「地域輝かせ隊」杉村勇輔氏、ヨルダン(サルト)で観光振興

「地域輝かせ隊」は、JICA海外協力隊として「持続可能な観光開発」に取り組む隊員のグループ名です。今回はヨルダンのサルト市で観光振興に従事されている杉村さんを紹介します。

東京都出身の杉村勇輔さんは、東京都調布市の産業振興課の職員として地域の観光振興や地域経済に関する事業に5年半にわたって携わり、地域住民や企業と協力し、地域特性を生かした様々なイベント等を実施しました。

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(JICAスタッフ 佐藤知美)杉村さんの任地について教えてください。
(杉村さん)私の任地はヨルダンのサルト市で、配属先はサルト歴史民俗博物館です。この地は3つの丘からなる急峻な斜面に沿って広がり、黄色い石灰岩を使用した歴史的建造物が特徴です。保存状態が良く、イスラム教徒とキリスト教徒が共存する歴史的な街として、2021年7月には「寛容とホスピタリティの場(The place of tolerance and urban hospitality)」として世界文化遺産に登録されました。

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(JICAスタッフ佐藤)長い歴史を持つ古都なのですね。

(杉村さん)はい。そうなんです。世界文化遺産の登録以降、ヨーロッパを中心に多くの外国人観光客が訪れていますが、観光客のニーズ分析や満足度のフィードバックが不足していること、また、効果的な情報発信ができていないことが課題となっています。

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(JICAスタッフ佐藤)杉村さんはサルト市での持続的な観光開発を目指し、観光プロモーション事業を展開されたと聞いています。詳細について教えてください!

(杉村さん)まず最初に、サルト歴史民俗博物館の職員と一緒に公式インスタグラムを開設しました。美しい街並みや観光スポットを発信し、1年半でフォロワー2,600人超、総リーチ数約38万人となり、情報発信のプラットフォームを確立しました。次に、来館者アンケート調査の体制を整えました。スマホ読み取り式と手書き式の両方を用意したことによって、より多くの観光客の訪問目的やニーズの分析が出来るようになりました。
また、観光事業の毎月の進捗が分かるよう、ニュースレターも発行し、観光事業の「見える化」を図りました。更に、サルト歴史民俗博物館の職員にエクセル、デザインアプリ、ウェブアンケート、QRコード生成などの基礎的な技術をレクチャーし、マニュアルも作成することによって、ITリテラシーの向上に努めました。

(JICAスタッフ佐藤)ありがとうございます。これらの取り組みにより、一過性の観光増加に留まらず、サルト市は持続的かつ健全な観光開発に向けて着実な一歩を踏み出せているのですね。杉村さん、最後にひとことお願いします!

(杉村さん)サルトの案内なら任せてください!

本記事は2023年12月に作成・公開されました。