カカオの主要生産国エクアドルでスタディツアーを開催しました



2025.03.17
日時:2025年3月10日(月)~3月14日(金)
場所:エクアドル共和国 キト、テナ、プエルトキト
開発途上国におけるサステイナブル・カカオ・プラットフォームでは、会員の希望者を対象とし、世界第三位のカカオ生産国である中南米のエクアドルにおいて約1週間のスタディツアーを開催しました。
今回のツアーではカカオ農園やカカオ集積所、チョコレート工場、現地のチョコレートショップの訪問や、生産省の副大臣・農産業局長との意見交換を実施しました。QRコードでカカオ豆に関する情報を管理し、トレーサビリティを実現している集積場の様子や、農家の収入向上を目指したチョコレート製品化を支援する県営の加工工場、生物多様性を守りながら、カカオだけでなく様々な植物を生産するチャクラ農法など、サステナブルなカカオ生産のための各種取り組みについての学びを深めました。(主な訪問先は表1参照)
本ツアーには商社や開発コンサルティング企業などから計6名の会員が参加しました。各会員のバックグラウンドや興味関心の幅広さから、ツアー中は様々な視点で訪問先での質疑応答が行われ、それにより得た学びを互いに共有することで、さらにエクアドルのカカオ生産に関する理解が深まりました。またそれぞれの立場でサステナブルなカカオ産業の実現に向けて実践できることを考える良い機会となりました。
参加者の声を以下に一部ご紹介します。
「組織強化・制度整備・農村社会・栽培・営農計画などの分野で、将来的に「カカオ産業」に貢献できることはあると思っております。今後もエクアドルのカカオに関して情報収集を続けたいと考えます。」
「ツアー終了後も、今回のツアーで培った人脈を活かして、エクアドルカカオのバリューチェーン強化のために、弊社ができることを引き続き、調査していきたいと思います。」
「今回訪問した WINAK 農協や KALLARI 農協は多様な製品の開発やトレーサビリティシステムを運用するなど成功事例であると感じたので、アマゾンの他地域にも同様の事例を展開することが必要ではないかと感じた。」
「特に印象に残ったのは、原住民の方々が実践する「チャクラ農法」でした。ビジネスとしての生産性向上だけでなく、伝統文化の継承や環境・生物多様性の保全を最優先にした持続可能な農業モデルは、非常に興味深いものでした。」
「エクアドルでは通年収穫が見られるが、9~12 月がピークで、視察時は積極的な収穫活動は見られなかった。枝の剪定によって開花の時期をうまくコントロールしたり、摘果を効率的に行ったりといった、営農支援の余地があるのではと感じた。」
開発途上国におけるサステイナブル・カカオ・プラットフォームでは、今後も、カカオ生産国の現状や、サステナビリティ実現に向けて実際に行われている取組について理解する機会の提供を通じて、カカオ産業の課題解決のための協働・共創を促進していきます。
写真1:カカオ豆集荷場訪問時の関係者と参加者の集合写真
写真2/3:エクアドル先住民のキチュア族が営むチャクラ農園
写真4/5:QRコードで管理されたカカオ豆のトレーサビリティ情報
写真6:農協や個人事業主として商品開発を進めている農家から商品説明を受ける様子
訪問先 | 内容 |
チャクラ農園@テナ | 先住民族であるキチュア族が営む、環境に配慮した持続可能な農法であるチャクラ農法(アグロフォレストリーかつオーガニック栽培)を営む農園の見学や、同コミュニティに特化した農協の運営についてヒアリング |
カカオ集積所(ポストハーベストセンター)@テナ | IKIAM 大学教授 マリア・ガブリエラ・ズリータ・ベナヴィデス氏よりチャクラ農法に関する講義 集積所における収穫後のプロセスやトレーサビリティの仕組みについて見学 |
カカオ加工工場(付加価値センター)@プエルトキト | 県営の加工施設にて、チョコレートが作られるまでの加工プロセスの見学 県としての農家支援の取り組み紹介や当該施設を利用する農協・個人事業主による商品のプレゼン |
カカオ農園@プエルトキト | エクアドル固有種であり、ファインカカオと呼ばれるナショナル種と、クローン種であるCCN51の2種類を栽培している農園の様子を見学 |
カカオ博物館・チョコレートショップ@キト | カカオの歴史やカカオの品種に関する展示の見学、およびエクアドルチョコレートブランド製品の紹介 |
チョコレート工場@キト | 25ブランドの製品を製造する受託専門のチョコレート生産工場にて、一連のチョコレートができるまでのプロセスを見学 |
生産貿易投資漁業省 | エクアドルのカカオ産業に関する概況説明 |
在エクアドル日本国大使館 | エクアドルの政治・経済状況に関する概況説明 |
国際協力機構(JICA) | スタディーツアーの趣旨および各参加者の参加動機に関する意見交換 |
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