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途上国ビジネスの世界にようこそ。魅力的な市場が広がり、活力のある人材が溢れる途上国。しかし、山手線が10分遅延するだけでニュースになる日本と、文化・商習慣・言語などビジネスの根幹が異なる途上国。ビジネス展開にあたり、どのようなマインドが重要なのでしょうか。
コラム第一回は「途上国ビジネスに必要なマインド」についてお話しします。
JICAの民間連携事業を活用した企業を対象にした事後モニタリング調査から過去の事例を分析してみると、途上国ビジネスに向けて求められるマインドとして以下の2点が重要であることが明らかとなりました。
1. 企業自らがビジネスモデルを検討する主体性
2. 現在想定しているビジネスモデル以外のビジネスの可能性を模索する柔軟な思考
以下では、それぞれについて解説していきます。
1. 企業自らがビジネスモデルを検討する主体性
初めての海外展開において事業化に向けた調査を円滑に進めるためには、開発途上国でのビジネスに通じた外部コンサルタントの存在が非常に重要です。ただし、外部コンサルタントに過度に依拠しすぎる、または間違った活用の仕方をすると思わぬ落とし穴にはまったり、トラブルに巻き込まれたりすることがあります。
海外ビジネス展開で気をつけるポイントは、
外部の人材に過度に依存せず、主体性を常に持つこと
です。
JICAの民間連携事業のように、事業化に向けた調査をサポートする支援は多数ありますが、支援終了後は支援期間を通じて得た情報をもとに、自らの判断でリスクを負って、ビジネス展開や投資の意思決定をすることになります。
JICAの民間連携事業を活用された企業の成功事例を見てみると、社長や事業部長といった会社を代表して意思決定できる方が、旗振り役となって調査をリードし、販売先候補、仕入先候補、代理店候補、現地キーパーソンや、カウンターパート機関と直接協議し、ビジネスモデルを実証していました。一方で、外部の人材に過度に依存しすぎた事例では、海外ビジネス展開のノウハウが会社に蓄積されず、その後の事業計画を描き切れない、事業展開しきれない等の状況が見られました。
外部の人材とはお互いが行う業務を明確にし、協働関係を構築することが望ましいといえるでしょう。また、企業自らが現地の重要関係者と直接コミュニケーションを取ることは、継続して現地パートナーと良好な信頼関係を築く上で重要となります。海外展開において外部の人材は重要な存在ではありますが、企業が主体性をもって調査を進めることが大切です。
2. 想定するビジネスモデル以外の可能性を検討する柔軟な思考
事業化に向けた調査を進めていくなかで、当初予定していたビジネスモデルの展開が困難であることが判明することもあります。そのような場合、企業にはどのような姿勢が求められるでしょうか。ここで重要なポイントは、
現在の想定と異なる事業計画や新しいビジネスモデルを検討する柔軟な思考を持つこと
です。
例えば、公共インフラなどに関わるBtoGビジネスでは、製品や技術の導入にあたり新たな法律や条例の制定・改正が必要となり、その分の時間と労力、費用がかかる場合があります。また、海外の公共調達制度によっては、日本企業だけでは応札することができない可能性が高いです。その場合は、現地企業との協力が必要となりますが、現実的には現地ビジネスパートナーを見つけることが難しいケースが多いようです。さらに、公共事業に参入できたとしても、継続して受注できる保証はなく、事業展開の継続性が保証されていないのも現実です。BtoGビジネスは契約金額や事業規模が大きい一方で、他のビジネスモデルに比べて事業の成功を維持することが難しく、事業リスクが高いビジネスモデルです。そのため、BtoGビジネスを計画している企業でも、BtoBビジネスやBtoCビジネスの展開可能性を検討することが重要となります。
ある教育分野の企業は、当初は公立学校への教材提供(つまりBtoGビジネス)を検討していましたが、調査によって公立学校への教材提供には様々な制約が存在することが明らかになりました。そこで、私立教育への教材提供や私塾の運営(つまりBtoBビジネスとBtoCビジネス)に注力するビジネスモデルに切り替えて、海外市場での展開を試みることにしました。その結果、企業は売上を大きく伸ばすことができました。さらに、現地ニーズを収集し、適切に分析した結果、現在では、公教育分野にも参入し、公的機関からの発注を受けるまでに成長しました。
上記はあくまで一例ですが、映画や小説の世界でも必ずや「プランB」の存在が物語を進めるものです。「事実は小説より奇なり」といったことわざのように、どのようなビジネスにおいても事業の方針転換や新しい発想が必要になる時が訪れますが、その際に適切なアクションがとれるよう、柔軟な思考が重要となります。
いかがでしたでしょうか?途上国ビジネスに重要なマインドとして、2点解説しました。当たり前のような事柄だと思うかもしれませんが、これもまた「事実は小説より奇なり」です。
次回のテーマは、「海外展開のための理想的な財務基盤とは?」です!お楽しみに!
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