【教師国内研修】実践授業レポート from川崎市立上作延小学校(井上奨太教諭)

2023年1月23日

実践授業とは…
実践授業とは、JICA教師国内研修に参加した先生方に、研修で得た経験を活用した授業プログラム・ワークショップを作っていただき、学校現場で実践いただくものです。
今回は、川崎市立上作延小学校で1年生を対象に授業を実施された井上先生のレポートです。

<実践の概要>
2022年11月7日に道徳科「みんなでなかよく」の単元の中で、「『一人ぼっちをつくらない』」をテーマにして、ワークショップを行いました。

ワークショップでは、JICA教師国内研修内で作成した「食べ物カード」※を使用しました。それぞれが持っている「食べ物カード」には、表に食べ物の名称とイラスト、裏には色・野菜か果物・形の3つの特徴が記載されています。裏に記載されている特徴をもとにグループを作っていきます。しかし、「黒玉スイカ」「じゃがいも」は色で別れる時に一人ぼっちになるようにカードが配られています。その際に、一人ぼっちの子へ他の児童がどんな言葉を掛けたり、行動に移したりするかを考えることがゴールです。

<児童の反応>
 ワークショップを通して、児童から以下の反応がありました。
・小学校1年生にもわかりやすい内容でいきいきと活動する様子が見られました。
・一人ぼっちの子がいる時に、見た目だけではない共通点を見つけ、進んで声を掛ける児童が多く見られました。

<成果>
・今回の趣旨である「一人ぼっちをつくらない」ということを、グループに分かれる前に児童に繰り返し確認したことで、各々がその趣旨を意識して行動している様子が伺えました。また、振り返りの際にも自分の考えをしっかり持って考えている姿が見られました。
・同じ色同士で別れる際に、「スイカは、黒じゃなくて緑だからおいで。」「スイカは切ったら赤色だからおいで。」「じゃがいもは黄色に似ているからこっちにおいでよ。」など、一人ぼっちになりかけていた二人の児童へ周りの児童たちが声かけを進んで行う姿を見られて、ねらいに沿ったワークショップになりました。

<課題>
・野菜と果物に分かれた時と同じ形同士でグループを作った際に、各グループの人数を伝えていましたが、一部の児童が「人数の多い方が勝ち」という考え方を持っていることが、発言の様子から伺えました。その時に「勝ち負けをしているわけではないよ。」と伝え、それ以降は声かけを行うのをやめました。
・このワークショップだけではなく、普段の学校生活や他のワークショップとも連動して行うことで、より一層「多文化共生」の意識を高められると感じました。

※JICA教師国内研修内で作成された教材は報告書にまとめ、後日HPに掲載予定です