2023年度(第5回)JICA食と農の協働プラットフォーム(JiPFA)年次フォーラム
食品ロス削減を通じた食料安全保障への貢献 実例と戦略
~グローバルな視点で現地の課題解決策に貢献する~

今次フォーラムの目的

今次フォーラムのテーマは世界で問題となっている「食品ロスの削減を通じた食料安全保障への貢献」です。本テーマに関連する取り組みを紹介し、JiPFA会員の皆様の知見やスキルを本テーマの課題解決にどのような貢献の可能性があるのかの議論を通じ、会員様のネットワーク強化に資することを目的とします。

背景

未だに残るコロナ禍の影響、異常気象等による凶作、ロシアのウクライナ侵攻等の戦禍によるサプライチェーン停滞により、食料や食料を生産するためのエネルギーや投入資材の不足や価格高騰が世界中で大きな問題となっています。

このような問題がありながら、先進国や産油国の一部では多くのエネルギーを用いて生産した輸入物を含む食品の廃棄が問題となっています。一方、開発途上国では生産段階から市場に届くまでの過程で道路等の整備水準の低さや不適切な運搬等により生産した食料に傷みが生じ、高い割合で廃棄されているという食品損失の問題を抱えています。これらの問題は食料安全保障の大きな阻害要因の一つです。

今次フォーラムでは第4回年次フォーラムの事後アンケートの結果、食料チェーンの中流段階(集荷から市場まで)に関する情報・意見交換が、JiPFAで少ないことが分かりました。この分野は特に開発途上国における食品損失削減や省エネルギーに重要な課題です。このため本件における具体的な取り組みを紹介、議論します。

また、食料ロス削減は食料チェーン全体で取り組むべきものであり、JICAの取り組みの紹介、及び食料損失・食料廃棄に関し最も知見を有している国連食糧農業機関(FAO)からフォーラムの内容も踏まえ、食料チェーン全体で食品ロス削減の展開に関するコメント、提言をいただきます。

※第4回年次フォーラムのアンケートで、関心のある分野として回答数の最も多かった気候変動対策(緩和策、適応策)については、今次フォーラムで取り上げる食品ロスとも連動しております。またJiPFA 分科会「農業とレジリエンス(気候変動)」を2024年3月に開催予定であり、同分科会にて、情報発信、意見交換を行う予定です。

日時

2024年1月22日(月)14:30~16:15(オンライン:開始30分前より接続開始)

開催方法

ハイブリッド開催(会場:JICA麹町本部228+229会議室、オンライン: Microsoft Teams)

主催

独立行政法人 国際協力機構(JICA)

プログラム(予定)

(1)開会挨拶

JICA 上級審議役 窪田 修

(2)第1部:JiPFA事務局からの報告

1)JiPFAの2023年度活動報告と今後の方針、第5回フォーラムの目的説明 
JICA 経済開発部 計画担当次長 森口 加奈子
2)食料安全保障の潮流を踏まえたJICAの取り組み
JICA 経済開発部 部長 下川 貴生

(3)第2部:外部登壇者様からの報告

1) 生産、輸送段階における食品損失削減取り組み
開発途上国における運搬時に食料ロスが発生する大きな原因の一つが道路の整備水準の低さです。幹線道路は国際機関等の資金協力により整備されていることが多いですが、生産地と幹線道路を結ぶ道(サブサハラアフリカではFeeder Roadと呼びます)の状況が劣悪であるため、荷傷みによる農産物のロスや価値低下、移動に障害があることは運搬時間もかかるため生鮮農産物の劣化、燃料費がかさばる、CO2を大量に含む自動車の排気ガスの排出量の多さ等の問題を引き起こしています。株式会社SPEC様の有する技術は土壌を短期間に硬化させ、道路を強固にするものであり、道路を整備することにより荷傷みによる農産物ロスの削減、円滑な移動による排気ガスの削減、すなわち気候変動の緩和に資するものです。カンボジアで実証事業を行った経験をお持ちです。同国での取り組み内容「土壌硬化剤STEINを活用した灌漑・農業・農村道路整備技術の普及・実証事業」は以下のリンクをご覧ください。

