スポーツで世界を、日本を、盛り上げたい! -JICA海外協力隊×スポーツ- 第4回:間崎千夏さん(ウズベキスタン・体育)

2021年12月28日

「スポーツで世界を、日本を、盛り上げたい!」
JICAでは、海外協力隊事業など、1960年代からスポーツを通じた国際協力を様々な国で実施してきました。スポーツには、楽しさや熱狂、感動をもたらし、多くの人々を惹きつける力があります。そして、対象とする人・地域やその目的に応じて多様な取組が可能となるスポーツは、様々な力を持ち合わせています。第4回は体育隊員としてウズベキスタンへ派遣されていた間崎さんに、お話を伺いました。

右下から2番目が間崎さん

第4回:間崎千夏(マザキチナツ)さん(ウズベキスタン・体育)

【隊員データ】
隊員区分:青年海外協力隊
派遣国:ウズベキスタン 職種:体育
活動期間:2019年1月~2020年8月
*世界的な新型コロナウイルス感染拡大の影響で2020年4月上旬より一時帰国となりました。
配属先:タシケント女性カレッジ(職業訓練高等学校)

ウズベキスタンでの生活

大家さんの家へ夕食に誘われた時の食事

職場の方とのスマラク作り

 中央アジアに位置するウズベキスタン。現地では、ウズベク語とロシア語が使われており、学校でも生徒の言語に合わせてクラス編成され、各言語で授業が行われていますが、体育の授業は合同になることもあったそうです。

 人懐っこく、親日国なので、日本人だと分かるとおもてなしをしてくれるのだとか。「家おいでよ!」とご飯に誘われた時には、種類の豊富な食事でもてなしてくれます。中でもメインはプロフ(写真中央の2プレート)という米、ひよこ豆、肉(羊肉が主)、ニンジンなどを煮込んだ伝統料理!

 ナウルーズというイラン暦の元旦のお祭り(日本の春分の日にあたる)があり、その際スマラクを作るのですが、これが大作業!女性が交代で麦芽と小麦粉の入った大きな鍋を24時間かき混ぜて作るそうです!

ウズベキスタンでの活動

 医療事務、美容師、小学校教員などを目指す生徒が来る女性カレッジ(職業訓練校)に配属され、高校2~3年生や社会人に体育の授業を、多い時は週22コマ行っていました。
 体育の授業は体育館で行うのが一般的。しかし、ゴールやボール等の物は整備されてなかったそうです。要請内容がエアロビクスや体操、ダンス等の指導であったことから、基本的に道具を用いず授業を行っていました。

【画像】授業の様子①

 運動に適さない服装で参加する生徒もおり、生徒の様子を見て授業内容を組み立てることに苦労がありました。夏が近づくと暑くなり(最高気温は50℃近く)、一日に複数の授業があると体力的にも大変。

【画像】授業の様子②

 ボールを渡すだけ、走らせるだけの従来の授業とは異なり、音楽に合わせて身体を動かすことや、組体操、ラジオ体操等は生徒にとって新鮮で、楽しんで行っていたそうです。

 ただ、「女性が外で運動することは恥ずかしいこと」というイメージをもつ男性も多く、女性の運動機会を創ることを目指して活動していました。

ウズベキスタンのスポーツ事情

 サッカー、柔道、テコンドー、ボクシング、クラッシュ(ウズベキスタン発祥の格闘技)、ウエイトリフティング等、力を使うスポーツが流行りで、街中の卓球台で卓球をしている方も!ただ、ウズベキスタンでは用具が買えず、輸入するか、海外に行った時に入手するしかないものもあったそうです。
 試験や仕事に直接つながらない体育への意識は低く、重要視されていない状態。そのような体育を指導する間崎さんにとって、“体育とは心身ともに、生活を豊かにするもの。浮かない表情で学校に来た生徒が、授業後笑顔になっている姿が印象的だった”とお話くださいました。
 現在は大学に通い、医療・福祉を学び直し、今後は理学療法士として、幅広くスポーツをする人たちに関わることを目指しているそうです!協力隊で得た経験から、「行動しないと変わらない」と国内でも挑戦を続ける間崎さん。今後益々のご活躍を祈願しております!

【画像】卓球連盟での女性コーチ対象の指導会。右から3番目が間崎さん。

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JICA横浜はリニューアルし、2021年6月から「楽しみながら知る」、「寛(くつろ)ぎながら見る」ことができる空間に生まれ変わりました。ぜひみなさんも足を運んでみてください!(文責:JICA横浜 仁木・成田)

*インタビューは2021年11月26日にオンライン上で実施しました。