても考えを巡らせました。
最後に、グループに分かれ、参加者同士で今日の学びや気付きを共有し、セミナーは終了しました。

参加教員からのSDGs学習実践方法の共有

SDGs学習の授業実践を報告する仙波先生

セミナー終了後には、「教師海外研修」への参加経験があり教育現場でのSDGs学習を実践してきた仙波先生(宇都宮市立泉が丘中学校)から、学校現場での実践事例についての共有がありました。仙波先生からは、授業づくりで大切にしていること、実際の授業内容について説明がありました。説明には多くの参加者が熱心に耳を傾け、「実践報告が勉強になった」「自校でも実践したい」などの感想が寄せられ、実りのある情報交換の場となりました。

参加者の感想

● パーム油にトピックを絞って、実際の授業形式で講義を行っていただいたことで、授業の作り方、流れなど、大変勉強になりました。また、このセミナーを受けなければ、これまで自分が気にも留めていなかったパーム油でした。学校に持ち帰って、子どもたちが大好きなスナック菓子などを通して、身近なものとしていけたらと思います。
● 前回のセミナー後から、普段から持続可能の眼鏡を掛けながら生活することを心掛けるようになりました。できることは少ないし、大きな1歩は難しいけれど、こうやって少しずつでも変わっていくことが大切だな、と感じています。そのように意識を変えてくださったことをとても感謝しています。そして、この感覚を子どもたちにも伝えていきたいと思います。
● オンラインでの研修についてもグループ活動のやり方など新たなヒントをたくさん得られたので、今後の授業に生かしていきたいと思います。