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(5)5S-KAIZEN-TQMアプローチの特徴
5S-KAIZEN-TQMアプローチでは、保健医療施設において5S活動−整理、整頓、清掃、清潔、躾−を定着化させ、業務環境を改善することで、生産性の向上、サービスの質の向上、コスト管理、サービスの効率的提供、医療安全、要員の士気の向上、組織としてのモラルの確立等という、事業体として必要とされる基本的な経営ビジョンを根付かせることを目的としています。このような経営ビジョンは、資源の乏しい保健医療施設にこそ必要です。
本アプローチでは、先進国のように一気にTQMを開始するのではなく、既存のリソースを活用しながら短期間で成果が期待できる業務環境改善のためのツールである5S活動から開始し、次第にKAIZENへ移行していくという段階的な導入を試みています。同時に、各国の保健省担当局がパイロット病院への5S導入活動を支援するとともに、その成果と蓄積された経験を活用して、5S活動の全国普及を政策的に進めることも試みています。5S-KAIZEN-TQMアプローチは単なる技術の移転のみではなく、(1)参加国が、各国の状況に応じて策定した改善方法の普及支援、(2)アジアとアフリカ諸国の知識と経験の共有を図る場の提供、(3)アフリカの参加者が互いの経験を基に議論して、各国の開発分野における独自の改善計画を策定・実践することを目指しています。
(6)活動概要
2007年3月から2008年11月まで、第1グループに対して、3回のセミナー開催を通じて5S段階の普及を支援しました。
2007年3月に開催した導入セミナーでは、参加者(病院責任者と保健省行政官)は基本的な本アプローチを理解し、各国における活動計画を策定しました。
2007年7月の中間セミナーでは、参加者(病院中間管理職)が、スリランカにて各国の活動計画の進捗確認と本アプローチの実践病院を視察しました。その後、約1年間、各国におけるパイロットプロジェクトを実施しました。
2008年10月にエジプトで開催された最終セミナーで、パイロットプロジェクトの成果報告を行いました。その報告によれば、総じて5S活動の導入段階においては各国の病院において順調な進捗が認められるとともに、5S-KAIZEN-TQMが保健医療サービスの提供を担う医療現場の人材育成、具体的には「患者への丁寧な対応」や「公平なサービス提供」、「業務時間の遵守」に各スタッフが心掛けるようになるなど、医療サービスの質の向上に貢献し得るアプローチであることが確認されています。
現在、本プログラムでは、主に以下に示す2つの取り組みを軸に協力を展開しています。
地域別研修「5S-KAIZEN-TQMによる保健医療サービスの質向上」
- 5S導入による院内での職場環境改善が一定の成果をあげているという第1グループの報告を受け、パイロット病院における5SからKAIZENへの移行ならびに5Sの全国普及に向けた保健行政への支援を目的とした研修事業が、2009年より開始されました。
アフリカ地域医療施設機能改善(広域)プログラム協力準備調査
- きれいな病院における一定の成果は、他のJICA事業、技術協力事業のみならず、無償資金協力や青年海外協力隊にも活用されています。このようなアフリカ地域における医療施設改善活動を一つの事業として捉え、地域横断的な支援体制の確立を目指した広域プログラムの策定を検討し始めました。その準備段階として、協力準備調査が2009年12月より開始されています。
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