教育

JICAの事例紹介

エチオピア 理数科教育アセスメント能力強化プロジェクト(LAMS)

学力試験の試験問題を変える新たな取り組み

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プロジェクト活動を通じて、試験問題の質の向上に向けて教育行政官が日々議論を重ねている

国際協力における基礎教育分野の中心的な課題が、Education for All(アクセス向上)からQuality Learning for All(質の高い教育)へとシフトしつつあるなか、JICAは、エチオピアにおいて学力試験(アセスメント)の改善を通じて、質の高い教育の実現に取り組んでいます。

試験問題の質の向上に向けて

JICAは、これまで教員の授業実践の改善のために、理数科分野で現職教員研修制度のモデルを構築するなど成果を上げてきました。一方で、子どもが実際に受ける試験問題が知識偏重のため、教員も暗記中心の授業から脱却しきれていない状況です。

こうした課題に対応するため、2014年度に開始したこの事業ではアセスメントに焦点を当てて、理数科分野の学力評価のツールや教材の開発にエチオピア政府関係者と共に取り組むことで、教育アセスメントに関する能力強化を図り、理数科教育の質の改善を目指しています。

JICAは本プロジェクトの実施とともに、「理数科教育アドバイザー」の派遣や「小中学校建設」を支援しており、エチオピアの基礎教育セクターのさまざまな課題に取り組んでいます。

アフリカ ABEイニシアティブ「修士課程およびインターンシップ」プログラム

「日本通」の留学生が、日本企業とアフリカをつなぐ

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企業のブースを訪れ、現地ニーズから見た商品改善を提案する留学生

JICAは、ABEイニシアティブ(注)を通じて、アフリカの産業の発展と日本企業のビジネスチャンス拡大に取り組んでいます。2014年9月、第1期生にあたる156人の社会人留学生が、ケニア、タンザニア、モザンビーク、南アフリカなどから来日し、48の大学院で学んでいます。2015年9月には、第2期生350人がおよそ35カ国から来日します。

日本企業のアフリカ進出を後押し

日本企業と留学生との人脈づくりを図るため、JICAは2015年3月にビジネスフェアを開催し、アフリカ進出に関心を持つ90社・団体が参加しました。ブースには多くの留学生が集まり、学習教材や衣料品などを生産販売する各社に対して、農業や環境、経済などを専門とする留学生が、現地ニーズを踏まえた商品の改善を提案しました。

現在、ABEイニシアティブへの登録企業は120社余り。2014年に南アフリカに事務所を設立した企業は、夏休み中の留学生をインターンシップで受け入れ、将来的には東アフリカでの製造業のキーパーソンとして採用する予定です。

また、ケニアで廃棄物処理業の事業化を進めている企業は、現地のビジネスパートナーを留学候補者として推薦しています。

(注)African Business Education Initiative for Youth。日本語の正式名称は「アフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブ」。2013年の第5回アフリカ開発会議(TICAD V)で日本政府が発表した政策の一つ。日本の技術と産業を知る日本通の人材を育成することを目的に、アフリカから計1,000人の若者を受け入れ、大学院での修士号取得と日本企業でのインターンシップの機会が提供される。

ザンビア 授業実践能力強化プロジェクト(STEPS)

日本発の「授業研究」により授業の改善へ

ザンビアでは、基礎教育へのアクセスは改善したものの、教育の質について依然大きな課題を抱えています。JICAは、「授業研究」の普及を通して、授業の質の改善を進めています。

包括的な支援プログラムを展開

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授業研究および教材研究の手法について学ぶ教育行政官

ザンビアでは、経済発展に伴う国民の生活レベルの向上や基礎教育へのアクセス拡大により、多くの子どもが小学校に入学できるようになりました。しかし、生徒を受け入れるための教室や教材の確保、教員の育成、生徒の学力の向上が大きな課題となっています。

このような状況のなか、ザンビア政府は学校教育の質と生徒の学力の向上を重要課題ととらえ、既存の現職教員研修システムを利用した継続的な授業改善が実現できるよう、日本へ協力を要請しました。

JICAは、2005年より授業研究を校内研修に取り入れた「理科研究授業支援プロジェクト」を開始し、その成果を受け、2008年から対象地域を3州に拡大(フェーズ2)。さらに2011年からは「授業実践能力強化プロジェクト(STEPS)」を実施し、全国10州の教員に対して授業研究を通した授業実践能力の強化を図り、継続的な授業の質の改善を目指しています。

STEPSに加え、貧困削減支援戦略無償の供与、教育政策アドバイザーや青年海外協力隊の派遣も行っており、ザンビアの教育の質の向上に向けた包括的な教育セクター支援プログラムを展開しています。

これら協力スキームの相乗効果により、教員の継続的な能力開発・資質向上のみならず、政策レベルへの提言(教育セクタープールファンドを効果的に活用するための助言)や基礎教育カリキュラム改訂への技術的支援にも取り組み、協力効果の拡大を目指しています。

基礎教育1) バングラデシュ「小学校理数科へのプログラム協力」

児童中心型授業普及のため、教員訓練校57校の強化からカリキュラム・教科書の改訂まで包括的に支援!

