jica 独立行政法人 国際協力機構 jica 独立行政法人 国際協力機構

セネガル ― 注目分野(教育・職業訓練分野)

特に応募を期待する領域

  • 理数科教育(初等教育、前期中等教育)
  • 職業訓練(技術者育成・農業・等)

応募を期待する背景・セネガル国の現状

【基礎教育】
サブサハラアフリカの平均初等教育就学率は100%(世銀、2019年)となる中、セネガルの初等教育就学率は85.9%(2022年)にとどまっており、教育アクセスに課題を抱えています。不就学の理由には、近代学校教育への理解不足、生計を支えるための労働、早期結婚・妊娠など、様々な要因が関係しています。

教育の質においても依然として課題が残されており、初等修了率は63.2%(2021年)、初等教育課程卒業試験の合格率は73.8%(2022年)となっています。また、国際的な学力調査の結果によれば、2年生の内7割近いこどもが教授言語である仏語の基礎的な読み書きができず、4割近い子どもが基礎的な計算などの算数能力を習得できていないことがわかっています(PASEC、2014年)。

学校に通っていてもこどもが十分な学力をつけられない理由は一つではありませんが、セネガルでは教科書はこどもに一人一冊配られてはいませんし、教室・机・椅子が十分にない学校も多くあり、子どもが勉強に集中する環境が整っていません。加えて、授業中は講義形式で行われ演習の時間が十分に確保されていなかったり、多くの子どもは学校で使うフランス語を母語としていないため通常よりも理解に時間がかかってしまうなどの課題が確認されています。
セネガル政府は国家開発計画「Sénégal 2050」(2024年10月)において、2050年までにセネガルが主権・公正・繁栄を達成することをビジョンとして掲げており、ビジョン達成のための軸の一つとして人的資本の強化と平等を据えています。さらに、国民教育省は教育セクター開発計画(PAQUET-EF、2013-2025年)の中で、主要優先課題として、「基礎教育の普遍化」、「教育の質の向上」、「より効果・効率・包括的なガバナンスを目的とした教育計画管理の地方分権化・分散化の促進・強化」等に取り組むこととしています。具体的には、教員研修の提供や教材配布の強化等を優先活動に掲げ、持続的な経済成長を下支えする教科として理数科教育の強化を重視し、理科実験施設の整備やカリキュラム改訂等に取り組んでいます。

【職業訓練】
JICAはセネガル日本職業訓練センター(Centre de Formation Professionnelle et Technique SENAGAL-JAPON、CPFT)を、1984年の無償資金協力による設立支援以来、無償資金協力及び技術協力を通じてセネガルの職業訓練セクターの中核を担うCFPTの機能強化を約40年にわたって支援してきました。

CFPTは当初中級レベルの訓練資格を有する職業訓練校として設立されたものの、産業界のニーズに応じ、上級レベルの訓練資格も網羅する職業訓練校とすべく、機材調達や校舎拡張のための無償資金協力が実施されてました。

また、技術協力においては、教員(指導員)養成やカリキュラム策定支援等を通じ、産業界のニーズに対応し「職につながる職業訓練」を実施していくための仕組みづくり、技術指導体制を整備してきた。CFPTはJICAが支援するアフリカにおける職業訓練校として中核をなす存在になっており、上述のような背景から、CFPTは1999年より、25年に渡って他の仏語圏アフリカ諸国の職業訓練校指導員の能力強化も実施しており、アフリカ諸国の職業訓練校指導員育成及び中堅技術者育成に貢献してきています。

職業訓練セクター全体を見てみても、当国政府は、労働市場のニーズに合致し雇用に直結する職業訓練サービスの拡充に取り組んでいます。分野も工業分野から、農業、手工業、料理など多岐な分野にわたります。しかし、当国の社会経済発展に必要な中級・上級の技術者を育成できる機関は限られており、未だ人材不足という需給ギャップが生じています。

参考リンク・実施中の案件等

【基礎教育】

【職業訓練】

担当者コメント

セネガルは政治的・経済的にも非常に安定しており、西アフリカの優等生ともいわれている一方で、様々な要因から教育分野に大きな課題を抱えています。セネガルの教育課題解決に貢献するご知見を持った日本企業の皆様との連携を進めていきたいと考えていますので、是非お気軽にご相談ください。