WWFジャパン森林保全に関する勉強会を実施しました
2023.11.10
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概要
日時:2023年11月10日(金)16:00-17:30
会場:デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 会議室/オンライン:Zoom
登壇者(敬称略)
WWF(World Wide Fund for Nature/世界自然保護基金) 自然保護室 森林グループ長 相馬様
内容
サステイナブル・カカオ・プラットフォームでは、これまで重点的に取組みが進んできた児童労働のみならず、カカオ産業における環境問題への取組みを促進すべく、この度、WWF(World Wide Fund for Nature/世界自然保護基金、以下「WWF」)ジャパンの自然保護室 森林グループ長 相馬様を登壇者としてお招きし、森林保全に関する勉強会を開催致しました。当日は会場とオンライン参加を含め、約90名の方が参加され、「森林破壊の課題に対する理解やEUDRの理解が進んだ」といった声が多く寄せられました。(写真1)
前半では、WWFの団体紹介および、カカオ産業における森林破壊の実態とWWFジャパンによる活動内容について共有いただき、
後半は、EUにより2023年6月に発効されたEUDR(森林破壊及び劣化に関する特定コモディティ及び製品のEU市場における取引とEUからの輸出に関する規制)に関する内容の説明と、企業に求められるアクションについての見解を共有いただきました。
(以下、ご登壇内容一部抜粋)
1. WWFの団体紹介および、カカオ産業における森林破壊の実態とWWFジャパンによる活動内容について
- WWF(World Wide Fund for Nature/世界自然保護基金)とは
- 概要: 1961年にスイスで設立され、世界100か国以上で活動する環境保全団体
- ミッション:地球の自然環境の悪化を食い止め、人類と自然が調和して生きられる未来を築く
- 目標:
① 2030年:世界の生物多様性の回復を目指す
② 2050年:脱炭素社会の実現
- カカオの生産量の増加と課題の深刻化
- 過去30年間に世界のカカオ生産量は約2倍に増加しているが、その代償として森林の減少や児童労働の課題が深刻化した。コートジボワールでは約90%の森林が、ガーナでは約65%の森林が失われたとされている。
- カカオ産業における人権や環境問題等に対し、農家自身が課題解決に取り組むことができればよいが、そのためには農家が十分な収入を得る必要がある。
- ガーナにおけるWWFジャパンの「森林破壊のないカカオ生産&アグロフォレストリー」プロジェクト
- ガーナ政府による森林保全の政策をサポートすべく、生物多様性の宝庫となっているガーナのカクム国立公園周辺の村を対象とし、カカオ農家の農法や児童労働等の有無を調査。1年次は102世帯に対してアグロフォレストリープロジェクトを実施し、カカオとカカオの木の間に、約3000本もの在来種の木の植栽を行った。現在は苗木のメンテナンスを実施中。
- 加えて、農家に対する研修を実施。アグロフォレストリー化により、多品目栽培による収益向上のみならず、日陰ができ、土壌も改善する可能性があるといったメリットを共有し、モチベーションの向上を図るとともに、児童労働に関する研修等も実施。
2. EUDRに関する説明と、企業に求められるアクションについての見解について
- EUDRについて
- 発効:2023年6月29日
- 適用開始:原則発効から18か月後
- 目的:世界の森林破壊を阻止、気候変動および生物多様性危機への対応
- 対象コモディティ:牛肉、大豆、パーム油、カカオ、コーヒー、天然ゴム、木材/紙
- 対象事業者:輸入業者(Operator)及び大規模取引業者、輸出も対象。中小規模業者も別途規定あり
- 規程内容
・合法性+森林減少・劣化リスクのデューデリジェンス* (2020年12月31日以降の減少・劣化)が義務化
・「完全な」トレーサビリティ(農園の位置情報)
・DDを第三者認証で代用せず、認証制度は情報収集のツールという位置づけ
・輸入前のDDステートメントの提出の義務化
- カカオ産業における国際的な最低限の要求
① 農園までのトレーサビリティを確立すること
② 自社のサプライチェーンに森林破壊、土地転換、人権侵害が無いことを調達方針として公表すること
③ 直接的および間接的なサプライヤーに対し、コミットメントを周知しサポートすること
④ 透明性を持って方針の進捗状況を開示することが必要とされる。
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