また、同硬化剤は農道だけでなく、ため池や水路など灌漑施設にも適用できるため農業用水が無駄になるのを防ぐこともできます。貴重な水の有効利用は気候変動への適応策です。
更に同社は、外務省の脱炭素技術海外展開イニシアティブにも採択されています。詳細は以下(脱炭素技術海外展開イニシアティブ 脱炭素製品・パッケージリスト)のリンクの11ページ目をご覧ください。

発表者:株式会社SPEC
代表取締役社長 久保 祐一様
営業部長 上林 思瑶様(青年海外協力隊ケニア・コミュニティ開発OV)

株式会社SPEC様に事前質問のある方は以下のリンクにお願いします。質疑応答を通じた知見の共有がJiPFA会員の皆様にとっても非常に大事になると考えます。

2) 輸送、消費前段階における食品損失削減取り組み
開発途上国では道路の状況が悪いだけでなく、運搬時の農産物の取り扱いのまずさにより食料ロスが発生することが多々あります。農産物は老化ガスと呼ばれるエチレンを発生するため、市場に届けられるまでに過熟により食べられなくなったり、商品価値を大きく落としたりします。この他、運送費を抑えるためにトラック等に過載、あるいは混載により他の青果物まで過熟によるロスを生じることがあります。

また、微生物による腐敗も食料ロスの大きな原因です。最も一般的な微生物はカビです。カビの胞子は既存の技術では殺菌不可能です(長時間、高温・高圧をかける必要があり経済的実現性がありません)。

同社が開発した包装材はエチレンガスの吸収やカビの胞子の発芽抑制の機能があります。本包装材は既存の流通システムを利用しつつ、運搬中のロス削減を低コストで貢献する可能性を有しています。運搬中の食料ロス削減は人口増加が顕著な都市部の人々に量、質とも安全な食料を届けることになるため、気候変動により深刻する都市部の脆弱層の人々の飢餓のリスクを低減することが期待されます。

同社がラオスで実施中の調査の概要「ラオス国品質保持技術を活用した農産物サプライチェーンの高付加価値化に係るニーズ確認調査」は以下のリンクをご覧ください。

また、同社は当初、世界最大の人口を抱えるインドでの展開を目指していたが、同国がプラスチック製梱包材の使用を禁止したためラオスに変更した経緯があります。JETROビジネス短信「インド、使い捨てプラスチック規制を厳格化(2022年07月12日)」をご覧ください。

同社はこのような政治リスクの顕在化もご経験されており、その時の体験もお話いただく予定です。類似リスクの顕在化を予測するために参考になる情報もあると考えます。

発表者:日産スチール工業株式会社
東京営業所 営業部 国際部長 西本 英世様

日産スチール工業株式会社様に事前質問のある方は以下のリンクにお願いします。
日産スチール工業株式会社様への事前質問のある方は以下のリンクにお願いします。質疑応答を通じた知見の共有がJiPFA会員の皆様にとっても非常に大事になると考えます。

(4)国際機関の視点からの食料チェーン全体から見た食料ロス(食品損失、食品廃棄)削減実現に関するコメント

コメンテーター:国連食糧農業機関(FAO)駐日連絡事務所 所長 日比 絵里子様

(5)閉会挨拶

JICA 経済開発部 部長 下川 貴生

※フォーラム終了後、会場参加の方々との交流会を検討しております。出欠のご意向につきましてはご参加登録用URLでご回答お願いいたします(*申し込みリンクで対面参加を選択された方に交流会参加の希望確認の確認項目が現れます)。希望者数に基づき交流会実施の有無を決定します。

申し込み方法

(1) 申し込み方法
以下のご参加登録用URLよりお申し込み願います。
https://forms.office.com/r/VV91zm3zJr
(2) 申し込みに当たってのお願い:Formsの入力事項を漏れなく記入願います。
(3) 申し込み〆切:2024年1月18日(木)正午
(4) お申し込みいただいた皆様には開催日前日の1月19日(金)午後にFormsにご記入いただきましたメールアドレスにMicrosoft Teamsのリンクをお送りいたします。

本件お問い合わせ先

(1)申し込みに関するお問い合わせ先
JICA課題部事務支援ユニット調整チーム: Kadaishien_chosei@jica.go.jp
(2)フォーラムの内容に関するお問い合わせ先
JiPFA事務局(JICA経済開発部内):jipfa@jica.go.jp
※開催日当日はフォーラム準備のため、お問い合わせに回答できませんので予めご了承ください。