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エクアドル ― 注目分野(カカオ産業振興分野)

(最終更新:2026年7月)

近年、世界のカカオ市場では、主要生産国であるコートジボワールやガーナにおける病害、気候変動、樹木の老齢化を背景に、供給不安と国際価格の高騰が続いています。こうした中、安定供給と品質の両立が可能な産地として、エクアドル産カカオへの国際的な注目が急速に高まっています。
エクアドルは、世界有数のカカオ生産国(2024年:約40万トン)であり、特に「ナショナル(Fino de Aroma)」に代表される高付加価値カカオの最大供給国として国際市場で確固たる地位を確立しています。現在、世界のファインアロマカカオの約60%をエクアドルが供給しているとされ、量と質の双方を備えた稀有な産地となっています。
一方で、生産の担い手の多くは小規模家族経営農家であり、品質管理、ポストハーベスト工程、トレーサビリティ、金融アクセス、国際基準・認証への対応といった構造課題を抱えています。こうした課題への対応は、農家の安定的な所得向上と国際競争力維持の双方に直結する重要なテーマとなっています。

特に応募を期待する領域

(1-1)プレミアムカカオの持続的供給と高付加価値化

エクアドルでは、2024年のカカオ生産量が約40.4万トン(前年比+7%)と過去最高水準に達し、国際市場における存在感を一段と高めています。2025年のカカオ輸出額は約12億米ドルと推計され、記録的水準に達しました。 特に、ナショナル種を中心とするファインアロマカカオは、欧州・日本の高級チョコレートメーカーからの需要が拡大しており、ICE価格比で10~20%程度のプレミアムが付くケースも見られます。この市場機会を持続的な成長につなげるためには、品質の安定供給と差別化の両立が不可欠です。

(1-2)小規模生産者を中心とした包摂的な産業構造の強化

エクアドルのカカオ生産には、約40万人規模の生産者・労働者が直接・間接的に従事しており、その大半は中小・零細規模の農家です。価格高騰局面では所得向上の機会が生まれる一方、価格変動リスクや生産投資不足が、中長期的な不安定要素となっています。生産性向上、品質管理、トレーサビリティ強化を通じて、国際市場と農家を安定的につなぐバリューチェーンの構築が重要な政策・事業課題となっています。またカカオ原料の輸出に依存している状況から、中間製品産業を通じた付加価値化を通じ、より持続的かつ安定的な収益を得ることが期待されております。これらの試みは新たな雇用を生み出し、カカオ産業の更なる発展に貢献することが期待されます。

応募を期待する背景・エクアドルの現状

(2-1)国際規制(EUDR)への対応と競争優位性

2026年末に施行予定のEU森林破壊防止規則(EUDR)により、カカオ分野では農園単位の位置情報、トレーサビリティ、森林破壊リスク管理が輸出の前提条件となります。エクアドルは、官民連携によるデータ整備が進んでおり、すでに90%以上がEUDR対応水準に到達していると報告されています。これは他の主要産地と比較しても高い水準であり、規制対応を競争力に転換できる立場にあります。

(2-2)品質管理・ポストハーベスト工程の課題

依然として多くの地域では、発酵管理や乾燥工程が属人的で、品質ばらつきを生む要因となっています。高付加価値市場への安定供給のためには、以下の分野での改善が求められています。
 ● 発酵・乾燥プロセスの標準化・自動化
 ● ロット管理と品質評価体制の強化
 ● 国際基準に対応した検査・記録手法の普及

エクアドルにおけるカカオ産業へのJICAの取り組み方向性

JICAは、エクアドルにおいて「経済基盤整備」「包摂的な社会の実現」「環境保全」を重点分野として協力を進めています。カカオ産業はこれらの重点分野すべてと高い親和性を有しています。現在および今後は、以下を組み合わせた取り組みを想定しています。
 ● 生産・ポストハーベスト技術支援
 ● トレーサビリティ・品質管理システムの導入
 ● 中小企業・輸出事業者への経営・品質管理支援
 ● 技術導入と連動した金融・投資促進支援

求められる技術・支援の一例(更新)

・カカオ発酵・乾燥プロセスの自動化・省力化技術
・GIS/デジタル技術を活用したトレーサビリティ
・簡易型残留物・品質検査技術
・カカオ副産物(ハスク等)のアップサイクル技術
・生産者組織向け品質・経営管理支援
・カカオ栽培農家への社会支援:
 - 体験型カカオパーク
 - カカオ・クラウドファンディング
 - カカオ農家・研究者育成奨学金

事務所から一言

JICAエクアドル事務所では、政策対話、技術支援、民間連携事業を通じ、エクアドルのカカオ産業が「量と質の両立」「国際規制対応」「生産者所得向上」を同時に実現できるよう支援を行っています。日本企業が有する品質管理、加工技術、デジタル技術、金融スキームは、エクアドル産カカオの持続的発展に大きく貢献し得る要素です。双方にとって価値ある協力事業の形成に向け、日本企業の皆様からのご提案をお待ちしています。