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カンボジア ― 注目分野(運輸交通・物流分野)

カンボジアはメコン地域の南部経済回廊の中心に位置しており、国内のみならず隣国との連結性の向上にも取り組んでいます。JICAでは運輸インフラの整備、人材・政策・制度面も含めた総合的な物流システムの強化に協力しています。

運輸交通・物流分野における上位計画 「運輸交通・物流に関する包括的マスタープラン」

カンボジア政府は2023年8月に運輸交通・物流の上位計画である「包括的インターモーダル運輸・物流システムマスタープラン(Comprehensive Master Plan on Cambodia Intermodal Transport and Logistics System 2023-2033、(以下「CITL M/P」)を策定し、国家承認しました。
同マスタープランでは、カンボジア政府が2033年までに実現を目指す運輸交通・物流の方針や優先プロジェクトのリスト等が記載されています。

また、同マスタープランは、運輸交通・物流インフラシステムの範囲と能力の拡大、交通サービスとインフラの効率と効果の改善、国家の開発政策を支えるインフラの構築、物流サービス・コストの効率化といった主要な目標を掲げています。
さらに、この目標の下で、運輸交通・物流インフラ構築のための戦略的枠組み(3-3-4-2戦略)について言及しており、これが今後のカンボジアにおける運輸交通・物流分野の開発の骨格となっています。3-3-4-2戦略とは、3つの主要輸送回廊(①プノンペンーポイペト、②プノンペンーバベット、③プノンペンーシハヌークビル)、3つの第二輸送回廊、4つの輸送ハブ(①プノンペン、②シハヌークビル、③バッタンバン、④シェムリアップ)、2つの隣国との結節点(①ポイペト、②バベット)を指しています。

関連するJICAの取組み(物流、シハヌークビル港、経済特区)

JICAは、カンボジア政府の政策や当地に進出する企業の声を踏まえながら、公共事業運輸省(MPWT)とともに技術協力「物流改善実施能力向上プロジェクト」(2024-2027)を実施しています。同プロジェクトでは①データ・エビデンスに基づくモニタリング・評価と計画に係る能力強化、②道路・鉄道貨物輸送等の物流改善のための実施・促進の能力強化、③タイ・ベトナムとの越境輸送改善のためのファシリテーション能力の強化といった取組みを通じ、産業開発と貿易促進に貢献する輸送コストと時間の縮減、物流サービスの質の改善を目指しています。

また、JICAは、カンボジア経済を支える重要な物流拠点であり大水深港であるシハヌークビル港をインフラ整備・能力強化のハード・ソフトの両面から支援しています。ハード面では、コンテナターミナルの整備に加え、同港の後背地に、約70ヘクタールのシハヌークビル港経済特区(以下「SPSEZ」)を円借款で整備し、2012年に開業しました。ソフト面では、シハヌークビル港湾公社(以下「PAS」)に対し、同港の港湾・SEZの運営能力の向上を図る技術協力「シハヌークビル港コンテナターミナル経営・技術向上プロジェクトフェーズ3」(2022-2027)を実施しています。

カンボジアの課題と特に期待する提案

カンボジアはメコン地域の中心に位置する地理的優位性を有する一方、輸送・物流コスト高が産業上の課題の1つとして挙げられます。同課題の解決に資する民間企業様のサービス・技術を活用した提案をお待ちしております。

また、新たなコンテナターミナルの整備による寄港航路の拡大、貿易量の増加が見込まれるシハヌークビル港に隣接するSPSEZでは、立地特性を生かした加工輸出型の企業の入居が期待される他、同SEZにはカンボジア非居住者の貨物の保管が可能な倉庫が整備されており、海外進出を検討する際のテストマーケティングとしての活用も可能です。日系企業様からのご関心、ご連絡を心よりお待ちしております。

参考リンク

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