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ナイジェリア ― 注目分野(教育分野)

EdTechを中心に、ナイジェリア教育セクターにおいて、民間連携を力強く推進していければと思っております。ぜひ担当者までお声掛けください!

特に応募を期待する領域

<対生徒>
・算数アプリなどEdTech教材(例:AIを活用し、トラッキングされた学習記録をもとに最適な問題集の自動生成など)
・遠隔教育用デジタル教材・機材(例:低速なネット環境でも閲覧が容易なデジタル教材など)
・実験器具がない中で実験を実施・体験する教材(例:動画、シミュレーション、VR/AR教材など)の開発

<対教師>
・教師の授業プランの効率化(例:AIを活用し、授業プランを網羅的・効率的に作成するサービスなど)
・学習管理システム(例:AIによるダッシュボード機能を活用し、生徒の学習状況のモニタリングやアラートなど)

教育セクターの現状

■ナイジェリアの教育セクターは多くの課題を抱えており、特に貧困層と富裕層の間で教育格差が顕著です。初等教育の修了率は73%ですが、富裕層の97%が修了するのに対し、貧困層ではわずか34%にとどまっています。また、後期中等教育の修了率は54%ですが、富裕層の90%が修了するのに対し、貧困層ではわずか16%にとどまっています。
■教育の質の面では、7~14歳の児童のうち、基礎的な読み書きスキルを持つ割合は全国平均でわずか27%にすぎません。州ごとに大きな差があり、ラゴス州では87%の児童が基礎的な読み書き能力を有している一方、バウチ州ではその割合が9%と極めて低い状況です。
■就学率に関しては、小学校年齢の子どもの26%、ジュニアセカンダリー(前期中等教育)の25%、シニアセカンダリー(後期中等教育)の34%が学校に通っていません。特に貧困層の子どもは教育を受ける機会が著しく限られており、最貧層の家庭の58%が小学校にすら通えていない状況です。
■地域格差も顕著であり、特に北部の州では教育指標が著しく低いです。例えば、カノ州のシニアセカンダリー修了率は64%ですが、バウチ州では25%にとどまっています。また、民族ごとにも違いが見られ、イボやヨルバの子どもは比較的高い修了率を示す一方で、フラニやカヌリの修了率は著しく低いです。
■ナイジェリアの教育セクターは、多くの課題を抱えながらも、EdTechを活用したデジタル教育の普及など、新たな解決策の導入が求められています。

指標名 数値・割合 補足説明
初等教育修了率 73% 富裕層97%、貧困層34%と格差が大きい
後期中等教育修了率 54% 富裕層90%、貧困層16%と格差が大きい
基礎的な読み書きスキルに達している割合
(7~14歳)
27% 州によって差が大きく、ラゴス州87%、バウチ州9%
インターネットアクセス可能な学生の割合 39% 都市部と農村部で大きな差
コンピュータを利用できる学生の割合 10% デジタルデバイドが深刻

教育分野におけるICTとEdTechの動向

■教育分野における政府のデジタル政策
パンデミック以降の2023年からは、デジタル化推進の拠点として、政府は各州の都市部にSmart School(37校)と呼ばれる新規校建設、地方部は主に既存の小学校においてe-learning centerの機能を備えたEffective Schools(111校) を設置しています。そして首都アブジャには、これらの学校のハブ(Hub)となり、映像教材を含むデジタル教材の開発と普及、教員研修を行う、Digital Resource Center(以下DRC)の建設が行われました。

■ナイジェリアEdTechの可能性
「Africa EdTech 50」(サブサハラアフリカ地域で最も有望なEdTechスタートアップ50社を特定した年次リスト)において、ナイジェリアは2024年において34%を占め、南アフリカやケニアよりも上位に位置しています。このことから、ナイジェリアにはアフリカの中でも有望なEdtech企業が多く存在していることがうかがえます。

■現地EdTech企業の動向
ナイジェリア国内の約100社のEdtech企業のサービス内容のうち、提供している企業が多いサービス内容は、学習アプリ/オンライン学習プラットフォーム(第1位)、学校運営管理システム/学習管理システム(第2位)、家庭教師(オン/オフライン)試験対策(第3位)です。最も多い「学習アプリ/オンライン学習プラットフォーム」に関しては、35社がサービスを展開しており、このうち26社が、2020年のコロナパンデミック以降に誕生したものです。多種多様なEdTech企業が誕生している一方、提供される授業動画・オンライン授業、理科実験の映像教材、サンプルとなる授業案といったコンテンツの質が高いとは言えません。また、ナイジェリアの実情(特に地方部)に十分に沿っていない点も指摘されます。

参考リンク

■ 戦略文書

■ JICA関係プロジェクト