【報告】「カカオ産業における児童労働の撤廃」分科会第1回会合を開催しました

2022年2月4日

概要

会議名:「カカオ産業における児童労働の撤廃」分科会第1回会合
開催日:2022年2月4日(金)2部形式
(第1部:参加希望会員公開 13時~14時)
(第2部:分科会メンバー限定 14時~15時15分)
共催:認定NPO法人ACE、JICA(分科会共同発起人)
会場:オンライン

登壇者(敬称略)

発表者

小野 美和 デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 マネジャー
白木 朋子 認定NPO法人ACE副代表・共同創業者
及川 有希子 認定NPO法人ACE ソーシャルビジネス推進事業チーフ

JICA

若林 基治 JICAアフリカ部 次長
山下 契 JICA ガバナンス・平和構築部 法・司法チーム 企画役
松本 志織 JICA ガバナンス・平和構築部 法・司法チーム 特別嘱託

モデレーター(第2部)

白木 朋子 認定NPO法人ACE副代表・共同創業者
及川 有希子 認定NPO法人ACEソーシャルビジネス推進事業チーフ

背景・目的

2020年1月に設立された「開発途上国におけるサステイナブル・カカオ・プラットフォーム」(以下、「プラットフォーム」)では、NGO、企業、業界団体等の関係者が社会的・経済的・環境的に持続可能なカカオ産業(サステイナブル・カカオ)の構築を目指し、これまで様々なイベントや会合を実施してきました。

また、プラットフォーム会員同士が特定のテーマについて掘り下げて議論する「分科会」は、分科会「スリランカカカオ豆の日本への普及販売」(その後「カカオ豆のフェアトレード」分科会と改称)の設置(2021年8月)に続き、同年12月には「カカオ産業における児童労働の撤廃」分科会が設置されました。この分科会は、プラットフォーム設立以前からガーナの児童労働問題に対する取り組みを続けてきた認定NPO法人ACEと、ガーナやコートジボワールなどでカカオ産業の児童労働問題に対応し、トレーサビリティの向上に努めるJICAが共同発起人となっており、この度、プラットフォーム会員の希望者および分科会メンバーを対象とし、第1回会合を開催しました。

内容

オンラインで開催された会合には、41名が参加しました。第1部では、コートジボワール、ガーナでJICAが実施するカカオ産業の児童労働にかかる調査事業について、JICA若林、デロイト トーマツ コンサルティング小野様、ならびにACE白木様からご説明いただきました。JICA山下からは、児童労働撤廃に向けたJICAの取り組み内容を説明しました。

世界最大のカカオ生産国であるコートジボワール、第2位のガーナでは、2020年時点でもなお、合わせて約155万人もの子どもがカカオ関連の児童労働に従事しています。

トレーサビリティシステムを活用してカカオ産業における児童労働データを収集したコートジボワールでの実証実験では、子どもが学校に行くことが最も重要であるという認識のもと、「義務教育を妨げる平日の授業時間内の労働」についての現状を、高頻度で正しく把握することを目的として実施されました。その結果、3~4時間以内の軽作業に子どもが従事している実態がみられたものの、危険労働に該当するケースは報告されず、また労働の背景も具体的に確認でき、適切なインセンティブ設計のもとで実態把握ができたという結果になっています。さらに取り組みを進めるには、政府の巻き込みや、コミュニティレベルで農家や家庭への意識付けが必要になっています。

ガーナ政府が進める児童労働フリーゾーン(CLFZ)構築のためのガイドラインの試験運用に関わるACEは、CLFZの構築を軸に、行政と外部支援パートナーが情報共有、連携を調整する場やツールを作ることを提案しています。

JICAの児童労働撤廃に向けた取り組みに関する説明では、プラットフォーム会員との協働の可能性を模索しつつ、児童労働フリーゾーン構築をさらに進めるための計画の検討が進められていることを紹介しました。

両国の調査手法の詳細や、生産者に支払われるインセンティブ、児童労働撤廃の取り組みについての展望等に関する質疑応答をもって、会合の第1部を終了しました。

続けて14時から行われた第2部では、分科会の今後の進め方に関する提案内容について、分科会メンバーがグループに分かれて議論しました。今後、年4回程度実施予定の会合では、分科会事務局ならびに有志によるタスクフォースを組織して、児童労働撤廃に向けた取り組みの加速を目指すことで意見がまとまりました。JICAは、分科会事務局、タスクフォースのメンバーとして、他のメンバーとともに、児童労働の課題解決に努めてまいります。

プラットフォームおよび分科会への参加は随時受け付けています。ご参加をお待ちしています(以下「ご参考」よりウェブサイトをご覧ください)。

資料

発表資料および参考資料は以下よりご覧いただけます。

第1部

第2部

【画像】

分科会第1部の様子(参加者一部)

ご参考