(報告)「中小企業×海外展開×SDGs」をテーマにセミナーを開催!(10月8日・茨城県)

2021年10月26日

【画像】JICA筑波は、10月8日、株式会社常陽銀行・ジェトロ茨城、ジェトロ・アジア経済研究所・(公財)いばらき中小企業グローバル推進機構との共催、また茨城県よろず支援拠点の協力のもと、「中小企業×海外展開×SDGs(持続可能な開発目標)」をテーマとしたオンラインセミナーを開催。
ポストコロナを視野にいれた海外展開、特に開発途上国でのビジネス展開を検討中の企業、SDGsに貢献する事業を検討中の行政・金融機関等の皆様70名以上のご参加がありました。当日の様子を報告します。

基調講演「日本の中小企業とSDGs~逆風なのか追い風なのか~」

佐藤氏によるSDGsのご講演

基調講演を行ったジェトロ・アジア経済研究所の佐藤氏からは、冒頭に「SDGs=(S)すっごく、(D)大胆な、ゆびきり(G)げんまん」との説明があり、参加者の関心を高めました。佐藤氏は、日本の中小企業がSDGsに取り組む意義として、次の点を挙げました。

1.顧客開拓:中小企業にとって、SDGsに取り組むことは新規顧客の開拓、及び人材確保に結び付く可能性があるため、限られた経営資源を投入する価値がある。

2. 投融資増:資金調達を行う際、SDGsへの取り組みが企業の付加価値を高めるツールとなり、ESG投資といった環境・社会・ガバナンス指標を基準とした融資を呼び込める。また、中小企業のSDGsの取組みを促す地方銀行の役割は大きい。

3.共通言語:SDGsゴール12「つくる責任、つかう責任」、すなわち責任ある生産と消費は、企業が持続可能なサプライチェーンを構築する上で重要な視点であり、倫理的視点が欠けた企業は淘汰される。SDGsは、それらに柔軟に対応する上での、世界での共通言語であり、参照軸でもある。

常陽銀行、ジェトロ、(公財)いばらき中小企業グローバル推進機構、JICAの民間企業海外展開支援の取り組み

引き続き、常陽銀行・ジェトロ・(公財)いばらき中小企業グローバル推進機構・JICAそれぞれが、民間企業の海外展開支援の取り組みを説明しました。

常陽銀行・市場国際部国際業務室の関根室長からは、めぶきFGの海外ネットワーク、海外展開(事業拡大、進出、現地法人)に関わる支援メニューの紹介がありました。


ジェトロ茨城の安達氏からは、ジェトロの海外展開支援施策として、コーディネーターによる輸出支援相談や、輸出プロモーターによる支援サービス(農林水産・食品分野)等、企業の皆さんに有用な支援情報の説明がありました。

(公財)いばらき中小企業グローバル推進機構からは、グローバル渉外課の鈴木課長が、海外展開支援専門家、海外展示商談会出展支援、ECサイトを活用した販路開拓支援など、魅力ある各施策を紹介

最後に、JICAが行う「中小企業・SDGsビジネス支援事業」について、JICA筑波連携推進課の渋澤職員が説明しました。企業の海外部門担当者が海外進出を検討する際には、「経験・ノウハウがない」、「事前調査の資金や人材が不足」といった課題につきあたることが多いのではないでしょうか。、そのようなときに、開発途上国政府とのネットワークをもつJICAの知見・事業・制度を活用することで、現地での情報収集を行いやすくなり、ビジネスモデルの策定・検証への支援も期待出来ることを説明しました。

JICAからは、JICA筑波が推進するプロジェクト「農業共創ハブ」(農業技術と農業人材の共創サイクルの創出)についても、担当者の小河特別嘱託が紹介しました。

JICA中小企業・SDGsビジネス支援事業 採択企業による活用事例紹介:株式会社照沼

照沼氏によるJICA活用事例の御紹介

たくさんの御参加ありがとうございました!

セミナー後半では、JICAの「中小企業・SDGsビジネス支援事業」に応募・採択され、実際に海外での調査や事業を実施している茨城県内の企業による事例紹介(海外展開を決断した理由、狙い、今後の展望などのご説明)がありました。
株式会社照沼(茨城県那珂郡)は、芋本来の甘さを追求し、従業員の安全や自然環境への配慮も考慮した結果、農薬・化学肥料を一切使用しない農法に行き着き、農園の土づくりから始めて最高品質のサツマイモを提供しています。



同社は、世界各国でのサツマイモの需要の高まりを背景に、海外進出の検討を行っていた際、農薬も化学肥料も使わず、抗酸化力の高いサツマイモが育つアフリカ・タンザニアでの事業展開に関心を持ち、JICAの「中小企業・SDGsビジネス支援事業(普及・実証・ビジネス化事業)」に応募。



事例紹介の中では、1.「基礎調査/案件化調査/普及・実証・ビジネス化事業」という3つのメニューから企業のニーズに合わせた支援が選択でき、費用面を含め充実したサポートを受けられること、2.JICAの委託事業として、タンザニアの公的機関やキーパーソンと接点が持てること、3.メディアの露出が増え会社の魅力がアップすることで社員採用に結び付くこと、といった点に、JICAの制度を活用するメリットを感じている、とのお話がありました


多くの参加者、示唆に富む講演・発表により、セミナーは大変充実した内容で実施することができました。関係者の皆様に心から感謝申し上げます。
JICA筑波では、今後も同様のセミナーを企画・開催予定ですので、お楽しみに!JICAの民間連携事業、事業の海外展開にご関心をお持ちの方は、以下担当者までご連絡ください。




JICA民間連携事業(茨城・栃木県担当)
独立行政法人国際協力機構筑波センター(JICA筑波)
連携推進課 渋澤・村上 tbictpp@jica.go.jp