八王子市役所 日本のごみ問題への取り組みを共有-ミクロネシア連邦チューク州での関係者会議にて-

2018年11月15日

チューク州の現地関係者と共に関係者会議を開催

八王子市は、JICA草の根技術協力事業のもとで、ミクロネシア連邦チューク州におけるごみ問題の改善に取り組んでいます。第二次派遣中の2018年7月31日には、現地の関係機関が集い、関係者会議を開催しました。参加者は、州政府環境保護局、運輸公共事業局、衛生局、保険局、観光局、ウェノ島役場、現地NGOから代表者や担当者計14名が集い、八王子市側からは、協力大学である創価大学も含めて6名が出席しました。

活発な意見交換が行われたグループディスカッション

自己紹介で緊張をほぐした後、2グループに分かれてディスカッション。前半は、廃棄物処理における現在および将来的な問題点を共有すると共に、埋立処分場の課題や残余年数、将来的な処分場の適地について意見交換を行いました。そして、チューク州議会でレジ袋をはじめとしたプラスチック容器包装の使用や輸入等を禁止する法案が進行していることについて、その意義や賛否を議論しました。

【画像】

グループディスカッションの様子

【画像】

各自の意見を付箋に書いて掲示

休憩をはさみ、後半には日本の2R(Reduce=排出抑制、Reuse=再利用)の取り組みを紹介するため、創価大学生によるプレゼンテーションを行い、その後に再びグループごとで議論。ウェノ島のレジ袋を減らすために、自分たちでできることは何かを話し合ってもらいました。また、レジ袋をどのようにして減らすかの議論では、「チューク州議会で議論されている法案を効果的に機能させるために、エンフォースメント(強制力)が重要である」という意見が多く見られました。その一方で、「レジ袋がなくなると不便になる」という理由で反対の声もありました。
最後に参加者に感想を伺った際には、「日本の取り組みを学べたことが良かった」という意見が多くあがりました。また、「この島に様々な問題があることは認識していても、何をすべきなのかがこれまで分からなかったが、今回は具体的に取り組み可能な解決策が提示されていて大変参考になった」という声もありました。

日本のごみ問題の変遷を、映像で理解

会議の冒頭に30分間、2つのJICA-Netマルチメディア教材を上映しました。はじめに上映した「日本の経験-廃棄物管理-」は、戦後から現代までの東京におけるごみ問題を振り返る内容です。第二次世界大戦後、一面の焼け野原から人口1200万人の巨大都市となった東京。経済成長を追いかけるように増え続けたごみを減らすために、行政・事業者・住民はこれまでどのような施策に取り組んできたのか、ごみ問題解決のための「日本の経験」が紹介されていました。次に上映した「日本の3R推進の経験」は、「循環型社会」を構築していくために必要なステップが説明されています。持続可能な生産消費パターンを確立するためには、3R(Reduce=排出抑制、Reuse=再利用、Recycle=再生利用)の推進が必要不可欠ですが、この理念に到達するまでの試行錯誤の様子や、何度乗り越えてもまた新たな壁が立ちはだかるごみ問題に、日本人がどう対峙してきたのかが描かれていました。また、近代化が進む開発途上国でのケーススタディも紹介されていました。

【画像】

ライブラリ教材を視聴する参加者

皆、真剣な表情で食い入るように映像を視聴していました。参加者はそれぞれ多様なバックグランドをもっており、ごみ問題に関する知識は様々でしたが、関係者会議の冒頭にこうして認識を共有できたことが、その後の議論に非常に有効でした。

前川 健一
八王子市 資源循環部ごみ減量対策課

このページで紹介している教材

日本の経験-廃棄物管理-

日本の廃棄物管理は、戦後の復興期における衛生改善としての取り組みからはじまり、焼却や埋立て技術の開発等の試行錯誤を経て、現在は循環型社会を目指す方向にあります。関連資料も充実しており、日本の廃棄物処理の歴史や法体系等の図説、循環型社会をつくるための各法律の概要、廃棄物関連データ等の資料もあわせて収録しています。本教材は、行政・市民・企業による取り組みを紹介しつつ、廃棄物管理の改善に向けて日本がたどった歴史を開発途上国で廃棄物管理に携わる人々と共有することによって、かつての日本は現在の開発途上国が抱えているのと同様の問題を克服し、現在に至っているという事実を知ってもらうことを目的としています。

日本の3R推進の経験

この教材の目的は、JICAによる技術協力事業の一環として、開発途上国における廃棄物の3R(Reduce(排出抑制)、Reuse(再利用)、Recycle(再生利用))に関する人材育成に活用することです。中央政府の廃棄物行政担当者、地方自治体の廃棄物対策実務担当者、NGO、民間企業関係者を対象に、資源の限られる開発途上国において廃棄物の適正処理を実現するためには廃棄物の減量が不可欠であり、その鍵になるのが3Rの推進であることが理解できます。日本の取り組みと開発途上国のケーススタディを紹介し、3Rの共通理解、啓発普及用の映像型教材です。

(注)本教材はJICA事業関係者に視聴を限定しています。詳しくはJICA-Netライブラリデスクまでお問い合わせください。

メール:eitpl-jicanet@jica.go.jp