【実施報告】国際教室及び国際担当者向け研修講座の実施

2022年9月20日

【画像】2022年8月8日(月)、9日(火)の2日間、神奈川県教育委員会と共催で、「国際教室及び国際担当者向け研修講座」を実施し、25名の先生方にご参加いただきました。※2日間の研修内容は右記の通りです。  

1日目:外国につながる児童生徒の現状・背景を知る 

初日の小島先生の講義では、クイズ形式で神奈川県内の外国につながる児童生徒の現状について参加者で考えました。また、文部科学省が実施した「外国人の子供の就学状況等調査(2019年度)」では、日本で暮らす外国籍の子どもの約5人に1人が不就学状態にある可能性があるという結果が出たことに触れ、これは世界で最も学校(初等教育)に通っていない子どもの比率が高いサハラ以南のアフリカ地域とほぼ同じ割合であること、外国につながる子どもたちの考える言語は必ずしも日本語である必要はないことなど、をご紹介いただきました。

続けて、森岡先生による算数授業では、スワヒリ語で授業を受けることで、日本語がわからない子どもたちの状況を体験し、参加者からは「言葉がわからないと、算数の授業でさえわからなかった」「3分が限界。何も聞かれたくないので、下を向いてしまう」「全く言葉がわからない恐怖、怖い」といった感想がありました。

2日目:個別の指導計画・日本語と教科の統合学習について考える

各校の状況について共有

小学校グループの発表

2日目は個別の指導計画と日本語指導、教科との統合学習について学びました。個別の指導計画について、各学校ではどのように扱っているかをグループで共有後、指導計画作成のポイント(子どもの力をしっかり把握する、周知・引継ぎ・保管を丁寧に行う等)を学びました。

横溝先生からは「日本語と教科の統合学習(JSLカリキュラム)※」の基本的な考え方、授業の実際の様子等の紹介を、齋藤先生、宇佐美先生、白濱先生からは実際に国際教室でどのような取り組みを行っているか実践例の紹介がありました。

※日本語と教科の統合学習(JSLカリキュラム)とは
「外国につながりのある」子どもたちにどのようにして日本語を指導し、かつ学校の学校の授業への参加をスムーズにするか。そのために開発されたのが「JSLカリキュラム」。(講師資料より抜粋)

参加者の声

小学校グループの発表

中学校グループの発表

・今回、初めてこのような大きなレベルの研修会に参加させていただき、我が地域の強み、弱み、自分達が今できていること、課題など、本当によくわかりました。私も含め、皆さん様々な立場で工夫をしながら運営していることもよく分かりました。

・体験授業をして、授業中に言葉がわからない事が、どんな気持ちであるのかを認識する事ができました。今後は、更に子どもの気持ちに寄り添ってあげたいと思いました。

・他市区、他校の取り組みや状況を知り、自分ももっとがんばろうと思える貴重な時間となりました。

・自分の学校しか見えていなかったことが、他の先生とお話して、色々と見えてきました。今まで足りないものに目を向けていましたが、実は足りている状況にあることがわかりました。目の前にあるもの、ことを工夫して、より良い状況を自分で作っていくことが大切だと思いました。

・教科につながる授業について、具体的な実践方法や一緒に指導案を考えるところが、とても参考になりました。どの語彙が大切かを見極めることが、なんとなく自分の中で確認でき、見方が理解できたような気がしました。いろんな近況を伺うことができて、気持ちがふと軽くなったと同時に、更に責任を感じました。

・私は国際教室担当3年目で初めてこのような外部の研修に参加させていただきましたが、一人で悩まずつながることの大切さを痛感しました。今回、ご経験もあり専門性の高い先生方のお話を伺うことができ、本当に大きな学びとなりました。
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国際教室担当となる先生方は、これからの日本の学校にとって、なくてはならない存在であり、今後ますます専門性も求められていくことと思います。まだまだ現場での認知度は高くないのかもしれませんが、孤軍奮闘し、試行錯誤しながら目の前の子どもと向き合い、子どもたちの学びを保障しようと前向きに考え、悩む先生方の姿を拝見し、感動と元気をいただいた2日間でした。今回の研修でできた仲間のつながりが、少しずつでも大きくなっていくことを期待しています。