【技術協力】タイ・人身取引被害者保護・自立支援促進プロジェクト

急速な経済発展や情報のグローバル化に伴い、タイでは1980年代以降、人身取引が多発しています。タイは、日本やアメリカ、欧州諸国などへ人身取引の被害者を移送する「送出国」であり、またラオスやミャンマー、カンボジアなどメコン地域から連れてこられた被害者をさらに他の国に移送する「中継国」であると同時に、メコン地域からの被害者の「受入国」ともなっています。このようなことから、タイにおける人身取引対策は大きな開発課題の一つとなっています。日本のODA政策の基本方針である「人間の安全保障」の考え方からも、人身取引対策にかかわる組織や人材の能力強化の支援は重要なテーマです。

タイでは、2003年に「女性と子どもの国内外における人身取引の予防、禁止にかかる国家政策および計画」が策定されました。さらに2008年1月には人身取引防止法が制定され、同年6月から施行されました。この新法では、人身取引の被害者として、女性と子どものみならず成人男性が含まれ、また加害者に対する刑罰が強化されるなど、人身取引対策に包括的に取り組む法的枠組みが整いました。

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(写真:タイ政府提供)

人身取引対策としては、「対策に関する各国それぞれの政策や法整備、国際的な取り組み」「被害の予防」「被害者の保護・自立支援」さらに「取締と法執行」を包括的に行う必要があります。このプロジェクトでは、特に「被害者の保護・自立支援」の側面に焦点を当て、これらを担う社会開発・人間安全保障省を核として、警察庁、法務省、労働省、教育省などの関係省庁や民間団体(NGO)で構成される「多分野協働チーム(MDT)」の機能・活動強化を目指しています。また、このプロジェクトの活動として、メコン地域の関係機関を集めて、バンコクで情報交換会合を開催しています。また、タイの政府やNGO関係者が、毎年1回、日本で開催される研修に参加し、日本の政府関係者や地方自治体との意見交換、NGOや民間シェルターへの訪問などを通じて、タイと日本のネットワーク作りをおこなっています。

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