JICA食と農の協働プラットフォーム(JiPFA) アフリカ農業分科会 アフリカ地域先進農業技術の導入を通じた農業機械化振興にかかる情報収集・確認調査 日・アフリカ農業イノベーションセンター(AFICAT)活動予定のご紹介 議事録

  1. 日時:2022年3月16日(水)15:30~16:50
  2. 会場:オンライン会議(Zoomウェビナー)
  3. 参加者:約80名(事前登録者数113名)

開会挨拶

(JICA経済開発部 佐野部長)

JiPFAは産学官の意見交換の場として設けられたプラットフォームであり、各分野での分科会が設置されているが、アフリカの農業分野においては、今後は旧アフリカ・フードバリューチェーン(FVC)分科会および農業機械分科会をまとめたアフリカ農業分科会として活動を行っていく旨が述べられた。

また、JICAは「日・アフリカ農業イノベーションセンター(AFICAT)」構想に向けての準備を進めてきており、2020年~2022年に実施された関連調査を通して広く本邦企業からAFICATへの関心、意見が寄せられたこと、後継調査では今月より現地調査を進める予定であり、8月27日、28日に予定されるTICAD8までに、まずはタンザニア、コートジボワール、ガーナ、ナイジェリアにおいてAFICATとしての何らかの本邦企業支援活動が実施されることを目指すことが発表された。

概要

1. 日・アフリカ農業イノベーションセンター(AFICAT)計画の背景・概要及び実現・実施に向けたJICAの活動(JICA経済開発部 松下主任調査役)

初めにアフリカ農業イノベーション・プラットフォーム構想(AIPA)の説明が行われ、次にAFICATの実現・実施に向けたJICAの諸活動として、関連調査の概要やケニアへの農業機械化アドバイザー派遣、AFICAT事務局の立ち上げ、ウェブサイトの開設、JICA筑波農業共創ハブ、アフリカ地域農業機械化促進課題別研修、農業分野長期研修生(Agri-Network)、JICA民間連携事業等についての発表があった。

2. 日・アフリカ農業イノベーションセンター(AFICAT)活動計画のご紹介(JICA調査団総括(株)かいはつマネジメント・コンサルティング 池ヶ谷二美子様)

初めに「アフリカ地域先進農業技術の導入を通じた農業機械化振興にかかる情報収集・確認調査」の実施期間、調査対象国、調査体制等の概要説明が行われた。次いで、AFICATの基本的なコンセプトと機能、各国における主な活動拠点と連携機関、費用負担の考え方、現地調査スケジュール等、AFICAT活動を今後進めていく上での方針等が示されたほか、現地活動開始までの具体的な流れ(案)や各国における農業の現状、AFICAT設置候補地の概要が発表された。

3. 本邦企業よりAFICATの活用計画案、AFICATへの期待・要望等

1)本田技研工業株式会社(ライフクリエーション事業本部 営業部 チーフ 竹村郁乃様)

まず同社の考えるアフリカにおける市場・戦略シナリオ、アフリカ事業における課題が示され、続けて具体的なアプローチ手法およびAFICATに期待することが発表された。また、AFICATとの連携でアフリカ小規模農家の生活の質の向上を目指すことが述べられた。

2)株式会社ケツト科学研究所(海外営業部門 部門長 吉田典広様)

初めに同社の概要説明、製品紹介が行われ、その後アフリカ事業を展開するにあたっての現地関係者とのネットワーク構築の必要性やAFICATにおける同社の対象器種、同社の製品が途上国の農業に貢献しうる理由等が発表された。その上で、具体的なAFICATへの期待事項および要望が示された。

質疑応答

(質問1)(本田技研工業株式会社に対し)機器のメンテナンス、スペアパーツの供給も重要かと思うが、サプライチェーンとメンテナンスの実現にもご留意を頂きたい。
(回答1)重要性は認識しており、今後取り組んでいく。機械を届けて終了するのではなく、当社が選ばれるために確実なサービス提供を考えていきたい。例えば貸耕業者に当社の機械を卸す際に、メンテナンス、スペアパーツを含めたパッケージでの契約をする等、今後検討していければと考えている。

