【実施報告】外国人児童生徒のためのJSL対話型アセスメント(DLA)研修

2022年9月15日

7月31日(日)、JICA横浜にて「外国人児童生徒のためのJSL※ 対話型アセスメント(DLA)研修」を横浜国立大学、神奈川県教育委員会と共催し、教員20名、学生17名にご参加いただきました。
※JSL:第二言語として学ぶ日本語(Japanese as a Second Language)

今回の研修では外国人児童生徒のためのJSL対話型アセスメント(DLA)の開発者のお一人である、大阪大学大学院人文研究科の櫻井千穂准教授を講師にお迎えし、外国人児童生徒のためのJSL対話型アセスメントの実施・評価方法についてDLA<読む>を中心に学びました。

CLD児童生徒のことばの習得と教育の基本的な考え方を確認し、実践動画から学ぶ 

櫻井先生の熱い講義

意見を出し合う皆さん

前半では、文化的・言語的に多様な子ども(Culturally Linguistically Diverse Students:CLD児童生徒)のことばの習得と教育の基本的な考え方を講義形式で学びました。

CLD児童生徒の日本語について、実際の会話や音読の様子を聞きながら、子どもの言語発達(習得)は大人の外国語学習とは異なること、子どもにとっての優先順位は覚えることよりも使うことであり、「ことばを育てる」ためには、意味のある活動を通して、ことばを使いながら習得すること、豊かな環境の中で体験を通して覚えることがポイントになるということを学び、理解を深めました。

後半では、櫻井先生のDLA実践動画を視聴し、グループ毎に児童の様子で気づいたこと、アセッサー(テスター)のやり方で気づいたことを参加者同士で出し合いました。その後、実践の際にどういった点に留意すべきか、評価の視点と併せて櫻井先生から細かく解説いただき、自ら考えてみることで、参加者の皆さんはDLA実施へのイメージを持つことができた様子でした。

教員の方々の声      

・この研修を受講せずにDLAを実施するのと、受講してから実施するのとでは、その後の日本語指導に大きな差が出ると感じました。CLD児についても理解を深めることができました。二学期以降の指導に必ず生かしたいと思います。

・DLAについて僅かながらも勉強したことで、これまで外国につながりのある生徒の学習内容の理解が進まないことに関して疑問に思っていたことに対する答えの一つが得られたように感じ、大変有意義な研修であったと思います。

・DLAについて、思い違いをしていたことが分かった。テストということを強く思っていたため、子どもの力を引き出すということを大事にしていきたい。

・CLD児童生徒の教育に携わる者の根底の理念が大切であるというお話に非常に共感しました。

学生の方々の声

・いつもの大学内の授業とは違い、JICAで現場の教員とグループを組み、経験を聞き、櫻井先生の話を聞くことができたのは非常にいい経験だった。

・櫻井先生が熱心でかっこよかった。私もDLAを実践してみて、DLAを通して学習者の状況を多角的に把握し、それを授業計画や実践につなげられるような教師になりたい。

・「日本語ができない」と捉えるのではなく、「可能性のある子ども」と捉えることがどういうことなのか理解することができたと思う。

・DLAの有用性について強く認識することができる機会になりました。特に先生がDLAに限らず、子どもへの教育という観点で熱く語られていたことに感銘を受けました。教職をとることになれば、子どもたちのできることを考え、子どもに対して無意識に傷つけてしまうことがないように気をつけたいと感じました。
--------------------------------------------------------------------------------

櫻井先生は「DLAは子どもにとっての成功体験でなければいけない。子どもが楽しかった!もっと読みたい!と思って終わることが大切。」と仰っていました。本研修に参加された皆さんは、櫻井先生の声かけ(支援)によって子どもの持つ力が引き出され、支援を得てできる「最大限の力」を引き出すという場面を目の当たりにされました。櫻井先生が最後に示してくださった、「子どもの可能性を奪わない社会を作っていく責任」という言葉を受け止め、JICA横浜では神奈川県教育委員会と連携しながら、外国につながる児童生徒の支援につながる取組を引き続き進めていきたいと思います。