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協力対象校の理数科授業風景

バングラデシュでは小学校に入学した子どものうち3分の1が卒業できていません。この大きな原因の一つには教員の指導力不足が挙げられます。

JICAは児童中心型の授業を普及すべく、バングラデシュ政府の初等教育開発計画(PEDP3:2011〜16年)を支援する形で 、「小学校理数科教育強化計画フェーズ2」(技術協力プロジェクト)によってカリキュラム・教科書の改訂、教員訓練校の能力強化、教員用指導教材集を用いた教員研修の実施を支援しています。また学校現場に派遣された青年海外協力隊が教員養成課程の教科書執筆に携わり、初等大衆教育省への政策アドバイザーの派遣によりPEDP3の実施調整や現場経験を政策へフィードバックするなど、現場の支援に加え、その経験を政策レベルに反映させる協力を行っています。

基礎教育2) 西アフリカ 広域協力 「みんなの学校(School for All)プロジェクト」

住民参加型学校運営によって環境改善、20,000教室の建設を実現!

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学校改善に係る住民集会

世界最貧国の一つである砂漠の国ニジェールでは、子どもの半数以上が小学校に行けず、授業が行われないこともしばしばありました。また、学校運営に対する行政からの支援は限られており、不足する教室の建設などには住民の協力が必要ですが、学校は住民にとって身近な存在ではありませんでした。

そのため、JICAは、住民参加型学校運営委員会の活性化モデル(注)を開発し、全国普及を支援した結果、住民の協力により全国の約半数にあたる2万教室が建設されるとともに、学習時間を確保するために、一校あたり平均200時間の補習などが行われるようになりました。

このモデルは近隣のセネガル(2007)、マリ(2008)、ブルキナファソ(2009)にも順次拡大されるとともに、世界銀行やUNICEFとの連携も進められています。ニジェールでも学校補助金の受入、子どものさらなる学習支援、中学・高校への普及など、さらなるモデルの発展が図られています。

(注)民主選挙による委員選出、住民参加による学校計画策定や集会での活動進捗・会計報告

高等教育 「アセアン工学系高等教育ネットワーク(AUN/SEED-Net、通称シードネット)」

900名の若手教員の修士・博士号取得、700以上の共同研究や1500以上の学術論文発表を実現!

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メンバー大学教員を指導する日本の大学教員

ASEAN諸国では、産業のさらなる高度化や、気候変動などの地域共通課題への対応のために、高度産業・科学技術や工学系人材の育成が求められていますが、多くの国で、人口100万人あたりの研究者数が数十人から数百人に限れています(日本は約7000人)。

このため、JICAは、本邦・域内留学による大学教員の「修士・博士号取得」(述べ約900名)、「共同研究」等の実施を通じ、日本の14大学とともにASEAN10ヵ国の工学系トップ26大学を支援する標記プロジェクトを実施しています。これは日本にとっても、優秀な留学生確保、大学の国際化への貢献になっています。

このような活動を通じて、AUN/SEED-Netは地域の産業界への貢献、地域共通課題への工学的見地からの取り組み、さらにはこの地域における科学技術の高度人材育成のプラットフォームを構築することをめざして、メンバー大学の研究・教育能力の向上とネットワークの強化を図っていきます。

職業技術教育・訓練 コンゴ民主共和国 「国立職業訓練校(INPP)へのプログラム協力」

内戦後の国で技術者育成に向けた指導員の能力を改善!

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指導員の能力強化に向けた基礎共通技術研修

コンゴ民主共和国では、1991年からの政治的混乱の影響もあり、十分に教育・訓練を受けられなかった若者も多く、15歳から29歳の53.1%が失業しています。しかし国立職業訓練校(INPP)でも、内戦中や戦後に大量採用された指導員の能力不足、高い能力を有する指導員の高齢化、施設・機材の老朽化や収容能力の限界などが問題となっています。

そのためJICAは、指導員の指導技術の強化を行う「国立職業訓練校指導員能力強化(技術協力)プロジェクト」、INPPキンシャサ校の施設・機材を整備する無償資金協力、INPP本部の制度運営・管理能力の強化を図る専門家派遣を行っています。

現在のINPPでは、1980年代(内戦前)にJICAの協力(専門家派遣や研修)を通じて技術力が強化された指導員等が活躍し、また、当時供与された機材も大切に補修して活用されており、JICAの協力の成果や信頼が示されています。今後もJICAは、INPPが労働市場のニーズに合った質の高い研修を提供できるように支援していく予定です。