教育

JICAの取り組み

JICAの基本方針

基礎教育

基礎教育とは、人々が生きるための最低限必要な知識・技能を身につける教育活動で、「就学前教育」「初等・中等教育」、成人識字教育や地域社会教育を行う「ノンフォーマル教育」などを指します。基礎教育を受けることは基本的な権利であるとともに、平和で安定した世界の構築や、経済成長、科学技術の発展のための基盤ともなります。

JICAは「万人のための教育ダカール行動枠組み」のもと、(1)初等・中等教育へのアクセスの拡大、(2)初等・中等教育の質の向上、(3)教育行政・学校運営(マネジメントの改善)の3つを柱に基礎教育支援を行っています。

初等・中等教育へのアクセスの拡大

無償資金協力による学校の建設などを通じて、学校教育サービスの拡充を支援しています。また、地域住民を巻き込んだ学校運営体制の確立を支援し、教育に対する親やコミュニティの認識を高めて、就学率向上を目指しています。

初等・中等教育の質の向上

子どもが読み書きや問題解決能力を身につけるには、質のよい教育が必要です。初等・中等教育での授業のわかりやすさ、面白さは就学意欲に大きく影響し、中途退学や留年を防ぐ要素となります。開発途上国の教室では、教員が一方的に話して、生徒は聞いているだけという光景が多く見られます。

この改善のため、JICAは、生徒の興味・関心や理解を促す学習者中心の指導法の推進、教員養成カリキュラムの改善、教科書・教材などの開発と普及に取り組んでいます。社会生活を営むうえで特に大切で、科学技術の進歩にも重要な理数科教育の強化にも力を入れています。

マネジメントの改善

初等・中等教育へのアクセス拡大や質の向上には、不就学の子どもの把握と就学促進、教員の配置や教材の配布、教育活動の計画と実施、適切な予算の配分といった教育行政と学校運営のマネジメント能力が不可欠です。

JICAは、行政や学校が課題を把握し、ニーズに沿った運営計画を策定・実施できるよう、マネジメント能力の強化を支援しています。さらに、女子教育推進のための啓発活動と制度づくり、成人女性への識字教育の促進などを通して、教育におけるジェンダー格差の是正に取り組んでいます。また、学校に行けない子どもや読み書きができない人々に対しても、ボランティアやNGOと連携して、ノンフォーマル教育の拡充に取り組んでいます。

EFAに向けた取り組み

すべての人々に基礎的な教育機会を保障する「万人のための教育(Education for All:EFA)の実現に向けて、日本をはじめとする国際社会は様々な支援を行っています。EFAの進展を把握するために「EFA Global Monitoring Report(GMR)」が2002年より発表されており、JICAでは2007年より同報告書概要の和訳版を作成しています。また、国際的な目標達成の展望と課題を検討し、EFA達成に向けた日本の教育分野の支援のあり方について広く関係者間で意見交換を行うことを目的に、教育協力NGOネットワーク(JNNE)とユネスコ・アジア文化センター(ACCU)と共催でGMRシンポジウムを毎年開催しています。

【報告】

「JICA/JNNE/ACCU共催 EFAグローバルモニタリングレポートシンポジウム 2013/4―教えること・学ぶこと:すべての人に質の高い教育を―」2014年5月18日開催報告

「JICA/JNNE/ACCU共催 EFAグローバルモニタリングレポートシンポジウム 2012―若者とスキル―」2013年1月14日開催報告

「JICA/JNNE/ACCU共催 EFAグローバルモニタリングレポートシンポジウム 2011―教育と紛争―」2011年7月16日開催報告

【グローバルモニタリングレポート概要和訳版】

職業技術教育・訓練

JICAは、変化する産業界のニーズに対応する教育・訓練の拡充を目指しています。各国における産業技術教育・職業訓練に係る制度改善や、拠点となる技術専門学校や職業訓練校の拡充(カリキュラム改善、学校運営体制の強化など)を通じた「産業人材の育成」、所得向上・貧困削減を目指した「生計向上の機会拡大」を主要なアプローチとして協力を展開しています。

中東や南アジアを中心とした比較的経済発展が順調な国では、産業界のニーズに資する技術者の育成が求められ、訓練校や技術短大などでの教員育成、担当省庁と連携したカリキュラムの改訂や産官連携の訓練・教育の制度づくりなどに取り組んでいます。サブサハラ・アフリカなどの最貧困国や紛争終結国では、実体経済を担うインフォーマルセクターなどで小規模なビジネスに従事したり、起業したりできる人材の育成を目指し、生計向上に直結する基礎技術・技能習得のための訓練を実施しています。また、紛争後の国では復興に必要な技能の育成や社会統合を進めるための除隊兵士の職業訓練も行っています。

本分野では、JICAが協力をしてきた国々(アジア、中近東、中南米諸国、アフリカのセネガル・ウガンダ両国など)から、新たに協力を必要としている国々に対しての協力(南南協力)を進めていることも大きな特色です。

高等教育

JICAは、地域や各国の拠点となる大学の能力向上支援(教員の能力向上、キャンパスや教育研究資機材の拡充など)を中心に協力してきました。近年は、高等教育行政や大学の運営管理能力の向上支援、産業界や地域との連携強化、途上国内や日本も含む大学間の連携強化などに協力対象が広がっています。JICAの協力は、日本の大学の協力を得ながら、日本と途上国、途上国同士、途上国内において、学術交流ネットワークを構築してきたことに特色があり、日本の大学の国際化や大学間の協力関係の継続などにも貢献しています。

ネットワーク型支援の事例としては、アセアンの工学系大学19校と日本の支援大学11校を結ぶ「アセアン工学系高等教育ネットワークプロジェクト」が2003年より開始され、現在第2期の協力を実施中です。

2010年には、エジプトに「エジプト日本科学技術大学」が開学し、日本の12大学の協力のもと、日本式の教育・研究体制を採り入れ、次世代を担う人材育成を行っています。