jica 独立行政法人 国際協力機構 jica 独立行政法人 国際協力機構

第7回フォーラム 報告

資源循環による食料安全保障の実現に向けて

JICA食と農の協働プラットフォーム(JiPFA)は、2026年2月6日(金)、第7回(2025年度)年次フォーラムを開催しました。本フォーラムは、「資源の有効循環を通じた食料安全保障」をテーマに、国内外の産学官の多様な関係者が参加し、食料・農業分野が直面する複合的な課題と、その解決に向けた最新の実践事例について活発な議論が交わされました。

冒頭、JiPFA事務局長を務めるJICA経済開発部の斉藤部長より挨拶がありました。世界全体では既に全人口を養える食料が生産されている状況である一方、資源循環を中心に据えたシステム全体の改善が栄養不足や飢餓の解消に必要であり、日本の産学官の知見と国内外の現場を結びつけるJiPFAが果たす意義を説明しました。

斉藤部長

続いて、JiPFA事務局より2025年度の活動実績と2026年度の計画を共有しました。
2025年度は精密農業分野でブラジルのスタートアップとの情報交換、日・アフリカ農業イノベーションセンター(※)によるアフリカ各国での技術紹介とビジネス支援、水産、畜産・家畜衛生合同での学生向けキャリアセミナーの開催など、協働の取り組みが進展しました。2026年度はブラジル・セラード地域での劣化牧野回復実証事業開始、アフリカでの活動拡大と外部資金の活用検討、ブルーエコノミー関連ツールボックス(有用知見を形式知化した事例集)の公開など、より実践的な活動が予定されています。

大嶋次長

登壇者による実践事例の紹介

● スーダンにおける食品乾燥技術の活用(大紀産業株式会社・代表取締役社長・安原様)

安原様からは食料生産のみならず収穫後処理――「食品乾燥」が、食料システムをいかに強く、豊かなものにするかをご説明いただきました。
高性能で環境に優しい食品乾燥機は、食品ロスの削減や価格の安定に寄与すること、さらに味の凝縮や加工のしやすさを通じて付加価値も高まり、農家の所得向上や雇用創出、女性の活躍にもつながることを示されました。
特に脆弱な食料システムを抱える国で効果が大きいことを、スーダンでの実践を通して実証されました。クーデターやコロナ禍という困難を乗り越えて取り組まれ、結果、厳しい環境での稼働実績が信頼担保として機能し、アフリカ各国やアジアにも波及していることは事業展開の貴重な事例としてJICA事業にも参考となるものでした。
JICA海外協力隊との連携に関するご提言もいただきました。農業・農村開発分野は協力隊の方々が特に力を発揮できる領域の一つであり、相乗効果が示唆されました。

安原様

● 廃棄、焼却処分される食品の飼料化・エネルギー化(株式会社日本フードエコロジーセンター・代表取締役・高橋様)

高橋様からは、「食品ロスを新たな価値へと循環させる」という革新的なアプローチをご紹介いただきました。
食料システムの出口で発生する食品ロスの課題、その一方で入口である家畜飼料の高い投入コストという課題をご説明いただきました。
廃棄物は資源であり、食べ物の環をつなぐことで、「食料システムの持続性」を高めることに寄与しています。その取り組みの仕組み自体、食品廃棄物受入の契約関係、雇用・商品ブランディングも含めて持続的なメカニズムとされています。さらにバイオガスと肥料に変換されるという二重・三重の循環の事業化を実現されていることは、今後ますます世界から求められることが予想されます。
また、「資源の循環」によって地域の持続的な社会、人々の健全で幸せな暮らしが支えられることが具体的に示されるとともに、JICAの研修事業を含むノウハウのご共有、啓発に係る取り組みについても紹介いただきました。

髙橋様

● マレーシアにおける生ごみ循環の構築(東京農業大学・国際食料情報学部・准教授・入江様)

入江様からは、食品ロスが世界に与える影響に関し、土壌1cmできるのに500年、野菜を食べるには5000年の時間を要しているという長い年月の積み重ねの中で食料が生産されていることをご説明いただきました。
その中で開発途上国における食品ロス・廃棄物の現状と、その解決に向けた取り組みについて、マレーシアをはじめ東南アジアでの事例を取り上げ、食品廃棄物の割合が高く、廃棄物処理・管理に困難が生じていること、そこには社会的背景も大きく影響していること、そしてその課題解決には、人々の意識や行動の変化が必要であることをご指摘いただき、技術と行動変容を促す取り組みの重要性を示唆いただきました。

入江先生

フォーラム総括(JICA経済開発部・斉藤部長)

今回のフォーラムのテーマ「資源の有効循環を通じた食料安全保障」は、多くのSDGsの達成につながるものであり、私たちが持続可能な食料システム、持続可能な社会を構築していくうえで、どのような視点を持ち、どのような対策をとるべきかについて、多くの貴重な知見をいただきました。
このフォーラムが、メンバーの皆様と知見を共有し、意見を交わし、新たな学びと行動につながる機会となれば幸いです。JiPFAとしても、引き続きそのような場をつくる役割を果たしていきたいと考えております。

講演資料、質疑応答、関連リンク等