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セネガル ― 注目分野(保健分野)

特に応募を期待する領域

  • 医療機材・設備の整備・供給
  • 感染症・非感染症対策技術・サービス
  • 保健情報システム等、保健医療サービスの質向上に資する技術・サービス

応募を期待する背景・セネガル国の現状

セネガルでは、保健社会活動省(以下、「MSAS」)が策定した「国家保健社会開発計画(PNDSS)2019-2028」において、(1)保健・社会福祉分野の財政及びガバナンスの強化、(2)保健・社会福祉のサービス提供の発展、(3)社会的保護の促進の 三つを柱として、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(以下、「UHC」)及び持続可能な開発目標(以下、「SDGs」)ゴール3「すべての人に健康と福祉を」の達成を目指しています。

また、2024年に完成した「変革のための国家アジェンダ(Agenda 2050)」及び「国家開発戦略(SND2025-29)」に基づき、MSASは「保健セクター開発政策文書(LPSD)」を作成し、包括的、効率的で持続的な保健システムを構築することを大目標に、戦略的な4つの個別目標として、(1)民間セクターと協力した完全デジタル化及び資源の最適化を通じた保健セクターのパフォーマンスの強化、(2)住民を中心とした質の高いサービスの提供の発展、(3)マルチセクターアプローチを通じた保健と気候変動への影響に対抗するための健康的な行動をとるよう人々を奨励する、(4)一般及び貧困層の社会・経済的、健康的包摂の改善、を設定し、中央政府、州保健局などの行政機関、コミュニティ、パートナー機関などが一丸となり課題解決に取り組んでいます。

セネガルにおいて、母子保健状況の改善は依然として課題であり、当国の2017年における妊産婦死亡率は153(出生10万対)、新生児死亡率は23(出生千対)、5歳未満時死亡率は40(出生千対)となっており(以上、Continuous Demographic Health Survey, 2023)、持続可能な開発目標(SDGs)の目標値(それぞれ70、12、25)と大きな隔たりがあり、更なる努力が必要です。

また、近年では、疾病構造の変化がみられ、心血管疾患、がん、糖尿病等の非感染性疾患(以下、「NCDs」)が増加しており、セネガルにおける死因の約45%を構成するに至り、サブサハラアフリカ平均の37%よりも高い状況です(世銀、2019)。財政的にも、NCDsは継続的な治療が必要であり、診療関連費用が国民医療費の3割を占めていることから、今後、患者のみならず、社会全体へも医療費負担が大きくなることが予想されており、特に地方や貧困層における医療費負担増加が課題となっています(PNDSS2019-2028)。NCDs の早期発見・早期治療が可能な医療サービス提供体制の整備は人々の健康の観点のみならず、医療財政の持続性担保の観点からも喫緊の課題であり、NCDsへの取り組みの課題として、国内のNCDsの罹患状況や治療状況といった保健医療データの収集と分析の強化、また、保健医療施設における医療従事者の能力強化や医薬品や医療資材の物流の改善といった医療サービス提供の強化が挙げられます。

その他にも、感染症の流行、保健人材の質的・量的な不足、医療施設やコールドチェーン、医療廃棄物等の施設や医療機材の未整備、医療機材の予防的なメンテナンスの順守不足、慢性的な医薬品不足等、保健システムの脆弱さは根本的な課題となっています。MSAS、州保健局等は、パートナーと共に保健システム強化のため、個々のインプットや運営システムの改善を試みているところですが、人材や資金不足などの課題があり、その改善スピードは遅い状況です。

参考リンク

担当者コメント

JICAはセネガルにおいて、主に技術協力を通じて、保健行政アドバイザーの配置、保健システム強化、母子保健の質の改善などに寄与してきた他、近年では、コミュニティ健康保険制度強化、看護師・助産師の臨床実習の質向上、NCDs対策(糖尿病、高血圧の二次予防)、医療機材管理技術者研修(第三国研修)など、質の高い人材育成とその制度強化に取り組んでいます。また、無償資金協力による保健社会開発学校(ENDSS)母子保健実習センターやティエス中核病院拡張計画などを通じて、施設建設、医療機材供与を行う他、開発政策借款の実施、日本での短期・長期研修を実施することで、UHC達成に向けて取り組んでいます。
保健は人々にとって根幹を担うものですが、セネガルでは、支援すべきこと、対象とすべき病院や地域・村は無数にあります。しかし、セネガルの行政機関による事業だけで改善することは難しく、セネガル政府が掲げる目標を達成するためには、保健システムのデジタル化や、民間企業やその他パートナーとの連携が大きく期待されています。
是非日本の企業の皆様と共に、セネガルの保健セクターの改善に貢献していければと考えておりますので、お気軽にご連絡をいただければ幸いです。