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- 海外進出成功の鍵 “社外パートナー” とは?
途上国ビジネスの世界にようこそ。魅力的な市場が広がり、活力のある人材が溢れる途上国。第九回目となる本コラムでは、海外進出にあたって重要な存在となる「社外パートナー」について解説していきます。
JICAの民間連携事業を活用した企業を対象に行った事後モニタリング調査の分析結果より、適切な社外パートナーの存在が、JICA事業後の売上実現においてプラスの影響を与えている可能性があることが分かっています(図1)。そんな社外パートナーについて、選定のポイントや具体的な探し方、そして選定したパートナーとの連携方法までを解説していきます。ぜひ最後までご覧ください!
(図1)社外パートナーの確保の程度とビジネスの成否の関係性
海外進出における社外パートナーとは?
社外パートナーは、材料・資材の仕入先、生産・加工の委託先、合弁相手、フランチャイズ契約先、現地の販売代理店、その他プロジェクトへ協力してもらう企業・メンバーを指しています。
海外でビジネスを展開していく時に、最初から現地の法制度、商習慣、文化、言語を十分に理解し、人脈を築き、顧客や取引先を見つけていくことは非常に難しいです。そういった自社の弱みを補完してくれる社外パートナーを持つことは、海外進出にあたって有効な施策であると言えます。現地での事業化を断念した企業の中で、現地パートナーを獲得できず、現地での販売体制を整えることができなかったことが失敗要因だったのではないかと振り返られている企業もいらっしゃいます。
社外パートナーの選定ポイント
パートナーを選定していく前に、まずは事前準備を行いましょう。重要なのは、自社の強み・弱みを正しく認識し、社外パートナーに補完してもらう必要がある部分を洗い出すこと、現地パートナーを確保するにあたって、留意すべき現地特有の事情がないか調査することです。現地特有の事情としては、現地企業の風土や商習慣、労働環境、市場環境、サプライチェーン等が考えられます。これらを勘案して、以下に示すような観点から現地パートナーに求める条件を具体的に整理すると良いでしょう。
・企業理念や事業内容に理解・共感を示しているか
・事業に関係する専門性、知見があるかどうか
・十分な実績があるかどうか
・現地の豊富なネットワークを構築しているか
・資金面や体制面に問題がないか
短期的な売上実現のためだけではなく、中長期的な視点で条件を満たすパートナーかどうかを考えてみてください。例えば、対象製品・サービスにとってアフターサービスの提供が必須である場合、現地においてアフターサービスまで提供できる専門性・実績・体制をもったパートナーかどうかを確認しましょう。また、現地のネットワークについては、特に事業活動に関係するステークホルダーとの強いコネクションを有しているかどうかがポイントになります。さらに、パートナーと信頼関係を構築し、良好な関係を継続するためには、企業理念や事業内容に共感を示し、共有価値を持ってもらえるかどうかが重要です。そこまでの相互理解を深めることができるかも見極めると良いでしょう。
社外パートナーの探し方
では、社外パートナーをどのように探していけば良いでしょうか?多くの企業が取り組んでいる例として、日本の公的機関、現地の政府機関、金融機関等から紹介してもらう、自社もしくはプロジェクトを支援するコンサルタントとともに調査を行って開拓する方法があります。実際に、公的機関から紹介され、良いパートナーと出会うことができたケースは多く、有効な手段の一つであると言えます。その他にも、現地で適切な社外パートナーを確保した企業が実践された方法がありますので、以下に挙げていきます。
・現地の業界団体や商工会議所
日系の商工会議所に訪問する企業は多く、そこから良いパートナーを紹介してもらえることもありますが、現地の商工会議所や業界団体を通して、より現地に精通したキーパーソンにアクセスできる可能性もあります。国や分野によって、業界関連団体が数多く存在している場合もありますので、活用を考えてみると良いでしょう。
・現地で開催される展示会
展示会には様々な現地企業が出展しており、パートナー開拓の場として活用することができます。現地で事業化に至った企業の中には、多くの展示会に参加したことが良いパートナーに出会えた要因だったと振り返られている企業がいらっしゃいます。また、展示会に訪れているユーザーから現地企業に関する評判を聞き、パートナー選定にあたって参考にした企業もいます。
・ビジネスマッチングイベント
金融機関をはじめとする民間企業やジェトロ等の公的機関が、海外展開を目指す企業向けに、現地のビジネスパートナーとのマッチングイベントを開催しています。また、「企業共創プラットフォーム」では、企業交流会等の交流の場を提供しています。日系企業との連携に関心が高い現地企業と交流を深める機会となるでしょう。
社外パートナーとの連携方法
社外パートナーの選定ポイントをしっかりおさえ、有効な開拓方法でパートナーを確保することができた場合でも、そのパートナーが必ずしも最良であるとは限りません。実際に、最初に確保したパートナーのパフォーマンスが悪く、パートナーを探し直したという例もあります。よくよく選定を行っても、そのパートナーが適切ではなかったということは起こり得るものであり、その点は事業リスクとして認識しておくべきであると考えます。
さらには、パートナーとのトラブルが発生することもあり、場合によっては訴訟にまで発展するケースも確認されています。トラブルを未然に防ぐためは、あらかじめどのような連携方法を取るべきかを慎重に検討する必要があります。連携方法には、販売店契約、代理店契約、ライセンス契約、共同開発契約、製造委託契約、合弁会社設立等、様々な方法があります。展開する製品・サービスの特徴、希望する進出形態、ビジネスモデルに応じて、適切な方法を選択しましょう。問題が発生した場合に、自社がイニシアティブを持って対応することができるような提携内容にすることにも留意してください。連携方法の検討にあたっては、現地における日本企業の事業展開の実務に精通している、現地ジェトロ等の公的機関や、現地の法律事務所に相談することをおすすめします。
最後に忘れていけない点は、現地パートナーもあなたのことを慎重に品定めしているという点です。お互いWin-Winの関係を構築できるよう、意思決定できる役職者等が最後は直接面談し意思決定することが重要です。
いかがでしたでしょうか?どういった社外パートナーが望ましいのかは、企業や事業内容によって異なります。事前準備で自社の不足部分を把握し、パートナーに求める条件を整理した上で、進出国の状況に合わせた有効な方法でパートナーを開拓していってください。
次回のテーマは、「海外進出時におさえるべき収支計画のポイントとは?」です!お楽しみに!
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