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背景・目的
気候変動の影響は、世界中の農業、特に開発途上国の小規模農家に深刻な影響を与えています。一方で農業は、排出削減や炭素貯留などの対策に貢献できる分野でもあります。JICAは、持続可能な農業のあり方を改めて問い直し、「次の一手」を考えるための議論の場として本フォーラムを開催しました。産学官の知見を持ち寄り、パリ協定の実現に向けた連携の可能性を探ることを目的としています。
内容
最初にJICA経済開発部北田技術審議役より、農業が温室効果ガスの排出源という一面を有することを踏まえて気候変動対策の議論が国際場裏で進められており、国際機関も気候変動と農業の繋がりに係るイニシアティブを発信している中、JICAも各種戦略文書や方針を策定するなど取り組んでいる点の紹介がありました。農業分野横断で不可欠な水を基軸とする気候変動対策を進める方針、「農業・農村開発協力における気候変動の取組戦略(2030年度目標)」の紹介、戦略実行に向けた指針等の整備を通じて各国政府や国際機関との連携強化を図り、国際場裏での発信を通じ日本型の農業×気候変動対策モデルを世界に広げていく考えを示しました。
続いて、農林水産省輸出国際局の米田国際戦略グループ長、アクプランタ株式会社の金CEO(東京大学大学院農学生命科学研究科 特任准教授を兼任)、サグリ株式会社の永田グローバルサウス統括/インド法人最高戦略責任者の3名から関連する発表をいただきました。
米田様からは、農林水産省が生物多様性や気候変動に係る国際場裏へ継続的に参加しており、それらの議論の中心が緩和策である一方、農業分野では適応策が主流であったという状況を踏まえ、世界の農業カーボンクレジット市場をめぐる動き、及び日本が推進する二国間クレジット制度(JCM)について紹介いただきました。また、これから日本の企業やJICAは、生物多様性条約を念頭に置いた農業協力が不可欠になるとの提言もいただきました。
金様からは、気候変動が開発途上国における食料安定供給の与える影響についての問題意識から開発した、高温・乾燥環境下における植物の耐性メカニズムを応用した資材、スキーポンⓇのご紹介をいただきました。同資材の効果は圃場レベルの実証実験まで進んでおり、灌水量の半減や高温環境下における収量の安定化が期待されている他、森林再生への応用も図られています。育種による耐性品種の開発は引き続き重要である一方、このような資材の活用は低コストで即時に対応できる技術として農家の収入向上と食料安全保障への貢献が期待されています。
永田様からは、農業従事者が気候変動対策を怠れば、カーボンクレジット市場やグローバルサウス農業市場から取り残されるリスクがある一方、対策をきちんと行えば、それらの市場に繋がる可能性があるため、前向きな取り組みが必要という認識を示していただきました。同社では、アジア、アフリカ、中南米を中心とした対象地域において、緯度・経度情報を元に衛星データとAIを活用して圃場ごとの土壌のpH、炭素、窒素含有量などを80~85%の精度で推定可能とのこと。開発の過程では、中南米地域向けのTSUBASAプログラム、JICA-Biz(旧称:JICA中小企業・SDGsビジネス支援事業)、帰国研修員との情報交換、インド事務所の「つながるラボ」といった複数のJICA事業との連携を活用して推進してきました。
会の最後にはJICA経済開発部下川貴生部長からの挨拶として、今回のテーマが過去の年次フォーラム参加者の事後アンケートにおいて最も関心が高かった「気候変動対策」に対応したものであること、JICAはサステナビリティ方針を打ち立て、全ての事業でパリ協定と整合に取り組んでいることを紹介すると共に、緩和策・適応策を一体として議論し、循環を図ることが次の一手であるとの認識を示しました。
JICA麹町本部ラウンジでの外部登壇者様集合写真(左から金様、米田様、永田様)
発表資料、発表内容、質疑応答
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1. 開会挨拶(JICA山口上級審議役)
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2. JiPFA_2024年度実績、2025年度活動計画報告(JICA経済開発部 森口計画担当次長)
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3.1. JICAの農業農村開発分野の気候変動に係る取組戦略_発表資料(JICA経済開発部 北田技術審議役)
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3.2. 北田技術審議役_発表内容
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4.1. 農林水産分野における持続可能性と気候変動対策の国際的潮流_発表資料(農林水産省 輸出・国際局 国際戦略グループ グループ長 米田様)
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4.2. 米田様_ご発表内容
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5.1.1. エピジェネティクス技術を用いた高温・干ばつ下での栽培適応策_発表資料(アクプランタ株式会社 CEO 代表取締役社長/東京大学 特任准教授 金様)
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5.1.2. 金様_ご発表内容
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5.2.1. グローバルサウス諸地域における衛星データを活用した再生可能農業の推進と営農最適化_発表資料(サグリ株式会社 グローバルサウス統括インド法人最高戦略責任者 永田様)
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5.2.2. 永田様_ご発表内容
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6.1. フォーラム時質疑応答
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6.2 フォーラム後質疑応答
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