(質問2)現地への機器の輸入時には通常の関税や手続きが必要か。本調査において特別の配慮がなされるか。
(回答2)JICAの無償資金協力案件とは異なり、本調査においては企業のビジネスを支援する。よって基本的には、企業側での通関等手続きが必要。AFICAT拠点までの機械の納入は、企業の責任となる。

(質問3)当組織、JIRCASはAFICAT対象国においてプロジェクトを実施しており、JICAや本邦企業との連携を模索している。特に栽培には単に機械化だけではなく、品種やその他の管理技術との組み合わせも有効性の確保に重要であり、その際に当組織が研究面から貢献できればと思う。
(回答3)ぜひ連携を今後考えたい。

(質問4)(本田技研工業株式会社、株式会社ケツト科学研究所に対し)日本の学位プログラムで学ぶJICA長期研修員らの意見の活用を検討したことがあるか。
(回答4)(本田技研工業株式会社)学位プログラムの詳細をよく理解していないが、これまでは検討したことはない。

  • (株式会社ケツト科学研究所)同様に同プログラムをよく理解していないが、JICAによる留学生とのマッチング、意見交換会には積極的に参加している。できること、できないことはあるが、現地に合った機械を提供するといった点でぜひ参考にさせて頂きたい。
  • (JICA)JICA留学生事業で留学をしている留学生のネットワーク構築(SNS)を行っており、民間企業との意見交換も実施したことがある。JiPFAの皆様とJICA留学生を結ぶ機会をより積極的、戦略的に計画していきたい。
    • (質問者)意見交換の場が「指導教員」にまで共有されると、より具体的な助言を長期研修員に授けることができると考える。
    • (JICA)そのようにしていきたい。

(質問5)(本田技研工業株式会社に対して)本事業の数値目標はあるか。御社は上場企業でもあり、売上利益目標と達成時期を差支えのない範囲で教えて頂きたい。
(回答5)本事業はまだ始まったばかりであり、農業に加え、農業以外の製品も現地に入れていきたいといった壮大な構想を抱いている。現時点で具体的な数値は申し上げにくい。

(質問6)当社は世界80か国に中古農機の輸出をしている。今後アフリカへの進出を具体的に進めていくにあたり、現地法人や本邦関連企業とのディスカッションの場などの提供はあるか。依頼すれば仲介頂くことは可能か。今月もナイジェリアへ機械を納品しており、デモンストレーションを予定している。
(回答6)JICAを含め今後協議、整理が必要だが、現時点では基本的に本邦農機メーカーがAFICATの対象となる。

(質問7)当社は中小企業だが、アフリカへの販路拡大を目指している。色々な方向性としてAFICATも利用させて頂きたい。
(回答7)せひお願いしたい。

(質問8)農業分野の学生ネットワークへのアクセス方法を教えてほしい。
(回答8)学生と民間企業との意見交換会については今後周知したい。農業分野の留学生については、JICAが管轄する事業に加え、ABEイニシアティブによる留学生をリンクトインでつないでおり、月に1回セミナーや意見交換の場を設けている。本邦企業とも留学生とコミュニケーションをとる場を今後も設けたい。

(質問9)AFICATに参画する企業で1つながりのバリューチェーンが構成できると、他国には無い価値が生まれるように思う。この点、JICAの見解はどうか。
(回答9)ぜひその様な形で進めていきたく、今後ともご意見を頂きたい。

閉会挨拶

(JICA経済開発部 天目石次長)

2019年のTICAD7で打ち出されたAFICATは今後新たに実施フェーズに移行し、コートジボワールでは既存の関連プロジェクトとの連携、ケニアでは農業機械化専門家との連携、また他の国においてもAFICATの基盤が徐々にでき始めている旨が述べられた。質疑応答で指摘があったバリューチェーン全体での取組みについてはJICAも視野に入れている分野であり、ぜひ今後本邦農業機械関連企業と連携をしていきたい旨が示された。本日登壇頂いた本田技研工業株式会社、株式会社ケツト科学研究所に対して謝意が述べられ、今後本邦企業と一緒にAFICAT事業を進めていきたい意向が共有された。