jica 独立行政法人 国際協力機構 jica 独立行政法人 国際協力機構

セミナー開催報告「アフリカスタートアップエコシステムの最前線-日本企業と現地スタートアップの協業」

2024.05.20

開催概要

(1)挨拶: 三村泰弘氏(Egg FORWARD社 執行役員)

主催者であるEgg FORWARD社の三村氏から同社の事業概要と、スタートアップへの投資やエコシステム構築への取り組みについて説明がありました。同社は長年にわたり組織コンサルティングを行ってきましたが、近年はスタートアップへの投資やエコシステム事業にも注力しており、渋谷区とも提携し、スタートアップの誘致や海外展開支援を行っています。今後はアフリカ市場にも注目し、有望なスタートアップへの投資を検討していくとの方向性が示されました。

(2)講演: 寺久保拓摩氏(Uncovered Fund CEO)

Uncovered Fund社の寺久保氏から、アフリカ市場の特徴として、人口増加や都市化の進展、デジタルアクセスの拡大などがある一方で、深刻な課題も多く存在することが指摘されました。同氏は、こうした課題が大きいほど、イノベーションの機会も大きくなると強調するとともに、アフリカは各国で状況が異なることから、国ごとの特性を踏まえた対応が必要であることが述べられました。

日本企業とアフリカのスタートアップとの協業事例が紹介され、日本企業とアフリカのスタートアップの連携に係る課題として日本企業側の部署間の連携不足や、現地への理解不足などがあること、対応策として経営層への働きかけや、現地調査の実施、少額投資から開始するなどが提案されました。

(3)パネルディスカッション: 

【パネリスト】
寺久保拓摩氏(Uncovered Fund CEO)
原海優氏(マネックスベンチャーズ株式会社 アソシエイト)
【モデレーター】
不破直伸 (国際協力機構(JICA) 専門家)

アフリカにおけるスタートアップへの投資の可能性、アフリカにおけるカーボンクレジットの可能性、日本企業とアフリカのスタートアップとの連携、日本企業のアフリカのスタートアップ投資への可能性について議論がなされました。

アフリカにおけるカーボンクレジットの取引は、欧米企業が中心で日本企業による取引は少ない状況である一方で、スタートアップを通じて創出されるカーボンクレジットは、データに基づく高い質が担保されるためクライメートテック等の成長が期待できると説明されました。

寺久保氏・原氏は、日本企業とアフリカ・スタートアップ企業の連携の難しさとして、企業側が新規事業、投資、サステナビリティーなどそれぞれ異なる視点を持っていることを挙げました。その視点のブレをなくすためにも、経営者との議論が重要であると指摘しました。アフリカにおいて、日本企業が初期段階からLP投資を行うことは容易ではなく、まずはマーケットリサーチを行い、何ができるかという仮設を立て、それを実現するために最善な方法としてLP投資または直接投資のいずれかを選択していくことが現実的であると指摘しました。その際、日本企業の担当者が現場を見ることが何よりも重要である旨が強調されました。

(4)ピッチ: ハーデウーンム オルーワシェーフーン アデーベーリョー氏 (Emergency Response Africa:ナイジェリア・スタートアップ)

ナイジェリアにおける緊急医療の課題として、救急車が到着するまで1時間以上掛かることが多く、高い死亡率に繋がっていることが説明されました。またアフリカ人100人の中9人しか緊急医療が受けられないこと、更にはナイジェリア人の63%は最低賃金以下で生活していることが説明されました。

同社は、そうした緊急医療へのアクセスの課題を解決するために、①フリーダイヤル及びモバイルアプリケーションによる応急処置方法の伝達、②バイクに乗った救急隊員による応急処置、③適切な医療施設の選定と移送という3段階のシステムを構築し、緊急時における医療サービスの改善を図っています。より多くの命を救うために、政府機関や保険会社を含む民間企業との提携を進めるとともに、地域に根差した救急隊員の育成も行っており、今後も更なる事業拡大を目指しているとのことです。

【画像】

【画像】

【画像】

【画像】

【画像】

\SNSでシェア!/

  • X (Twitter)
  • linkedIn
一覧ページへ